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ベーシックな処置をおろそかにしないで…

2014-03-07 12:04:37 | Weblog
まず提示する事例を見てもらいたい。非常に多く見かける事例である。
この歯の治療は1年くらい前に行なったものということであるが、
歯肉の状態からみても分かるように患者自身のハイジーンは非常によいことからもみて、
1年でこの様な状態になってしまうことは考えられない。 
In調整装着時、適合が悪いまま装着していることが分かる。
おそらく形成後の印象があまり正確でなく模型の辺縁ラインをテクニシャンが的確に
よみとれなかったことによるインレーの適合不良であるが、もとはといえば印象精度に
問題があったと考える。 しかしラボワークからいえば、修復物の面形態に関して、
咬合面金属の摩滅状態からみて機能的形態が付与されていないこともよみとれる。
せっかく治療しても意味がない。

患者は専門的なことが分からないし、自身の口腔内の細かい部分、ましてや奥歯の部分
なんかは見えにくいので分からないゆえ、歯科医師を信頼して治療を委ねているのである。
修復物と歯の境界部が引っかかった感じを自覚してても歯科医師が何も言わなかったり、
問題ないですよ、などと言ってしまえば患者は信用するしかない。。。

いくら忙しい診療の日々でも適合が悪いまま装着してしまうことはいかがなものだろうか…
毎日沢山くるそれぞれの患者の口腔内をとにかく削って詰めて、
どんどん患者をさばくというのが臨床歯科治療でいいのだろうか。。。 
日々の臨床治療において、根管治療、修復、充填、ペリオの初期治療等は
病態をしっかり理解観察すればいろいろな原因がみえてくる。
その中において一つ一つの処置を的確に行うことは基本中の基本である。

基本的な事を正確に行う姿勢がないまま、複雑な処置を行おうとしても
上手くできるわけがない。
当院には卒後2~3年目の歯科医師がよく見学に来られるが、私は若手の先生には
アカデミックな手技を見せるようなおこがましいことはするべきでないと考えてるゆえ、
とにかく基本の地味な作業をみてもらい、この基本作業をしっかり身につけることを
強くお願いしている。

今回の事例を通じてこのことを歯科医師と歯科技工士に伝えたい。
アシスタントにつく歯科衛生士もDrに気を使わずに適合不良がある場合、
患者のためにセットせずに再印象を提案するべきだ…。

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