きのう、札幌市内で鎌田紀彦氏と新住協北海道のメンバーとの
ゼミ形式での「コンパクトハウス」プラン検討会が開催。
すでに数次検討会の積み重ねの上に立って、
プランの骨格が固まってきました。
この検討会は、全国の新住協会員にとってもユーザーに提示する
「基本プラン」として機能させる狙いを持って推進されてきているもの。
新住協会員工務店が日々向き合っているユーザー動向を踏まえて
いわば、最大公約数としての「日本人のすまい」を探究する野心的プロジェクト。
鎌田先生には当誌Replan誌上で「Q1.0デザイン論」を執筆いただいていますが、
その労作を通しての研究が現実にフィードバックしている側面があります。
その成果が、コンパクトな「細長い総2階建て」プラン。
日本全体、北海道全域での「敷地」の研究を経て
ニッポンの土地の間口と奥行きの基本ターゲットを絞り込んできている。
もちろん「最大公約数」であり、すべての条件を満たすものではないけれど、
想定しうる基本ではあるだろうと思われます。
少なくとも国交省などが基本政策のために「モデル」としている想定プランよりも
はるかに現実を見通していると言えると思います。
絞り込まれた敷地条件は、5間間口で奥行き10間という50坪。
そのなかに、基本的には自家用車を2台駐車できるプラン。
建物としては2.5間×6間、床面積ではマックス30坪のタイプ。
先日来、池辺陽氏の「立体最小限住宅」のことを書きましたが、
鎌田先生に依頼している「Q1.0デザイン論」について
著者と編集側という関係からさまざまに討論する過程で
日本のプロトタイプ住宅への探究の起源をも話し合い、
池辺陽氏のような志向性が浮かび上がってきていたのです。
そういう意味ではこのいまの動きは、戦後の住宅が大きなテーマとしてきた
「普遍性」についての大きな挑戦になっていく可能性がある。
鎌田先生としては、こういった野心的なプロジェクトについて
長年の同志ともいえる北海道の作り手と協同するかたちで
基本を構築しようと考えられているのだと思います。
きのうのゼミで基本的な方向性は固まってきて、
これからはより具体的な構造や設計プランとしての煮つめ、
さらには、標準的な「見積もり」の作成〜検討へと進んでいきます。
その役割分担も大枠が決まってきて、若い設計者の参画も決まりました。
鎌田先生からは次号Replan誌での連載記事執筆も
このプロトタイプ住宅についての内容を書きたいということでした。
いよいよその相貌が垣間見えてきつつある、といったところではないかと思います。
ニッポンの住宅シーンに新たな1ページが記されるかも知れません。
大いに注目していきたいと思います。
<写真中の図表は、これとは別のプランのものです。>