昨晩、会社帰りに行った嶽本野ばらインスタレーション「落花生」展とサイン会。
三省堂書店のイベント会場。
嶽本野ばら先生のサイン会に向かう途中、必ず
「サリシノハラ」が脳内で流れる。
「大抵の事じゃ砕けない
僕は君と共にあるし
最前列で手をふるよ
都内一等星の笑顔に
ないものだって強請(ねだ)りなよ
君は貪欲なんだ しょうがない
60兆の細胞×君の危うさを 生かしてくれ」
18:50までは自由に出入りできるので急いで向かったところ、ぎりぎりセーフだった。
拡散・・・龍角散・・・。
野ばら先生の私物のお人形さん。
「落花生」と落花生。
このキツネさんは隣のお店の売り物。
王冠は野ばら先生の私物(クレアーズで買ったらしい)。
土偶は先生の私物。
蝶ネクタイはトイザラスで買ったらしい。
かわいい!!
独特の空間が広がる。
原稿まで!
いたるところ、落花生だらけ。
土偶と吉熊の2ショット!!
吉熊もその世界観に溺れる。溺れまくる!!
居心地の良い空間だった。
時間が近づくと、整理番号順に並ばされて、係員の人の指示を待つ。
すると野ばら先生が裏口から会場に入って行かれるではないか。
すぐ目の前を通り過ぎる野ばら先生に、1ヶ月ぶりといえども、呼吸をするのを忘れてしまうほど高揚。ドキドキ。
野ばら先生の前に並べられている椅子に整理券の順番通りに座る読者。
私の席はキツネの目の前だった。
トークショー開始で撤収されると思っていたインスタレーションの一部はそのまま使用されることになったらしい。
トークショーが始まるやいなや、野ばら先生に「あの人はラッキーです。目の前に狐がいます」と指される私。
・・・赤面してしまった。
(土偶の前の席の人はハズレらしい)
笑いあり、涙ありの素晴らしいトークショーだった。
・この日のために落花生を2キロ買った。(今日の俺、なんだか落花生臭いかも)
・「落花生」にも書いたけど、数学の集合論は大切。
・インスタレーションのプロジェクターが水平にならなくて苦労した。でも水平になれさえすれば美しい。「どうやったら綺麗になれるのか」ということって、とてもシンプルなことなのかもしれない。生活もそうで、全てきちんとしていることが大切なのかもしれないけれども、僕はきちんとはできない・・・。
・精神科で依存症を克服すべく通院しているが、雑談しかしていない。薬は飲んでいない。
・母と妹について。作家の家族はネタにされるので大変。
など。
途中、先生が涙されるところがあったが、ここは「下妻物語」の桃子を模倣して下を向いていた。
20時~サイン会。
私は20番すぎ。
サイン→落花生の袋(瓶)詰め→記念撮影
そう、この落花生の袋(瓶)詰めというのは、先生に「(落花生を)入れてください」とお願いすると、入れてくれるというもの。
野ばら先生の底知れぬアイデアの豊富さを目の当たりにした。この方、本当にすげーよ!!
私の番が近づく・・・下北沢のサイン会のときほどではなかったが、いや、でも緊張した。
「こんばんはー」と先生がお座りになっている机に近づく。
まるで秘書検定一級の面接ばりに前傾姿勢。この姿勢をとると、思わず「ご報告申し上げたいことがございますが、ただいまお時間よろしいでしょうか?」って言いたくなるよ、俺。野ばら先生は上司か?野ばら部長か?
「また会いましたね」
と、野ばら先生。
もしかして、下北沢のサイン会のことを覚えていらっしゃるのだろうか。
「あのこれ、カロリーメイトと煙草です」
とプレゼントを差し出すと
「ありがとう」
と、野ばら先生はペンを走らせながら、そう仰った。
今回の為書は「亮子&吉熊」にした。おまけにクマの絵もせがんだ。
「似ていないねぇー。あ、口をこうすれば似てるか」
と描いてくださったのは
カワユス!
写真撮影をしていただき、アイコンタクトを取りながら「応援しています」と申し上げることができた。
「またね」と言いながらお別れした。
今回のサイン会は椅子があったので、終了まで見守ることにした。
最後の方が終わったのが21時ちょい過ぎ。
「ここに飾られている落花生は持ち帰ってくださってかまいません。非常食にどうぞ。お腹が痛くなっても自己責任で」
とのこと。
少しもらってきた。
15年前、池袋の、今は無き「談話室 滝沢」(コーヒー1杯1,000円)で編集者らしき人たちと打ち合わせをしていた野ばら先生に遭遇した。当時、雑誌「美的」のコラムに寄稿されていた先生の文章を読んでファンになりたてだった私が声を掛けないわけがないはずで。
意を決して、私は頃合を見計らって、野ばら先生に突進した。
「あの、お、・・・応援しています」
「ありがとう。今度『カフェー小品集』という小説が出るので読んでください」
という会話をしたあの日。
「カフェー小品集」は野ばら先生の作品の中で一番好きな作品だ。
「ねぇ、君」という一文を読んだだけで涙が出てくる。
以後、様々なことがあったけれども、私は野ばら先生の文章を読み続けていた。
そして、あの池袋での出来事を思い出していた。
「談話室 滝沢」は無くなってしまったし、私も23歳から38歳になってしまったけれども。
でもこうして復帰されて、また池袋という土地で野ばら先生に再会できたことが、たまらなく嬉しい。
Feel the peanuts!
野ばら先生。
先生が書き続けるのならば、私は読み続けます。
装丁をイメージした真っ赤なワンピースを着用し、フェラガモの赤のバレッタで髪を留めた。
お土産は安定のカロリーメイトと今回はショートホープもつけた。
最後にキツネさんと記念撮影。
夢のような夜だった。