Michael Jackson / Will You Be There
昨今は、マイケル・ジャクソンの話題が多くなったように感じる。
死して尚、より評価が高まっているようだ。
好きな曲はたくさんあるけれど、あえてこの映像をここに置く・・・。
これは、彼が80年代成功を収めた後、1991年に発表された曲である。
あまりにも、胸に突き刺さる歌詞に、マイケルの裸の心の内を観る想いだ。
人というよりも、敬虔な信仰人だったマイケルが「大いなる神」に向けて
自分をさらけだしているような内容で、どうしても複雑な感情が湧いてくる。
(これは、私個人の解釈であることをご了承下さい)
社会問題を背負った多くの人々だけでなく、マイケル自身にも振りかかった
当時のストレートな感情や重圧や苦悩が、そのまま描かれていると感じる。
(作詞&作曲/マイケル・ジャクソン)
「僕を抱きしめてくれますか?」
「どんな時でも、そこにいてくれますか?」
「母親のように、僕を愛してくれますか?」
そういうような歌詞を何度も繰り返した後で・・・次のような歌詞が続く。
「人々は、僕に言うんだ。誠実であるべきだと・・・」
「困難な時ほど自分の足で歩いて、最後まで闘うべきだと・・・」
「でも僕は、ただの人間なんだ!」
「皆、僕を操ろうとしている」
「まるで役割を与えられているかのようになってしまっているけれど・・・
どのようにしたらいいのか、もう自分ではわからない」
「僕を見守ってください!」
「僕を導いてください!」
上記の舞台演出では、あらゆる人種の人々や、様々な集団をわたりながら、
「僕を抱きしめて、そこまで連れて行ってください!」
「僕を解放してください!」
と懇願するように叫んでいる。
途中に挿入されているマイケルの吐露は、一つの舞台を思い出させる。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」
(1971年ブロードウェイ初演/アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲)
キリストを「一人の人間」として描いたこの舞台は、初演の発表当時は、
デモがでるぐらい、世界中の宗教界に大きな波紋を呼んだ。
何よりも、全体がロックミュージカルになっていたので、余計に問題だった。
「神を冒涜している」というのが、反対勢力の言い分だった。
しかし、私は、この作品が大好きである。
宗教問題などは全く度外視して、一人の人間(ジーザス)が背負わされた苦悩と
大業の狭間で大きく揺れ動くストーリー展開が、大好きなのだ。素晴しい!
ロイド・ウェバーの作曲した楽曲も、この作品に関しては全てが大好きである。
(若き無名の天才作曲家の誕生を知らしめた作品となった)
その舞台中で、ジーザズが自ら大きな十字架を背負い、ゴルゴダの丘を登り、
処刑されるのだが・・・
その処刑前に、(ジーザズが)最後に神に向けて、苦悩を歌うシーンがある。
「神よ、何故、私なのだ?!」
「神よ、何故、私を選ばれたのだ!」
「身も心も疲れ果てた私に、何を期待しているのだ!」
そして、最終的に、ジーザズは、ある覚悟を決めて、「やり遂げて見せよう」
「神よ、見とどけてくれ」と、ゴルゴダの処刑を甘んじて受けることになる。
私の中で・・・・不思議なことではあるが・・・
マイケルの「Will You Be There 」は、上記の作品と重なってしまうのだ。
宗教家でも信仰人でもない私には、想像がつかない“はかりしれない深いもの”が
あるとは思うが、人間が辛い時に感じることなどは、共有できないものではない。
どんどん膨らみ期待をつのらせる民衆と、その現象にあらゆる意見を巻き込む
立場の異なる周囲の人々・・・・。
極限まで追い込まれた時のプレッシャーと必死に闘い、もがく人間像・・・。
しかし、自分の運命をのろいながらも、自発的に“ある選択”(決意)をする。
そんな苦悩は、誰でも少しは理解できるはずである。
だから、「共感」は、どんなものからも生まれいづる。
私は、無宗教なので、本当に無知である。
パフォーマンスの観点から判断していることを、何卒ご理解いただきたい。
この曲を歌うとき、最後の台詞のシーンで、マイケルはいつも涙声だ。
苦しみや迷いと常に隣り合わせの状況で、それでも「そこにいてくれますか」と
声をかけた上で、「僕はあなたのもとを決して離れません」ということを伝え、
自分のどんな困難な時期にも、いつも「あなたが、僕の心の中にいてくれる」と
結んでいる。
最後の台詞は、まさに彼の「心の叫び」で、当時の「偽らざる心模様だ」と思う。
In Our Darkest Hour
In My Deepest Despair
Will You Still Care?
Will You Be There?
In My Trials
And My Tripulations
Through Our Doubts
And Frustrations
In My Violence
In My Turbulence
Through My Fear
And My Confessions
In My Anguish And My Pain
Through My Joy And My Sorrow
In The Promise Of Another Tomorrow
I'll Never Let You Part
For You're Always In My Heart.