中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

背籠

2009-07-02 21:58:30 | 中国のこと
 桑植県は農業県で、いわばイナカである。県城(県政府所在地)は日本の地方小都市よりは大きいがやはり鄙びていて、街を行き交う人たちも農民が多いようで、その多くが竹で編んだ籠を背負っている。背籠(ベイロン)と言い、なかなか便利なようで何でも入れている。日本でも昔は農民が使っていたもので、時代劇などによく出てくる。おそらく竹が多いアジアの農村地域では普遍的に使われているのではないか。省都の長沙から来た通訳の曾さんに、長沙でも見かけるかと尋ねたら、ありませんよと笑った。やはりイナカのものなのだろう。
 県城の定期市で見かけた風景。買い物客の多くが背籠を背負っている。










 少し小さめのものに幼児を入れて背負っている姿もよく見かける。これは小背籠(シャオベイロン)と言うようで、日本の街で見かけるベビーキャリアーのようなものだ。曾さんは、湖南には『小背籠』という有名な民謡があります、幼い時にお母さんの背の小背籠で揺られながらいろいろなものを見た思い出を歌ったものですと言って、教育局の王さんと口ずさんでくれたが、懐かしさを感じさせるしみじみとした好い節回しだった。

 夕方の広場で見かけた祖母と幼児。これは竹籠ではなく竹で作った椅子のようなもので、家では椅子として使うのではないか。こちらの呼びかけに無邪気な笑顔を返した可愛い子だった。


 教育局の王さんがおみやげにくれた背籠の工芸品。細い籤(ひご)を編んで精巧に作られている。帰国途中で泊ったホテルの女性の従業員は「きれい!」と言い、どこのものかと尋ねた。やはり珍しく思ったのだろう。帰ってから青銅製の花瓶にリンドウを生け、籠の中に入れた。生け花の心得がないからいい加減なものだが、風情はあると自賛している。