ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

アーティストとしての森高千里

2012年09月20日 | 森高千里
 私は森高千里が好きである。彼女は単なるアイドルではなかった。初期の頃から作詞をし、それもミーハーだのストレスだの、ちょっとありきたりではない視点での歌詞を書いていた。「ザ・のぞかないで」「ハエ男」などのいわゆる「怒りソング」や子供の日常的にあり得る出来事を歌った「みつけたサイフ」、ゴキブリ退治の苦労話をネタにした「バスターズ・ブルース」、私自身の仕事でも活用させてもらった「勉強の歌」などなど、その独自の言葉世界には目をみはるものがあった。やがて、レコーディングにおいてドラムを自ら担当するようになり、それもリンゴ・スターに影響を受け、ビートルズサウンドの自らの楽曲へのオマージュを追求した。こうした、何だかちょっと変わっててイイ部分とルックスの派手さや美しさが微妙にミックスされ、私は長年彼女のファンを務めることとなる。何と、私が全てのCD(オリジナル・アルバム)を所有しているアーティストは森高千里とジェネシスである。最新の3枚組シングルコレクションももちろん購入。加えて、森高については2枚を除きほとんどレーザー・ディスクを持っている(写真~含アナログ盤LP)。

 私が彼女の曲を聴き始めたのは、かの名曲「私がおばさんになっても」の頃で、アルバムはRock Alive のあたり。それ以前のアルバムは、写真集付きの初回限定盤はプレミアがついていて、金銭的にはなかなか手に入れるのに苦労したが、とうとうコンプリートしてしまった。

 実は、家内が先に森高好きになり、ファンクラブに入っていた。ライブも、Rock Aliveツアーから出向き、ファンクラブ優先販売でチケットを購入し続けていたのだが、ある時ついに最前列が当たり、喜んで出かけた。すると何と、「今日は男の方も女の方もいらして、とてもうれしいです。そちらはカップルですか?」と森高から話しかけられたのである。我々が、夫婦です!と叫ぶと、「お子さんはいらっしゃるんですか?」とさらに聞かれ、しかし言いよどんでいると「あ、余計なお世話ですよね。」と自己完結し、会場の笑いを誘うという技に出た。その時の状況を、私は森高と話したことがあるんだ、と後々周囲に自慢することとなる。

 森高の特記すべき点はまだある。ライブで歌詞を忘れたり、衣装に引っかかり転んでしまう場面をビデオに収録したままリリースしてしまうのである。普通ならカットするだろう。そして、ライブ終了後のトーク場面において、またまたやってしまいましたねぇ、と堂々とコメントもするのだ。これら全てがアーティストしての森高千里のコンセプトなのだ。今はYouTube にセルフカバーした一連の曲を投稿しているようだが、音楽活動再開のプロローグとして、頑張って欲しいと思う。

 最後に、辛口の感想をひとつ。せっかくの優れたオリジナル曲が多い中で、アレンジ的に当時のはやりを借用した部分がなきにしもあらず。例えば、名曲「ストレス」はM・ジャクソン「スリラー」の、「鬼たいじ」は同じく「ビート・イット」の、「コンサートの夜」はボストン「ドント・ルック・バック」の影響をモロに感じる。もう少し工夫があっても良かったのではないか。いや、実はそれも狙いだったのだろうか? ただし、ボサノバ好きの私としては、「ボッサ・マリーン」「星の王子様」両曲の夢弦(むげん)サウンドについては秀悦と感じている。


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