三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

アプローチのデザイン

2008年04月04日 06時13分05秒 | 住宅性能・設備

写真は青森市での住宅のようす。
久しぶりに、「アプローチ」らしい演出に出会った家でした。
玄関に至る半屋外的な、半内部的な、そのどちらでもなくて、
建物内部を予感させるような空間なのか、
建物から出てきて、振り返る余韻のような空間なのか、
あいまいな、空間ですね。
この家では、天井にきれいな羽目板をあしらっていて、
そこに雰囲気のある外部照明シェードも付けられています。
建物は3段ほどの段差があって、
その階段なども、印象的。
なにより、雪国であって、屋根が掛かった外部空間という意味で、
使う人間に、あるいは空間を利用する人間に、
「ここ、どんな風に使おうかな」と想像を膨らませてくれる気がします。
機能的に考えると、冬場は右側は雪が堆積していて、
奥に確保されている道路までの通路を除雪する出撃基地。
なので、雪かきの道具などが立てかけられて、
「さぁ、やるか」みたいな気持ちを起こさせてくれる場所。
そうアクティブでないときは、
雪かきの必要ない、安心感に満たされる場所。
冬場でも戸外で作業が必要なときに便利に使える場所。
もっと積極的には、たくさんの雪が道路側からの視線を遮ってくれているので、
日射しがいい日などには、椅子でも持ってきて
リラックスするのも、ちょっと寒くてもいいかもしれません。
夏になれば、右手側は美しく彩られた庭なので、
庭を眺めながら、気持ちのいい戸外の空気を胸一杯に楽しめる空間。
左側の居間の窓を開ければ、室内との交流もできる。
体は外の空気の中にいるけれど、
床壁天井が建築材料によって構成されているので、
何となく安心感が大きい、というような空間になりますね。

こういう場所に対する感覚で、
やっぱり雪国の人間って、同心するような部分が感じられます。
こういう空間の持つ豊かさって、南の方の人とは感じ方が違う。
もちろん、美しく整備された庭があるっていう条件が大きいわけですが、
こういうあいまいな中間領域、
大いにデザインし、工夫していきたいスペースだと思っています。
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