ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

ジェフ・ベック “BLOW BY BLOW” 45回転200g高音質アナログ盤2枚組

2017年01月17日 | ミュージック
 先月末に中古レコードショップの店頭ワゴンにて半額で買ったLPジェフ・ベック「ブロウ・バイ・ブロウ(ギター殺人者の凱旋)」について触れた。収録されている曲の良さ、スリリングな演奏の一方で叙情的なストリングスが加わるなど、プログレ好きの私も大いに気に入っているアルバムである。さらにリリース当時にジェフ・ベックがマックス・ミドルトン等と来日し行われた札幌公演に自分が行ったことも、このアルバムが好きな理由のひとつである。その詳細はこちらに紹介している。その時のエピソードをさらに加えると、She’s A Womanの演奏時だったか、ベックがトーキングモジュレーターを口にくわえて歌おうとした時にホースが外れてしまい、イントロのフレーズが本来より多く演奏された場面があった。なぜか得をした気分だった。

 さて、前回45回転盤が欲しくなった!と述べた。結局それが今手元にある。これは33回転のLPを45回転2枚組に再構成し発売したものだ。発売はThe Analogue Productionsでベック作品では次作のWiredも出ている。高額なので絶対に買うことはないだろうと思っていたが、年末に入手したLPが思いのほか高音質だったので、ならばより高速再生となる45回転盤はアナログ盤としてさらに素晴らしい音質なのではと期待したのだ。1スタンパーにつき1000枚のプレスという限定扱いも背中を押した。(実際扱っているショップがあまり見つからない。)

 写真のとおり、オリジナル・マスターテープを使い、Quality Record Pressingsにて製造されたとのこと。ジャケットは2枚組であるためゲートフォールド型に変更されており、中にベックの写真が載っている。盤も200グラムの重量がある。肝心の音の方だが、第一印象では低音のふくよかさと左右の分離の良さを感じた。とりわけオープニングのYou Know What I MeanやスリリングなScatterbrainではCDの音圧に勝るとも劣らない迫力あるサウンドだが、アナログ特有の暖かさも感じられる。まさに最高の音質を目指した作りだ。ただ、LPでは連続して聞かれるTheloniousとFreeway Jamが3面から4面へと分断されていて、4面1曲目は3面のラストが少し被さって始まることになる。これは仕方のないことであろう。

 ところで、改めてLP盤の方を聞き比べてみた。実はこの45回転盤に肉薄する迫力あるサウンドなのである。70年代の日本のプレス技術も高いものがあったのだろうと感心させられた。

 本作には5.1サラウンド音声を収録したSACD盤も出ていて、以前からこちらも欲しいと思っていたのだが、今回の出費の関係で未だ手が届かずの状況である。


2016 年末恒例中古レコード・バーゲン・セールの成果

2017年01月03日 | ミュージック
 年末に毎年恒例のバーゲンを狙って札幌狸小路のFresh Airさんを訪問、店前のワゴン内半額、店内20%引き等のセールを漁った。今回の成果は写真のとおり。ワゴンでゲットしたのはビートルズのFOR SALE国内オデオン盤、ジェフ・ベックの名盤BLOW BY BLOW、そしてかねてから欲しかったが買う機会がなかった映画「南太平洋」のサントラ盤の3枚。店内の商品からはYESのファースト・アルバムドイツ盤とKING CRIMSONの中では一番好きなLIZARDのUS盤、計2枚を2割引で購入。

 良かったのはジェフ・ベック。帯を見て邦題が「ギター殺人者の凱旋」というのに改めてびっくりしたが、内容がやはり素晴らしい1枚である。CDよりもLPの方がぐいぐいと耳に入ってくる。昨年確か45回転の2枚組アナログ盤がリリースされていたはずだが、俄然それが欲しくなった。ビートルズは古すぎて盤は傷だらけだったがジャケは良い味を出している。南太平洋も薄いペラジャケだがこちらは盤も良好。YESのファースト・アルバムのアナログ盤は初めての購入である。そしてドイツ盤は中々迫力のあるサウンドだった。一般的にドイツ盤は音が良いと聞いたことがあるが、私の持っているLED ZEPPELINのセカンドはそれほどでもなかったのだが、こちらは良かった。またLIZARDはマトリクス-AAでファースト・プレスではなかったのであまり期待しなかったが、予想外に音圧の高い、迫力あるサウンドであった。YESのFRAGILEやCLOSE TO THE EDGEの米国盤を思い出させた。ビートルズ以外はジャケットも良品だったので、今回も良い買い物をさせてもらった。

 年末の札幌地方、50年ぶりという大雪で私の肩と腰は除雪車が家の前に置いていった瓦礫のような雪の固まりの処理で大打撃を受けた。それを癒すための一助となった年末セールのレコード達であった。

 今年もよろしくお願いします。

ルーマーの新作アルバム “THIS GIRL’S IN LOVE” Rumer

2016年11月27日 | ミュージック
 7月に注文したルーマーの新作が本日届いた。4ヶ月ほど待ったことになるが、この間アマゾンでは最低価格保証制度のおかげで注文時より900円ほど安く購入することができたので良しとしよう。

 さて、今回の新作はバート・バカラック&ハル・デヴィッド作品のカバー集である。ファーストアルバムのSeasons Of My Soulにボーナストラックとして収録されたバカラック作の「アルフィー」が歌唱・アレンジ共にとても素晴らしい出来だったので、私は今回のリリースを大変楽しみにしていた。そして届いたアルバムは期待どおりの仕上がりとなっていた。

 1曲目のThe Look Of Loveから曲の良さを引き出すアレンジとルーマーの歌声に引き込まれる。リーフレットのクレジットを見ると演奏はたくさんの楽器によってなされているようだが決して大げさではなく、しっとりとした感じ。そこがまた良いと思う。

 数多くの作品から選ばれたのは他に、Close To You、 Walk On By、 This Girl(Guy)’s In Love With You、 What The World Needs Now Is Loveなど。お馴染みが並ぶが、他にバカラック好きの私も知らなかった曲がいくつかあり、彼の魅力がさらに広がることになった。そして8曲目収録のHouse Is Not A Homeが私の中で一番お気に入りのバカラック曲だが、こちらもじっくり歌い上げている。“Rumer has given these songs new life...the lady has a golden voice”とのバカラックの言葉がアルバムに表されているが、まさにそれを実感させるパフォーマンスである。

 全体的に余分な間奏を入れないヴォーカル中心のアレンジがなされており、12曲入りでも46分程度のボリュームであるが、それだけルーマーの歌に集中して聴くことができる。これから何度も繰り返しプレイすることになりそうなアルバムである。

<追記>「アナログ盤にはMP3ファイルのダウンロード・コードが封入されている」
 CDが到着した数日後に同時に注文していたアナログ盤が届いた。こちらはジャケット写真がCDヴァージョンとは異なっている。インナーにはパーソネルが載っており、その裏面はルーマーを正面から撮影したカラー写真。CDと同じ写真は全く使われていない。さらに現物が来てからわかったのは全曲のMP3ファイルをサイトからダウンロードできるコードが封入されていたこと。両面併せて12曲46分程度の本作は、LPのサイズとしてもちょうど良いボリュームである。

ジャズ・LPレコード・コレクション 1〜 MILES DAVIS / Kind of Blue

2016年10月09日 | ミュージック
 最近のアナログ盤人気復活を裏付けするかのようにデアゴスティーニ・ジャパンから先月下旬に「ジャズLPレコード・コレクション・シリーズ」が発売された。第1作はマイルス・ディヴィス59年リリースKind Of Blue。他のシリーズ同様第1回販売のみ廉価価格が設定されており本商品は税込み990円であることから購入してみた。

 当時のデザインを復刻しているが比較的薄手の紙で作られたジャケットは、逆に輸入盤の味わいを感じさせてくれる。盤は「高音質復刻版を謳い、マスターテープからのリマスターに可能な限り挑み、180gの重量盤レコードでアルバムをプレス、オフィシャル・ライセンスのもと、質の高い音源が忠実に再現された」と中に記載されている。

  マイルスの作品は私もCDで何枚か持っている。一番好きなアルバムはMILESTONEでPORGY AND BESSもガーシュイン作品としてお気に入りだ。そして本作Kind of Blueもモード奏法の関連で名盤とされているのでデラックス盤を持っている。アナログ盤は1958 MILESの一枚のみだったので今回で2枚目となる。針を落とすと静かなイントロからSo Whatが始まる。まさに秋の夜長にピッタリな雰囲気だ。音もなかなか良い。

 マイルスとは関係ないが、本誌の中でJazz DJ(そういう職業がある?)の大塚広子氏が述べている一節「私がレコードを買った初めの動機は、街で12インチサイズの大きな袋を持って歩きたかった…」には、わかるなあと。CDがなかった当時は皆レコードを袋に入れて持ち歩いていたものだが、それが今はとても懐かしい。私が今中古のレコードを漁っているのもその辺に理由があるのかもと共感してしまった。

 今回は千円未満で購入できたが、今後同シリーズは第2号が1843円で以後2759円+税での販売となるそう。いわゆる名盤とされるジャズの音源が手に入るわけだが、お値段的には多分もう購入は無理。どんな作品がリリースされていくのか、動向だけは見守ることにしよう。


バーブラ・ストライサンドの新作 / ENCORE MOVIE PARTNERS SING BROADWAY

2016年09月09日 | ミュージック
 最初このバーブラの新作、私が彼女の曲を初めてまともに聞いた85年のアルバムThe Broadway Album(写真左)の続編だと思っていた。主な収録曲がミュージカルものだからである。しかしタイトルのENCOREというのは02年のDUETS、そして14年Partnersに対するアンコールという意味なのであった。つまり前作と同じようにデュエットによる録音が披露されている。さらに今回もその共演者がゴージャスなのである。映画版レ・ミゼラブルでも歌っていたヒュー・ジャックマンやアン・ハサウェイ、スター・ウォーズ最新作のヒロインを務めたディジー・リドリー、新映画版スター・トレックのクリス・パインなどムービー・スターが多数参加している。また私も何枚もアルバムを持っているトランペッターのクリス・ボッティの演奏や、故アンソニー・ニューリーとのヴァーチャル・デュオなども聞かれる。

 もちろん伴奏もゴージャス。いつも思うのだが、彼女のアルバムでは華麗なストリングスが奏でられ、「夢弦サウンド」を追求する私にとっては至福の時となる。今回も同様。そもそも私はミュージカルや演劇が大好きで、その関係で当時The Broadway Albumを聞いた。針を落とした瞬間セリフが始まり、テンポの良い演奏で始まったのが1曲目のPutting It Together。すっかり気に入ってしまった。今作もそれを彷彿させるように1曲目はセリフで始まる(共演はアンとディジー)。コーラス・ラインからの選曲だが有名なOneではなくAT THE BALLET。全く知らない曲。しかし芝居から切り取られた各収録曲は今回のゴージャスな趣向の元、どれも美しい名曲となる。ブロードウェイの奥深さと選曲のセンスの良さを感じた。

 09年作のLove is the answerでは押さえた歌声に声量が失われてしまったのかなと思ったものだが、今作では年齢を感じさせない素晴らしい歌唱を披露している。まだまだ楽しませてくれる、文句なしのアルバムである。2種類のパッケージで発売されているが、ピンク・ジャケットの方がバーブラのソロ4曲のボーナストラックが加わりお勧めである。


ジェネシスのアナログ盤 Invisible Touch 「インビジブル・タッチ」

2016年07月28日 | ミュージック
  
 私がアナログ盤で所有するアルバムはこのInvisible Touchまでである。次作のWe Can't DanceはCD時代に入っていてCDの方を購入した。大ヒットしたタイトル曲については、歌詞も含めて典型的なヒットソング志向の曲作りがなされたのではと思うのだが、それにしてもジェネシスがヒットチャートに上りPVも頻繁にテレビで見られることになるとは。しかし、他の曲、例えばTonight Tonight Tonightにはプログレ的な雰囲気が残るし、Throwing It All Awayは美しいメロディーと独特のコード進行を持ち、ジェネシスらしい大好きな曲である。今改めて見るとアルバムのほとんどの曲がシングルカットされ(含カップリング)、ビッグネームのバンドになったのだなと感慨深くなる。

 そして忘れられないのがこのアルバムのツアーで2回目の来日公演があったこと。前回も触れたことだが、こちらに記載したように2公演を北海道から見に行った。良かった。演奏も良かったがそれを盛り上げるバリライトも良かった。メジャーバンドとして全盛時の彼らを生で見られたことはラッキーだった。そんな時代の最後?のアナログ盤である。

 なお、最近のアナログ・ブーム再来のお陰か、ジェネシスのLPが再発される模様。正確には何度か再発されているので再々々発かもしれないが、アマゾン・ジャパンのリストを探ると、ライブ盤以外は全作がそろって2016年盤としてリリースされるようだ。音源等の詳細はわからないが、通常の流れだとリマスターされたものかニュー・ミックスがアナログ化される場合が多いのでオリジナルの音源の復刻ではないだろうと思う。しかし、きれいなジャケット欲しさでそのうちの一枚、A Trick Of The Tailは一応予約を入れている。現物を見て詳細が判明すればここで報告したい。

祝10周年!サッポロ・シティ・ジャズ 2016 「寺井尚子クインテット」

2016年07月11日 | ミュージック
 今年も恒例のサッポロ・シティ・ジャズ・エゾ・グルーヴが9日から始まった。ちょうど10回目を迎えたそうだ。4月の転勤で地元に戻った私は今回2公演のチケットを購入し、早速10日にはそのうちのひとつである寺井尚子クインテットのライブに行ってきた。

 まず今年から座席指定での事前購入となったことが非常にありがたい。過去3回ほど足を運んだのだが、今まではチケットを購入し、座席の方は当日入場順に選ぶ方式だったので、良い席を取りたい時は真夏の暑い中外でじっと待つことを余儀なくされた。あれは辛かった。そして今回は初めて2階席を取ってみた。これが中々良かった。会場はテント型の建物だが、それほど広くなく2階からでも充分アーティストの姿を目の当たりにすることができる。そしてテーブルがすぐ目の前にあるので、飲みながら肘をつきながらじっくりライブ演奏に耳を傾けることができる。正面から臨む席は千円ほど高いのだが、その価値は充分あると判断した。

 さて、寺井さんのライブは2010年にも行ったのだが、もともとジャズ・ヴァイオリンの好きな私は、その時の超絶な演奏にすっかり魅了された。その印象が強かったので今年足を運んだわけだが、今回はあの時ほどの迫力は感じなかった。逆に静かにしっとりと聞かせる曲、例えばドビュッシーの「月の光」やアンコールで演奏した「スマイル」などが心に染み渡った。こうした印象だったのは、前回から6年も経っているので自分が歳を取ったということなのかもしれない。バンドの編成はピアノにベースとドラムス&パーカッションとリズム隊が強化された編成で、特に佐山雅弘氏の弾くピアノは繊細さと力強さを併せ持ち、寺井さんのヴァイオリン・プレイをしっかり支えていた。セット・リストの中ではReturn To Forever時代のチック・コリアNO MYSTERYを取り上げていたのが私としては嬉しく、また聴き応えがあった。

 次の公演は月末に予定している。すっかり夏の風物詩となったSAPPORO CITY JAZZ。札幌はまだ夏を感じさせない気温だが、その頃には「熱い」ライヴとなってほしいものだ。

最近収穫のレコード “MUSIC FROM MISSION: IMPOSSIBLE” 米国盤

2016年05月14日 | ミュージック
 狸小路の中古CDレコード店Fresh Airさんにて以前こちらで紹介した「スパイ大作戦」サントラのLP盤を見つけた。4曲入りEPは国内盤だがこちらは米国盤(Dot Records DLP25831)。収録されている曲はEP盤の4曲に加え全11曲。CDのMUSIC FROM MISSION: IMPOSSIBLEは22曲入りだったが、そちらはこのアルバムと後にパラマウント・レコードから発売された2枚目のLPを合わせたものだそうだ。

 そのCDの解説を読むと、本アルバムは最初にテレビ放送された時にリリースされたらしい。ということは66年頃の発売か?残念ながらジャケット、レーベルなどどこを見ても年代が表示されていない。しかし、一度針を落とすと、ラロ・シフリンによる軽快なジャズ・コンボ演奏が暖かなアナログ・サウンドで流れ、全く古さを感じさせない。加えて「チャーム作戦」「シナモン」の2曲では美しいストリングス・サウンドに酔うこともできる。GWの割引セール20%オフで購入したこともあり、大変良い買い物をすることができた。

 制作者Bruce Geller氏のライナーノーツに「なおこの演奏は自動的には消滅しないので、存分にお楽しみ頂きたい」との記載があるので、これから何度も楽しむことになりそうだ。

追悼!冨田勲:東映アニメ「ガリバーの宇宙旅行」米国盤サントラ??

2016年05月12日 | ミュージック
 子供の頃見た忘れられない映画がある。東映の「ガリバーの宇宙旅行」というアニメ映画である。昭和40年の制作とのことなので小学校の低学年の頃だろう、父に連れられて映画館で見た。あまりに面白くて、もう一度みたい!と駄々をこね、2回連続で見た記憶がある。父はさぞかし迷惑だったろう。そして今手元にDVDがあり、数十年ぶりに見直したが、やはり良くできている。ノスタルジックな想いが蘇ってくる。

 先日、札幌の中古レコード店が割引セールをしていたので行ってみた。サントラのコーナーを物色していると、このガリバーの宇宙旅行と全く同じイラストだが英文字のLPを見つけた。Gulliver’s Travels Beyond The Moonというタイトルで英語版が存在するようだ。これは珍しいと思って迷わず購入。当時、東映のアニメがアメリカに輸出されていたということなのだろう。早速聴いてみると、サントラと称しているが音楽は英語版用にすべて差し替えられて別物。実は日本版オリジナルでの音楽を担当しているのが冨田勲である。英語版サントラには彼の名前は全く記載されておらず、代わりにMusic & Lyrics by MILTON & ANNE DELUGGとの表記が。同じ楽曲を用いて歌詞だけ母国語に置き換えるという場合もあるのだろうが、この作品については冨田氏の素晴らしい音楽が一切使われていない。何とも残念なことである。

 冨田勲と言えば、「ジャングル大帝」や「リボンの騎士」のゴージャスな音楽は大好きだったし、何と言ってもシンセサイザーで作り上げたドビュッシー作品集は衝撃的だった。今でもその作品と「惑星」の4チャンネル・サラウンドCDをよく聴く。「展覧会の絵」や「火の鳥」などの選曲も、ELPやイエスとつながりプログレ好きのロック少年を充分惹きつけるものであった。

 という記事を書いていたら、何と冨田氏の訃報が届いた。この5日に突然倒れ、帰らぬ人となってしまったのである。やりかけの仕事もあったそうだが、3月にリリースされていたアルバムが「オホーツク幻想」というタイトルで、私がこの3月まで住んでいた地域もオホーツク。勝手に親近感を感じながら、日本を代表する音楽家の逝去に心から哀悼の意を表すものである。

年末年始8枚のレコード(その2)

2016年01月13日 | ミュージック
 一方、サンタナのWelcomeは大好きなアルバムで、紙ジャケCDが出た時はすぐ購入した。サンタナはラテンロックというイメージだったが本アルバムはジャズフュージョン・サウンド満載でフローラ・プリムやジョー・ファレルのようにチック・コリアのReturn To Foreverメンバーも参加し極上の楽曲を奏でている。いつかLPで聴きたいと思っていたので大満足。

 そして今回の一番の掘り出し物はサントラである。特に「いつも二人で」は900円で購入。発売元はビクターで、薄いペラジャケットのLPである。リリースは1967年(昭和42年)。再生するとジャリジャリする部分もあるが、ムーディかつジャジーにマンシーニの美しい旋律が堪能できる好盤であった。マンシーニはひとつの映画作品に複数の楽曲を提供していた人で、そしてどの曲もイイ。サントラを聴くとそれがよくわかる。本アルバムには12曲が収録されていて、スタンダードになっているタイトル曲はコーラス版と演奏版の2種類で聴くことができる。

 「おもいでの夏」は言うまでもなくミシェル・ルグランの作。子どもの頃この曲がラジオのヒットチャート番組でよくかかっていた。ルグランらしい哀愁のメロディーと夢弦的なオーケストレーションが私の音楽神経にすり込まれていて、わがiPod再生回数ベスト1の曲である。実際には映画のサントラではなく再録されたヴァージョンで、「ピカソ組曲」という別の作品と合わさったアルバムである。(映画で使用された音楽を別途加えた本当の意味のサントラアルバムが2枚組で昨年リリースされている。)すでにCDでは所有していたが、こちらもいつかアナログ盤で聴きたいと思っていて、とうとうその日が来たのである。

 2016年の始まりはこのような次第。最近の新譜にもアナログ盤をリリースする傾向が見られるが、昔リリースされたレコードはそれなりに貴重だ。今年は若い頃によくしていたようなレコード漁りに勤しむ年となりそうだ。

 ちなみに、北海道新聞1月6日付け夕刊に3枚組の演奏集をリリースしたギタリスト佐橋佳幸氏の記事が掲載されたが、その中で札幌にも毎年来ていて、「狸小路の中古レコード屋へ必ず寄ります、あそこは日本一の店ですね。」との発言が。札幌もあなどれない!

年末年始8枚のレコード(その1)

2016年01月12日 | ミュージック
 最近忙しくて更新を怠っていたらすでに2016年の幕開けとなっていた。昨年末は所用のため大阪に出向き、合間にDisc Union大阪店に行ってみた。割引セールを行っており、豊富な商品在庫に足を止め見る時間も多かったが、レコードに関しては残念ながら食指の動くものはなく、店頭の記念写真を撮影したのみ。


 札幌に戻り年を跨ぎながら3件のショップを漁った。外ワゴンのレコードが半額、店内が2割引となっていた狸小路(たぬきこうじ)のFresh Air、店舗移転とのことで中古全品3割引セール開催中のRecords-records、そして今回初めて存在を知ったBEATの3店を物色。ビートルズのSgt. Pepper、The Second Album、Rarities、HELP!国内盤、 Yellow Submarienのキャピトル盤の5枚、サンタナのWelcome国内盤、SUMMER OF 42「おもいでの夏」サントラ米国盤、ヘンリー・マンシーニ作TWO FOR THE ROAD「いつも2人で」の国内盤サントラ合計8枚のレコードを購入した。


 HELP! はオデオン・レーベルの見開きジャケット盤。懐かしい!以前これと同じものを持っていたという記憶が蘇ったのだ。ビートルズに関しては中学生の頃LPやEPを何枚か所有していたのだがなぜか手元に残っていないのもある。理由がはっきりしないのだが、この1枚は確かに持っていたと思う。HELP! の英オリジナルはシングルジャケットなので、これは明らかに日本独自の作りで、裏面も全く異なっている。

 このようにビートルズに関しては、ジャケットやレーベル違いで安価のレコードはつい買ってしまうのである。Sgt. Pepper の薄ペラジャケやSecond Album の見開きジャケットは所有していなかったし、Yellow Submarine については国内のモノラル盤は持っているがステレオでかつ米国キャピトル盤は初めて。(レーベルはリンゴのデザインのもの。)また、わずか数百円で購入できたRarities もこれも今回初めての入手。こうしてビートルズ関係はOldies But Goodies「古き良き時代」の一品がどんどん増えていく…。(続く)


大貫妙子&小松亮太のTintライブ in Sapporo

2015年10月21日 | ミュージック
 大貫妙子とバンドネオン奏者の小松亮太による札幌でのコラボ・ライブに行ってきた。予想以上に質の高い素晴らしいライブであった。

 大貫妙子は昔から好きでアルバムもたくさん持っている。特にフランスぽさを感じさせる楽曲が良くて、私のお気に入りのアーティストの一人である。昨年40周年記念のライブをWOWOWで見て、あれも素晴らしかった。そんなわけで札幌でライブをやると知った時にすぐにチケットを手配した。しかし小松亮太というバンドネオン奏者のことは全く知らなかった。7月にNHK-FMの番組に二人で出演しているのを聞いてこの度の新作アルバムに興味を持ちCDを購入。それがまたまた予想以上に良くてすっかり気に入ってしまった。そのような状況でライブ当日を迎えた。

 まず小松亮太バンドが登場し、バンドネオン中心のタンゴを演奏。テクニックに裏付けされた迫真の演奏で聴衆はその1曲目から引き込まれていたと思う。小松氏も写真で見るよりもっとくだけた、親しみやすい雰囲気のお兄さんで、好感が持てた。続いて大貫妙子が登場。二人のコラボ演奏はTintの曲からが中心。驚いたことにアルバムと寸分違わぬ演奏に聞こえた。特筆すべきは、小松氏の奥方、近藤久美子氏の弾くバイオリン。バイオリンの音色がバンドネオン、タンゴにとても合っていると再認識。また、その演奏はテクニカルだがさりげない。カッコイイの一言である。私はHiver(イヴェール、フランス語で冬の意味)という曲が大好きで、これは私好みのアルバムOne Fine Dayに収録されているのだが、今回のタンゴ調のアレンジも素晴らしく生で演奏を聞くことができ感動だった。

 大貫さんは札幌の芸術の森という場所にある芸森スタジオを気に入っていて今回のTintもそこで録音したということと、札幌にも居を構えていることは既知の事実だったが、大倉山のスキー・ジャンプ台を下から見たいと思ってそのあたりに家があると言っていたのは新しい事実だった。ただ、月に1,2日程度しか来ることができないそうだ。

 ライブを聴いたたくさんの方が私と同じように大きな感動を受けたようで、終演後のアルバム販売には長い行列ができていた。そして小松氏がジャケットにサインをして客と交流していたのが印象的。
 本当に良いライブだった。

デヴィッド・ギルモア9年ぶりの新作「飛翔」“Rattle That Lock” が到着!

2015年09月23日 | ミュージック

 (最初に以前このブログで記載した「BD/DVDデラックス・ヴァージョン(5.1サラウンドやハイレゾ音源付き)」は、「ハイレゾで聞くことができる」の間違いであったので訂正する。ハイレゾ音源は専門サイトで別途DL販売されている。)

 前作のOn An Islandから9年ぶりのソロ・アルバムが届いた。私はCD+DVDのヴァージョンを注文していたが、こちらは写真のようなボックス仕様で、中には封筒付きのポスト・カード、ギルモアのポスター、ブックレット2冊、CDとDVD、それに嬉しいことに名前入りのギターピックが同封されている。

 昨年のピンク・フロイドとして最後のアルバムは生前のリック・ライトとの思い出を重視し、彼の残した素材を元に新作を組み立てていた。結果的にアンビエント風ではあったがバンドとしての統一感があった。一方今回のギルモアの新作には様々な要素が盛り込まれている。本来のロック・サウンドに加えて重厚なオーケストラサウンド、ジャズや民族音楽的なサウンドも聞かれる。ソロ・アーティストとしての自分を全て表現したかのようだ。曲のコンセプトや歌詞もいろいろ凝っていて、ボックス・セットにはジョン・ミルトンのParadise Lostが同封されていたのだが、これはタイトル曲Rattle That LockのモチーフになっているようなことをDVD中のインタビューで説明していた。

 そして全体を形作っているギルモアのギター・サウンド、これがまた良いのだ。大ヒットしたAnother Brick part2風の独特のカッティングも聞かれる。彼のトレードマークになっているブラック・ストラト以外にもいくつかのギターを駆使して録音に臨んだらしい。それはメインのブックレット中の写真でもわかる。ついでにペダル・エフェクターが並んでいる写真もあり、最近エフェクターがマイ・ブームになっている私としては中々興味深かった。DVDの5.1chサラウンドでは空間的な広がりよりも、四方から出る音に工夫を凝らした面白さを感じた。

 なお雑誌ギター・マガジン10月号ではギルモアの特集記事が組まれ、本アルバムの紹介も詳しくなされている。アルバム・タイトル曲やフロイド時代の“Shine On Your Crazy Diamond” のギターソロの採譜も掲載されている。最も興味深いのは今回のアルバムでも共同プロディースを務めたフィル・マンザネラのインタビューで、ギルモアのギターサウンド作りの様子が述べられている。また、「現行製品でギルモア・サウンドを再現したい」という記事も、付録のCDに実際のサウンドが収録されており、大変参考になった。

 9年ぶりのギルモアのソロ・アルバム。今後何度も繰り返し聞くことで、この新作の奥深さが理解できるというのが第一印象だ。現在ツアーに入っているそうだが、来日公演は予定されていないのか、気になるところである。


アナログ・サウンドへの回帰1~レコードとカセットテープ

2015年09月07日 | ミュージック
 今、レコードがブームだ。デジタル・サウンドとして80年代半ばにCDが世の中に登場、その後ポータブル音楽プレーヤが人気となり、やがてネット配信による音楽環境が整いつつ、とうとうハイレゾ音源を聞くことができるまでになった。その流れの中でレコードが再評価されている。いやそれどころか、カセット・テープというかつてとても身近に存在したアナログの媒体が復権しているとも聞く。

 レコードのブームが起きているのは間違いない。今日札幌のローカル・ニュース番組でも特集していたが、新作をレコードでもリリースするミュージシャンが増えている。また、何十年も前に発売された大物ミュージシャン(ビートルズやレッド・ツェッペリンなど)のアルバムを初期のマトリックス(原盤の製造番号)で聞きたいと願うファンがネット・オークションでも多数やり取りしている。リユースショップでは、レコードプレーヤやプリメインアンプなどは人気の上昇と共に価格も高騰化しているように思える。加えて、新作をカセット・テープでリリースするアイドルやインディーズ・バンドも最近出ているようだ。

 しかし、なぜアナログなのか。ここで考察し結論づけるつもりはないが、ノスタルジーもあるだろう、古き良きものに回帰するのが人間である。加えて、例えばレコードのサウンドはCDでは再生できない高域周波数の音が含まれ、また温かみがあるとも言われている。A面が終わったらB面にセットする煩わしさが実は楽しい、あるいは新鮮なのかもしれない。だが、私自身はレコードの質感、つまりジャケットや盤の存在感が好きなのだと思う。年齢と共にCDの小さな字がもはや見えないという状況もあるのは言うまでもない。

 また、カセットテープも音楽媒体として主に演歌、歌謡曲、J-Popなどがレコード同様に売られていた。特にシングルのカセットテープ版にはオリジナルのカラオケが収録されていたので、それが目当てで私もいくつか購入したものだ。先ほど段ボール箱をひっくり返してみたら5本の市販カセットが出てきた。忘れていたが当時私は稲垣潤一が好きで、カラオケで練習をしていた。チェッカーズも好きだったがWinkはなぜあるのか?これらは1000円で売られていた。結構高価だった。(続く)


14th東京ジャズ・フェスティバルにアンナ・マリア・ヨペックが出演!

2015年09月03日 | ミュージック
 画像のCDをご存じだろうか。密かな私の愛聴盤で、2002年にリリースされたポーランドのシンガー、アンナ・マリア・ヨペックのUpojenie(ウポイエニェ)というアルバムである。そしてパット・メセニーが共演者としてクレジットされている作品でもある。選曲を見るとメセニーのカバーが8曲収録されている。中でもAre You Going With Me?が秀悦で、このパフォーマンスが好きで購入したのだが、全体的にも素晴らしい内容だ。何度も聴いている。

 そのアンナ・マリア・ヨペックが明日から開催される東京ジャズに出演するそうだ。出演は明後日5日の14:25。良いなぁ!見たかったなぁ!と思ったら同日NHK-FMでも放送される。ありがたい、そしてこれは聞き逃せない。

 マリア・ヨペックはポーランドの国民的シンガーであるが、親日家でもありこれまで6度も来日しているそうだ(東京ジャズのHPより)。今回は「アンナ・マリア・ヨペック カルテット feat. ミノ・シネル」とクレジットされている。ミノ・シネルはマイルス・デイビスとも共演したパーカッション奏者で、いったいどのような演奏が繰り広げられるのか楽しみだ。

 今週末はNHK-FMに集中だ!