※注:クリムゾン札幌公演のセットリストについて言及していますので、そのことに触れたくない方は読まないようお願いいたします。
キング・クリムゾンは私にロック・ミュージックへの道を開かせてくれたグループとして思い出深い。しかし、正直言うと80年代クリムゾンのBeatの頃から興味が失せてしまった。従って最近の再始動にもさほど関心を抱くことはなかった。だが、2015年のRadical Action 3CDs & 1Blu-Rayと2017年のLIVE IN CHICAGO 2CDsは手元にある。それは最近のライブで彼らが初期の楽曲を演奏しているからだ。何と言っても初期のアルバム「宮殿」から「アイランズ」までが私は好きなのだ。特に3枚目の「リザード」が最高に気に入ってる。そしてLIVE IN CHICAGOでは「サーカス」や「リザード組曲」が収録されている。そのような時に、結成50周年のクリムゾンが札幌に来る、それもこの10月に新たにオープンした札幌文化芸術劇場hitaruで行われるというニュースが。これは行くしかない。高額な入場料ではあったがチケットを購入し、12月2日を楽しみにしていた。
まずhitaruについて。複合的施設札幌市民交流プラザの一つであるこの芸術劇場は4階に入り口がありエスカレーターか階段で上がる。こけら落とし公演はオペラ「アイーダ」で、クラシックの演目を多く開催しているようだが、ゴスペラーズや玉置浩二のコンサートなどポピュラーの公演も行われている。会場の造りも北海道初の他面舞台劇場とされ、来年にはレ・ミゼラブルの上演も予定されている。その中本格的なロック・ライブはクリムゾンが最初のようである。私は価格の安い2階席の横側だったが、前方にせり出しているので距離的にはステージに近く、バンド全体の動きを座りながらじっくり見ることができた。
ステージ前列にはドラムが3人分セットされている。トリプルドラムがどのような事態になるのか、Radical Actionで画面を通して見てはいたのだが改めて目の当たりにした。パートを分けたりやフィルインを順番に回すなどの場面も見応えがあったが、3人が同時演奏する時が大迫力であった。前方にあるから他の楽器が聞こえないほど。当たり前だが息もピッタリ。ドラマーの動きに注目せざるを得ないので後方のメンバーもついかすむ。CDではよくわからなかった3人ドラマーの意義はライブバンドとしての活動の中で大きく生きていることがわかった。(Porcupine Treeのドラマーでもあったギャビン・ハリスンが、私の方に近い位置にいたのが密かに嬉しかった。実はCDを何枚か持っている。)フリップ氏は往年の座った姿勢をほとんど崩さず、とても大きなラック1台分のエフェクターを前に黙々と弾き続ける。キャメル以来2度目のご対面となるメル・コリンズのフルート&サックスの演奏も相変わらず凄い。そしてセットリストは初期の作品もたくさん聴かせてくれた。特に「宮殿」からは4曲。メロトロンを模したキーボード・サウンドがアルバムを重厚に再現する。だが、期待していた「リザード」からの曲はなかった。「ポセイドン」や「アイランズ」からも1曲のみ。これは残念だった。残念ついでに言うと、2階席は音が悪かった。前列のトリプル・ドラムの音が先に来て、後列の楽器の音が聞こえづらい。隣の席の方も楽器の音、あまりきれいに聞こえてきませんよね、と言っていたほどである。PAスピーカーの向きが関係しているのだろうか、中央の席ではどうだったのか?だが、終演後階下に降りる列の中で、感動した、来て良かった、と話している人達がたくさんいたし、インスタグラムの投稿でも、音も最高で素晴らしかったという声が多数上がっていたので、やはり場所の問題だったのか、加えて高齢化した私の耳の問題だったのかもしれない。
クリムゾンの来札は実は2回目のはずである。80年代クリムゾンのメンバーで確か84年くらいに来ている。たまたま私は東京に遊びに行っていて神奈川でのライブを見に行った。その時には古い曲は「レッド」と「太陽と戦慄Pt.2」くらいで、「21世紀の…」はぜひ聞きたかったと思ったものだが、その気持ちは今回のアンコールで解消された。リザードの曲は初日の東京では演奏されたそうだから多少の残念さはあったものの、全体的にはプログレッシブ・ロックバンドとしての「迫力」と「叙情」に満ちた希有で思い出に残るライブだったと言えよう。
なお、この公演の模様をインスタグラムに投稿したらドラムのパット・マステロット氏より「いいね」を頂いた。たくさんの人が同じ状況にあるようで、マステロットの気さくさに触れクリムゾンがより身近になった気がした。
<関連記事> LIVE IN CHICAGO / KING CRIMSON
キング・クリムゾンは私にロック・ミュージックへの道を開かせてくれたグループとして思い出深い。しかし、正直言うと80年代クリムゾンのBeatの頃から興味が失せてしまった。従って最近の再始動にもさほど関心を抱くことはなかった。だが、2015年のRadical Action 3CDs & 1Blu-Rayと2017年のLIVE IN CHICAGO 2CDsは手元にある。それは最近のライブで彼らが初期の楽曲を演奏しているからだ。何と言っても初期のアルバム「宮殿」から「アイランズ」までが私は好きなのだ。特に3枚目の「リザード」が最高に気に入ってる。そしてLIVE IN CHICAGOでは「サーカス」や「リザード組曲」が収録されている。そのような時に、結成50周年のクリムゾンが札幌に来る、それもこの10月に新たにオープンした札幌文化芸術劇場hitaruで行われるというニュースが。これは行くしかない。高額な入場料ではあったがチケットを購入し、12月2日を楽しみにしていた。
まずhitaruについて。複合的施設札幌市民交流プラザの一つであるこの芸術劇場は4階に入り口がありエスカレーターか階段で上がる。こけら落とし公演はオペラ「アイーダ」で、クラシックの演目を多く開催しているようだが、ゴスペラーズや玉置浩二のコンサートなどポピュラーの公演も行われている。会場の造りも北海道初の他面舞台劇場とされ、来年にはレ・ミゼラブルの上演も予定されている。その中本格的なロック・ライブはクリムゾンが最初のようである。私は価格の安い2階席の横側だったが、前方にせり出しているので距離的にはステージに近く、バンド全体の動きを座りながらじっくり見ることができた。
ステージ前列にはドラムが3人分セットされている。トリプルドラムがどのような事態になるのか、Radical Actionで画面を通して見てはいたのだが改めて目の当たりにした。パートを分けたりやフィルインを順番に回すなどの場面も見応えがあったが、3人が同時演奏する時が大迫力であった。前方にあるから他の楽器が聞こえないほど。当たり前だが息もピッタリ。ドラマーの動きに注目せざるを得ないので後方のメンバーもついかすむ。CDではよくわからなかった3人ドラマーの意義はライブバンドとしての活動の中で大きく生きていることがわかった。(Porcupine Treeのドラマーでもあったギャビン・ハリスンが、私の方に近い位置にいたのが密かに嬉しかった。実はCDを何枚か持っている。)フリップ氏は往年の座った姿勢をほとんど崩さず、とても大きなラック1台分のエフェクターを前に黙々と弾き続ける。キャメル以来2度目のご対面となるメル・コリンズのフルート&サックスの演奏も相変わらず凄い。そしてセットリストは初期の作品もたくさん聴かせてくれた。特に「宮殿」からは4曲。メロトロンを模したキーボード・サウンドがアルバムを重厚に再現する。だが、期待していた「リザード」からの曲はなかった。「ポセイドン」や「アイランズ」からも1曲のみ。これは残念だった。残念ついでに言うと、2階席は音が悪かった。前列のトリプル・ドラムの音が先に来て、後列の楽器の音が聞こえづらい。隣の席の方も楽器の音、あまりきれいに聞こえてきませんよね、と言っていたほどである。PAスピーカーの向きが関係しているのだろうか、中央の席ではどうだったのか?だが、終演後階下に降りる列の中で、感動した、来て良かった、と話している人達がたくさんいたし、インスタグラムの投稿でも、音も最高で素晴らしかったという声が多数上がっていたので、やはり場所の問題だったのか、加えて高齢化した私の耳の問題だったのかもしれない。
クリムゾンの来札は実は2回目のはずである。80年代クリムゾンのメンバーで確か84年くらいに来ている。たまたま私は東京に遊びに行っていて神奈川でのライブを見に行った。その時には古い曲は「レッド」と「太陽と戦慄Pt.2」くらいで、「21世紀の…」はぜひ聞きたかったと思ったものだが、その気持ちは今回のアンコールで解消された。リザードの曲は初日の東京では演奏されたそうだから多少の残念さはあったものの、全体的にはプログレッシブ・ロックバンドとしての「迫力」と「叙情」に満ちた希有で思い出に残るライブだったと言えよう。
なお、この公演の模様をインスタグラムに投稿したらドラムのパット・マステロット氏より「いいね」を頂いた。たくさんの人が同じ状況にあるようで、マステロットの気さくさに触れクリムゾンがより身近になった気がした。
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