今年もお盆がやってきた。
祖先の霊を祀る行事があり、菩提寺の棚経があるため、
部屋の清掃や仏壇のお供えに時間をとられていた。
お盆は、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事らしいが、
やはり身の引き締まる時期である。
親を亡くし、実家の宗派の教えに則って
毎年慎ましやかに準備をし続けて数十年が経ってしまった。
「早いものだなあ」と感じる。
新盆の際には・・・
「私が焦がれた御霊が本当に帰ってくるのだろうか」と
そう思いながら、眠れない夜を過ごした経験が
昨日のことのように思い出される。
生々しい記憶だ。
今年は、父の十七回忌(平成18年4月14日)であり、
母の二十五回忌(平成10年8月16日)でもある。
無事に帰ってこれるように一晩中灯りを消さず、
朝をむかえても、焦がれた御霊を確認することはできず、
毎年いつもどおりの私の時間を過ごす。
お盆だからと言って何も変わらない。
ただ、いつもよりもたくさんご先祖様のことを考え、
身近に感じているだけのこと・・・。
それでも、お盆だからこその行為もあり、
こういう行事を借りて、
怠慢な自分の日常をふりかえることもできるわけだ。
御霊はもう私自身の中に入り込んでいるから、
わざわざお盆にお帰りいただかなくてもいいんだけれど、
そういう行事だから、そういう慣習にさからわず、
この日を過ごしている。
お供えやお寺へのお布施もまた、
一連の行事のひとつ・・・。
私自身は無宗教だけれども、祖先の供養は必要なわけで
形態は変われども確立された風習に従うのみだ。
いつもどおり、御霊と一緒に・・・。