上砂理佳のうぐいす日記

巨匠漫画家、楳図かずおさん逝去。あべのハルカスで私も見た「楳図展」は金沢21世紀美術館で9月に開催されていました★

率直な感想★

2018-02-02 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
…ということで観劇終わり。
同行の友人も私も高校時代から「ポーの一族」漫画愛好者なので、「4巻のあのシーン」とか、「1巻のあそこね」とか、場面場面のつなぎ方はまあわかるんですが、ちょっとエピソードの詰め込み過ぎなのと、時系列が難しく、漫画読んだことのない方には、「???」じゃないかなあというのが、私の率直な感想。
ユーシスまで出てくるとは…(ちゃんとヘアスタイルも一緒)再現率はめちゃめちゃ高く、アランとエドガーが通った学校の制服とか、懐かしくて感涙ものでした。

しかしなんといっても、エドガー役の主演、明日海りおさんが超美しく
もう、ほんっとに「エドガーそのもの!」でした
漫画のまんまですもんね(笑)。髪型やメイクもばっちりだし、何より立ち姿やふるまいが、美少年エドガー!
クールで、でも苦悩する。可愛いたった一人の肉親であるメリーベルを溺愛する、優しい少年でもあるエドガー。歌も良かったです。
萩尾望都さんの描く「少年」のプロポーションが、タカラヅカにぴったりなのかもしれません。中性的て身長も高過ぎず低すぎず。足が細くお尻も小さくぺったんこ(女性であれだけ平らなお尻になれるものだろうか?)。
もし、他の舞台で男性がエドガーを演じたとしても、14歳の少年ならいざしらず、成人男子ではどうしてもガッシリした体つきになっちゃう。
だから、女性が演じることで「モー様の描く少年たち」が、とても説得力のあるものになっていました。
そこが一番良かったのと、テンポが速く飽きるヒマが無い。クラシカルな貴族の衣装もゴージャスで、見応えがありました

それはいいんですけどね…でもやっぱ「ポー」でミュージカルって難しいのかな。
あの原作の、「透明な空気感」や、「哀愁」といったものは、あまり感じられず。それは受け取る人でだいぶ個人差がありそうです。
私には、「むしろストレートプレイで見たかった」思いが強い。「ポー」のあの物悲しさって、みんなで歌うミュージカルとは、ちょっと違う。。。

♪ポーの一族~♪ポーの一族~♪
♪キング・ポー~♪キング・ポー♪
♪バンパ~ネラ~(イェイ!)♪バンパ~ネラ~(イェイ!)♪

…いやいや!それじゃないでしょ(笑)。
「ポー」にとっては「それじゃない」でも、「タカラヅカ」にとっては、「それが正解」なのです。「ザ・タカラヅカ」なんです!
なので自分を納得させてましたが、ストレートプレイなら、もっと登場人物の性格の違いや心情が、細やかに描ききれてたんじゃないかな~と。
モー様(萩尾先生)は何がいいといって、人物の描写が超絶上手い方なので、イケメン・クリフォード先生と地味な婚約者ジェイン、美しい誘惑者シーラとの三角関係とか、もっと描ききって欲しかったなあ。。。
それに、アランが大金持ちの息子なのに苦悩してる部分とか、エドガーとどこで共鳴しあうのか、が、ちょっと浅いというか。
バンパネラ化してからのメリーベルの神秘性も、ちょっと弱いように思いました(どうしてシーラのクレジットが2番手なんだろう?)。

「ポーの一族」って、「バンパネラ(吸血鬼)みたいな悪魔になってしまって、生きる意味があるのか?」と苦悩するエドガーの「魂の彷徨」が太い芯で、そこに様々な時代の様々な「人間」の人生がシンクロする。
死ねない自分と、いつか死ぬ人間との関わり。俗世の人間と関わることによって、エドガーの中には様々な思いが交錯します。
一族の大半は成人してからバンパネラ化するのですが、エドガーとメリーベルだけは子供のうちにバンパネラになってしまった。
なので、子供の無垢で感じやすい部分をそのまま引きずっている。ゆえに苦悩も大きい。
そこが哀れで美しく、読んでて一番感動する部分なのですが、原作漫画の完璧さゆえに、宝塚でどう再構成するか、脚本家の方もかなり悩まれたような印象です。

こうなったらもう、ビジュアル的完成度は脇に置いといて、「ポー」のテーマを描ききった実写版を見たくなってきますね。舞台は日本で青年主人公でもいいよ(笑)。
エドガーの美しき苦悩さえ描かれていたらいいのよ…それともちろん、メリーベルへの愛、アランへの愛、ですね。
愛する人がいるからこそ、悪魔のような身になっても、「自分は存在している」と実感できる。これは最新コミックスの「春の夢」のクライマックスで、明確に描かれていました。
タカラヅカ版も、もしかしたら何度も何度も劇場に足を運んだら、私にもそれが見えてくるのかもしれないですね。でも、これはこれで充分面白かったです。
とりあえず第三巻「小鳥の巣」に絞って、1本続編やって欲しい。このキャストで!★
コメント
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