ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

ポール・アルテ、現代のジョン・ディクスン・カー

2020年08月03日 | ミステリー小説
     
 ハヤカワ・ポケミス版のポール・アルテ「狂人の部屋」を読んだ。訳者である平岡 敦氏の後書きによると、「プロローグ冒頭の第1行目から怪奇ムードが漂う本書は、まさにフランスのジョン・ディクスン・カーたるアルテの面目躍如たる作品」であり、「19世紀末に怪事件が起きた屋敷で、…あかずの間、解明できない死因、不気味な予言、よみがえる死者など、まさにカーばりの道具立て」が並んでいる。さらに登場する若者達の「複数のロマンス」も絡んできて確かにこれはカーが描く世界と共通。探偵役は犯罪学者のアラン・ツイスト博士で最後には事件の真相を解明してくれる。ついでに言うと、カーあるいはカーター・ディクスン作品でおなじみのハドリー警部やマスターズ警部の役を担うハースト警部も相棒役として存在。多くの謎と真犯人を暴く本格推理小説としてこの作品はなかなか楽しめた。(そうそう、私の好きな屋敷の見取り図も載っている!)

 ポール・アルテといえば、「第4の扉」(ハヤカワミステリ文庫)を以前読んだことがあった。確か、密室殺人・幽霊屋敷・交霊術などカー好きを楽しませる趣向があったかと思う。手元にあるカーの作品には未読のものもあるのだが、アルテ作も平岡氏の訳でかなりの数出版されてきている。2年前の「あやかしの裏通り」はずっとカートに入れたまま。ちょっと脇道にそれてもいいかなと思うこの頃である。