一海知義・筧文生・林香奈共著『漢語的不思議世界 空巣老人と男人婆』(岩波書店)を読んでいる。中国の言葉や漢詩などについての斯界の学者の随筆集で、とても面白い。それぞれが学識は深く文章は巧みで、私のこのブログの文章などこれに比べると月と鼈どころか鼈の糞のようなものだ。
その第一章は『現代中国語と漢語』で、現在の中国の新しい言葉や表現について述べていて、副題の空巣老人や男人婆もこの章にある。「太平公主」もその一節で、太平公主(タイピンコンチュウ)は唐の則天武后の娘で母親の愛情を一身に受け、権勢をほしいままにした美貌の女性だそうだ。この本の書評の中に出ていて、その意味がおもしろいと思ったので、卒業生達が集まっているところに来ていた大阪にいる西安人の邵利明(明明)に、「太平公主って知ってるか」と尋ねたら笑い出した。
太平公主の太平は平安、平和と言う意味だが、「非常に平らである」と言う意味にもとれ、公主はプリンセスだから、「胸なし姫」とでも言うか、胸が平らな女性を言う中国の新語だそうだ。明明がすぐ反応したから、よく知られているのだろう。明明に「太平公主の胸は無かったのか」と聞いたら、「いえ、太っていましたよ」と言ったが、唐代の美人だから豊満だったはずだ。要するに、「太平」を洒落に使っているので、実在した女性の名前をこのように使うのは、中国人らしく面白い。
もっとも筆者によると、知り合いの中国人にたずねたらこの言葉ももう古いらしく、「最近ではそういう女性のことを飛機場(フェイジチャン 飛行場)と言うんですよ」という言葉が返ってきたとのことで、筆者は「いずれの言葉も言われる女性の側からすれば大変失礼な話だが、それにしても『飛行場』とは何と直接的な言い方よ。『太平公主』のほうが、言葉としてはまだ気が利いていると思うのは、私だけだろうか」と結んでいる
その第一章は『現代中国語と漢語』で、現在の中国の新しい言葉や表現について述べていて、副題の空巣老人や男人婆もこの章にある。「太平公主」もその一節で、太平公主(タイピンコンチュウ)は唐の則天武后の娘で母親の愛情を一身に受け、権勢をほしいままにした美貌の女性だそうだ。この本の書評の中に出ていて、その意味がおもしろいと思ったので、卒業生達が集まっているところに来ていた大阪にいる西安人の邵利明(明明)に、「太平公主って知ってるか」と尋ねたら笑い出した。
太平公主の太平は平安、平和と言う意味だが、「非常に平らである」と言う意味にもとれ、公主はプリンセスだから、「胸なし姫」とでも言うか、胸が平らな女性を言う中国の新語だそうだ。明明がすぐ反応したから、よく知られているのだろう。明明に「太平公主の胸は無かったのか」と聞いたら、「いえ、太っていましたよ」と言ったが、唐代の美人だから豊満だったはずだ。要するに、「太平」を洒落に使っているので、実在した女性の名前をこのように使うのは、中国人らしく面白い。
もっとも筆者によると、知り合いの中国人にたずねたらこの言葉ももう古いらしく、「最近ではそういう女性のことを飛機場(フェイジチャン 飛行場)と言うんですよ」という言葉が返ってきたとのことで、筆者は「いずれの言葉も言われる女性の側からすれば大変失礼な話だが、それにしても『飛行場』とは何と直接的な言い方よ。『太平公主』のほうが、言葉としてはまだ気が利いていると思うのは、私だけだろうか」と結んでいる