MとAのミュージカル・ラン日記 ♪♪♪

音楽を聴きながら走る市民ランナーのブログです。ランと音楽以外のスポーツについても書きます。今は大谷翔平に夢中です!

ボストンマラソンでの爆破事件に対する村上春樹の寄稿

2013-05-05 | 走らずに考えたこと
 5月3日付の「ニューヨーカー」に村上春樹が寄稿したことがニュースになっている。内容は、例のボストンマラソンでの爆破事件について。

 ニューヨーカーへの寄稿はこちらで読める。


 村上春樹がボストン近郊に住んでいたことは有名だし、マラソンランナーである事も有名なので、こうした寄稿を寄せること自体は極めて自然な行為だと感じる。
 彼は実際ボストンも、ボストンマラソンも愛してやまないに違いない。

 詳細は置くとして、その最後の文章をこのように締めくくっている。※訳分はわたしの意訳

For me, it’s through running, running every single day, that I grieve for those whose lives were lost and for those who were injured on Boylston Street. This is the only personal message I can send them. I know it’s not much, but I hope that my voice gets through. I hope, too, that the Boston Marathon will recover from its wounds, and that those twenty-six miles will again seem beautiful, natural, free.

(わたしは、走ること--日々走ることを通して、亡くなった方たち、ボイルストン通りで傷ついた方たちと痛みを分かち合う。これは、彼らに送るわたしからの極めて個人的なメッセージにすぎない。決して十分だとは思わないが、私の声が彼らに届くことを願っている。そしてまた、ボストンマラソンがその痛みを克服し、あの26マイルの道のりが美しく、自然で、自由な風景だとまた思えるようになることも願ってやまない。)

 この村上春樹の気持ちがよくわかる気がするし、ましてそれが何度も走った場所、大会であるなら、わが身の傷のように痛みを感じるだろうと思う。

 今回の痛ましい事件に限らないけれども、わたしも同じく走る人間として、平和に安全に走ることが今や必ずしも当たり前ではなくなってしまったことを痛感したし、一方で、こんなに簡単でベーシックなことにまでしわが寄せられることのない世界であってほしいという希望を強く持つ。

 同じくこの事件のあと、オバマ大統領は「それでもあなたたちはまた走るだろう」と言った。この言葉はまさにランナーの心情を鋭く突いていると思ってドキッとし、すごいと思った。大げさに言えば、生きるということはどういうことか、人間が歩んできた歴史の重さそのものを象徴する言葉であり姿勢にほかならない。
 ヌーの大移動よろしくそれでもわたしたちは走り続けるしかないのだし、なぜかはよくわからないが走り続けたいと思う自分に気づくのである。
コメント
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