
ふと見ると、一人のキーボード奏者はグレッグ・フリィンゲインズではないか!マイケル・ジャクソンやTOTOのサポートなどで超有名な彼がギルモアのライブステージに立っているとはとても意外だったが、フロイド往年の名曲も見事に演奏している。そしてギルモア本人も長年の愛器であるブラック・ストラトキャスターに加えて、スティール・ギター、55年製の見た目が年期の入ったフェンダー・エスクワィアー、ギブソンのアコギ、ナイロンギターなどを駆使し、往年のギターサウンドを奏でている。5.1chサラウンドとしては、ライヴらしい広がりのある空間処理をしていて、時々入るダイアログは完全にリア音声。
今回バックコーラス3名のうち一人が男性で「虚空のスキャット」では今までにない男声スキャットが聞かれたのも斬新だ。圧巻は終盤のRUN LIKE HELLからTIME~COMFORTABLY NUMBで、ここで会場が一体化した光の演出には「狂気(喜)」すること間違いなし。
ピンク・フロイドとして同じ場所で演奏したのが45年前。今回このような歴史的遺産の中で聴衆を集めライヴを行うことには多くの課題があっただろうと思うが、この場所で新たな歴史を刻む見事な演奏となった。やはり、この新作は映像版で見るべきである。