牛伏川では毎年春夏秋と年3回の観察会をしていましたが、今年はコロナ禍で春の観察会ができませんでした。その代わりに追加でこの晩秋に紅葉観察会を行いました。集合場所の連岳橋付近の紅葉です。
観察会ですので、まずはモミジについてのレクチャーを受けながらの観察です。紅葉と言えば「カエデ」…カエデは葉の形がカエルの手に似ている(かえるで)からきているそうです。モミジは木々の葉が色変わりする、秋に葉が色づくことを意味する言葉(もみづ)からきているそうです。カエデ属が紅葉する木の代表ということでカエデ属をモミジというようになったそうです。
カエデ属の中のまずは「イロハモミジ」(似呂波紅葉)…葉が7つに裂けていてイロハニホヘトと数えたことから名がついたそうです。赤、黄、オレンジに色付きます。
「オオモミジ」(大紅葉)はイロハモミジに似ていますが、葉が大きいです。赤、黄、オレンジに色付きます。
「ヤマモミジ」(山紅葉)はイロハモミジとオオモミジの中間くらいの大きさで葉のギザギザが荒いそうです。赤、黄、オレンジに色付きます。
「フカギレオオモミジ」(深切大紅葉)は葉の切れ込みが深いです。
「トウカエデ」(唐楓)は中国原産で葉は3裂、赤~黄色になります。
「コハウチワカエデ」(小羽団扇楓)はハウチワカエデの小型です。天狗の羽団扇のように丸くて切れ込みが多いです。
「エンコウカエデ」(猿猴楓)はイタヤカエデの仲間で葉柄が長いのが特徴です。
「カラコギカエデ」(鹿子木楓)は赤~オレンジに紅葉します。
ここにはカエデばかりでなく、他にも紅葉しているものがありました。鮮やかな黄色は「ダンコウバイ」です。黄色の「恐竜の足跡」がたくさん散っていました。
「コナラ」と「オオナラ」(ミズナラ)の違いはその葉の大きさによるのですが、「ミズナラ」は標高に高い所に育つようです。葉柄の長いのがコナラです。まずは「コナラ」です。
これは「ミズナラ」の実生から育った小さな木です。
大きなハチの巣があってビックリでした!アシナガバチの巣でしょうか→これはスズメバチの巣でした。訂正します。近づかないようにして写真だけ撮りました。
「ブナ」(橅)は大きな木になります。ここでもこの木は広場のシンボルツリーです。
足元の「ドウダンツツジ」がきれいに紅葉していました。
「ホオノキ」(朴の木)は木も葉もとっても大きいです。木曽地方ではこの葉に包んだ朴葉餅が有名です。→これも訂正です!この葉はトチの木でした…トチノキの葉は葉柄がなく集まっていますが、ホウノキはそれぞれ葉柄がついて集まっています。
野生の桑の木もありました。野生の蚕(天蚕)はナラの木の葉を食べるそうですが…
これは「エゾエノキ」(蝦夷榎)…オオムラサキの食草となります。ここでオオムラサキにに出会った時のことを思い出しました。
これは「ミズキ」(水木)…もうすっかり葉が落ちていました。樹液が多くて、特に春先に枝を折ると水のように滴り落ちるほどだそうです。
「オニグルミ」(鬼胡桃)も葉を落としていました。その葉が落ちた後を見てみると…なんと、「羊の顔」が浮かび上がっていました!本当にそれらしくてビックリでした。
晩秋ですので、実りの時期…まずは木々の実から、「コブシ」の実です。
これは「ズミ」(コナシ)です。この花が咲く時期も素敵です。
「ミツバウツギ」(三葉空木)の種はハート形…色合いも可愛らしいです。
可愛らしい色合いの実は「マユミ」(真弓)この実がはじけて中から紅い種が出ます。
「サンショウ」(山椒)の実も可愛い色合いです。この実ははじけて黒い種が出ます。
その他の植物の実もありました。「ナンテンハギ」(南天萩)はさやになっていました。
「ナルコユリ」(鳴子百合)の実は黒です。
「ヒヨドリジョウゴ」(鵯上戸)の朱色の実はとってもきれいです。
「チヂミザサ」(縮笹)の穂はいわゆるくっつき虫です。粘着性のある種はどこにでも良く付きます。
「ウバユリ」(姥百合)はもう種を飛ばしていました。
咲いている花はほとんどありませんでした。名残の「ノハラアザミ」と「ノコンギク」です。
山も色とりどり…きれいな紅葉を見せてくれていました。
階段工の上流まで行きました。こわごわ渡っていた「四つん這い橋」が立派な橋に付け替えられていました。もう四つん這いにならなくても大丈夫ですが、橋の立て札はそのまま…
「フランス式階段工」付近の木々はもう葉を落としてしまっていて紅葉はあまり見られませんが、晩秋の風景です。
駐車場のある蓮岳橋に戻りました。蓮岳橋からの眺めは秋の雰囲気で良かったです。
駐車場付近には「イロハモミジ」が何本かあって、ちょうど見ごろの時期…彩り豊かな紅葉でした。
散り敷く落ち葉のじゅうたん…これもまた見ごたえありました。
カエデについて学び、晩秋の木々の様子を観察し、きれいな紅葉を堪能して充実の観察会でした…