今回の旅の目的地、重要文化財の「旧 日向別邸」には「「ブルーノ・タウト」の「熱海の家」があります。「ブルーノ・タウト」はドイツの建築家でしたが、ナチス支配下を逃れて日本へ来て3年半の間滞在しました。この「熱海の家」はその間に日本で残した唯一の建築作品です。この建物は以前から気になっていましたが、数年前に「横山秀夫」の「ノースライト」を読んで(タウトの椅子がキーワードです)ますます気になって行こうとしました。でもしばらく耐震工事などで閉館していたので、ようやく今年訪れることが出来ました。ここは写真撮影可でしたが、その写真を発信することは禁止とのことでしたのでパンフレットからの記事です…こちらからもどうぞ旧日向家熱海別邸(旧日向別邸)|スポット | 【公式】熱海市の観光サイト あたみニュース (ataminews.gr.jp)
この別邸は上屋と地下室があって、上屋は「渡辺仁」の設計、地下室が「ブルーノタウト」の設計です。上屋もなかなか趣きある建物で、この設計者「渡辺仁」は銀座和光や横浜のホテルニューグランド、東京国立博物館本館などの設計に関わり、品川の原美術館も建てています。原美術館はとても素敵な美術館でしたのに閉館してしまい残念です。
この上屋の前に広がる庭の下に地下室があって、そちらがタウトの建築作品です。和と洋が融合した独特の建築で、色彩の建築家としてのタウトの意思も表現されています。漆喰や絹などの素材で各室を塗り分けていますし、タウトの椅子や電気スタンドなどの家具も置かれていました。
ここが完成したのは昭和11年です。社交室と洋間と上段の間、そして日本間と上段の間があります。日本的な竹や漆を使い、洋風な照明を素敵に使っている建物でした。
ここの見学は完全予約制で人数制限があるのですが、週一日だけ平日に見学できる午前中のコースは私たち夫婦ともう一人の方の3人だけでした。その3人にガイドさんがずっと付き添って解説し案内し、質問にも答えて下さいました。建物自体にも感激でしたが、時間をオーバーしての丁寧な案内にも感激の見学でした。写真もたくさん撮って見どころも満載なのですが、それを載せられないのがちょっと残念です…この建物の隣に隈研吾さん設計の建物があったのにも驚きでした。
ここからは熱海の風景です…宿から「旧日向邸」迄は1.8㎞と出ていて、駐車場の無い施設なので宿に車を預けて歩きました。海岸線は熱海らしい風景でした。
途中に尾崎紅葉の金色夜叉の碑と像が建っていました。私たちの世代にとってもこれは古いお話ですが、熱海にとっては大事なお話なのでしょうか…マンホールの蓋にも描かれていました。
熱海は海岸から山に向かって街が続いています。山の一番上にМOA美術館が見えました。坂道の上から眺めた風景もなかなか良かったです。旧日向邸迄の標高差は85m!急な階段や坂道に四苦八苦して登りました。
帰り道も急な階段を下りて戻りました。熱海で生活するには足腰を鍛えておかねばと感じたことでした。
最後にこの日の海からの日の出です…ゆっくり休んで気づいたらもう陽が昇るところでした。それでも美しい海からの日の出を眺めることが出来ました。朝日に輝く熱海の街も美しかったです。
長年思い描いていた「旧日向邸」の見学ができたこの日、熱海の街を歩いて歩数は7879歩でした…