対物愛

月初なので忙しかった。
そして今朝の朝礼は社長のスピーチがある。
なるほどなと思いながら手帳に書き留める。

昼休みに、喫煙所に出ると、夏らしい太陽の日差しと蝉しぐれに包まれた。
とても暑いけど7月の毎日どんよりとした空や湿度よりはだいぶいい。

暦は、いつの間にか葉月になっている。
この前、正月を迎えたと思っていたのに。


定時後、駅そば(コロッケそば)を食べて急いで帰宅。


まるでアリスのように小走りで。
今夜はリモート同期会があるのだ！

でも、その前に、ほぼ満月をパチリ。
今夜の満月はスタージェンムーン(チョウザメ月)というらしい。大きくて綺麗だった。


久々に元同期たちと話せてスッキリした。
今はもう退職してしまったが、Eちゃんなんて一次面接から一緒だもんね。人生の半分以上の月日を同志でいる。
もう一人の元同期は、この前、PCR検査を受けたらしい。結果は陰性だったそう。

同期のほかにもメンズが数人。
その中に投資家男子がいて、彼の背後にはたくさんのモニターがずらりと並んでいる。そしてそれらはいずれも株価のチャートを映し出している。
たまに会話を離脱して「仕事」をする彼。
一瞬にしてうん百万円を儲けたり、損をしたりしているらしい。
人生のレイヤーが違う！

他の殿方から、
「亮子さんは彼氏とかほしくないの？」
と直球で訊かれた。

彼氏というか。
私ぐらいになると、物件（マンション）に恋をして、結婚（契約）しちゃうからな。
対人ではなく、もはや恋の対象が物というか建物だからな。

たぶん誰にもわかってもらえないと思うが、私は住宅ローンをコツコツと返しながら、床やトイレや風呂をピカピカにしたり、部屋で寛いだりする時間がとても好きなのである。
立地、築年数、間取り、どれをとってもこれ以上のマンションには巡り合えないような気がする。
「貴方と出会えてよかった」と、毎日、部屋に話しかけたりしている。

吉熊は勿論、他のクマたちとも会話をするので、私の毎日はとても忙しい。
そしてこの生活に満足している。
人様とレイヤーが違うというか、自分がちょっとマイノリティーな価値観を持っていることは否めない。
でもいいんだ。

そんなこんなで0時近くまでリモート飲み会で話しまくった。

風呂に入って髪を乾かしたので寝よう。

そうそう、この前買ったシルクのナイトキャップを被った姿もみんなに披露した。
自分の持ち物を披露できるのはリモート飲み会の醍醐味である。さんざん笑われたが。

今夜もこれを被って、さあ寝よう。