西安の李真は中国国際旅行社という国営の旅行社に勤めている。日本の旅行社からのツアーの見積もり要求に応えたり、ツアーを手配したりしているが、トラブルやクレームにも対応しなければならず、なかなか大変なようだ。
先日はある日本人ツアー客から来たクレームの話をしてくれた。青海省のゴルムドとチベットを観光した60代半ばの男性で、ゴルムドのホテルで酒を飲んで体が熱くなったようだが、高原地帯のゴルムドではまだ暑い時期ではないのでクーラーが入っていなかった。そのことで腹を立ててロビーで大声で怒鳴ったようだ。また客室には湯沸しポットと茶、湯飲みが同じ場所に置いてなくて分かりにくいと、それにも腹を立てたらしい。ガイドを叱りつけ、ガイドを通じて李真に伝えられたようだ。日本に戻ったらクレームを出すと言ったそうだ。
実に情けない話だと思う。酒癖が悪いのか短気な性格なのか、そのような些細なことで怒鳴るとは恥ずかしい限りで、このような輩に外国旅行をする資格などはないとさえ思える。李真は、怒りやすい人なので、しようがない、わがままなお客様ですと言ったが、日本人の恥さらしだ。李真はまた、どこにもこんな人がいる、このお客様自身もずっと他人を非難して楽しくない、苦しいだろうとも言った。ファーストクラスの客で金持ちのようだが、人間としてはきわめて品性が卑しく、心貧しい人物なのだろう。李真は何とか日本の旅行社と連絡を取って処理したようだが、後を引くかも知れない。
いわゆる「富裕層」や「有名人」に属する者の中には、それだけで自分が衆に抜きんでた存在で、何をしても、何を言っても許されると勘違いしている輩がままいるようだ。以前読んだある本には、ある世界的な日本企業の会長(実名で書かれているがここでは伏せる)が妻同伴で飛行機に乗ったとき、妻はミールサービスの際にナプキンに包まれたフォークやナイフがテーブルの上に心持曲がって置かれただけでスチュアーデスを叱り、謝られてもアシスタント・パーサーを呼びつけて同じことを言い、更にキャビンの責任者であるチーフ・パーサーも呼びつけたという話を紹介している。その間夫は黙って本を読んでいたそうだ。このようなのはまさに虎の威を借る狐と言うのか鼻持ちならない女だし、財界では有名人の夫も、そのような成り上がり者のような妻の言動をたしなめることもできない、卑小な人物だ。これは極端な例にしても、このような思い上がった言動の者は決して稀ではないのだろう。
先年、四川省の成都で知り合ったガイドの雷鳴(レイ・ミン)君は、チベットに団体客を連れて行った際に、その中の1人の中年男性のわがままとも言えるクレームを受け、「おまえはバカだ」と罵られたことがあったそうで、聞いているだけで不愉快で腹が立ったことがあった。
クレームの中には正当な、聴くべきものもあるのだろうが、理不尽なものも少なくないようで、李真が受けた事例の根底には、日本人によくあるサービス業従事者を見下す横柄さや、中国人への蔑視があるような気がする。
先日はある日本人ツアー客から来たクレームの話をしてくれた。青海省のゴルムドとチベットを観光した60代半ばの男性で、ゴルムドのホテルで酒を飲んで体が熱くなったようだが、高原地帯のゴルムドではまだ暑い時期ではないのでクーラーが入っていなかった。そのことで腹を立ててロビーで大声で怒鳴ったようだ。また客室には湯沸しポットと茶、湯飲みが同じ場所に置いてなくて分かりにくいと、それにも腹を立てたらしい。ガイドを叱りつけ、ガイドを通じて李真に伝えられたようだ。日本に戻ったらクレームを出すと言ったそうだ。
実に情けない話だと思う。酒癖が悪いのか短気な性格なのか、そのような些細なことで怒鳴るとは恥ずかしい限りで、このような輩に外国旅行をする資格などはないとさえ思える。李真は、怒りやすい人なので、しようがない、わがままなお客様ですと言ったが、日本人の恥さらしだ。李真はまた、どこにもこんな人がいる、このお客様自身もずっと他人を非難して楽しくない、苦しいだろうとも言った。ファーストクラスの客で金持ちのようだが、人間としてはきわめて品性が卑しく、心貧しい人物なのだろう。李真は何とか日本の旅行社と連絡を取って処理したようだが、後を引くかも知れない。
いわゆる「富裕層」や「有名人」に属する者の中には、それだけで自分が衆に抜きんでた存在で、何をしても、何を言っても許されると勘違いしている輩がままいるようだ。以前読んだある本には、ある世界的な日本企業の会長(実名で書かれているがここでは伏せる)が妻同伴で飛行機に乗ったとき、妻はミールサービスの際にナプキンに包まれたフォークやナイフがテーブルの上に心持曲がって置かれただけでスチュアーデスを叱り、謝られてもアシスタント・パーサーを呼びつけて同じことを言い、更にキャビンの責任者であるチーフ・パーサーも呼びつけたという話を紹介している。その間夫は黙って本を読んでいたそうだ。このようなのはまさに虎の威を借る狐と言うのか鼻持ちならない女だし、財界では有名人の夫も、そのような成り上がり者のような妻の言動をたしなめることもできない、卑小な人物だ。これは極端な例にしても、このような思い上がった言動の者は決して稀ではないのだろう。
先年、四川省の成都で知り合ったガイドの雷鳴(レイ・ミン)君は、チベットに団体客を連れて行った際に、その中の1人の中年男性のわがままとも言えるクレームを受け、「おまえはバカだ」と罵られたことがあったそうで、聞いているだけで不愉快で腹が立ったことがあった。
クレームの中には正当な、聴くべきものもあるのだろうが、理不尽なものも少なくないようで、李真が受けた事例の根底には、日本人によくあるサービス業従事者を見下す横柄さや、中国人への蔑視があるような気がする。