平成28(許)46 債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成29年10月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 破棄自判 東京高等裁判所
債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となる。
裁判所の事実認定です。
(1) 抗告人は,平成28年1月12日,東京地方裁判所に対し,相手方を債務者,荒川区を第三債務者とし,請求債権及び差押債権を次のとおりとする債権差押命令の申立てをし,同月20日,前件差押命令が発せられた。遅延損害金及び執行費用合計117万9934円と相手方が荒川区から支払を受ける介護給付費等に係る債権のうち上記請求債権の金額に満つるまでの部分を差押債権と設定されました。
税金未納だったのでしょうか。
(2) 本件債務名義は,元金及びこれに対する支払済みまでの遅延損害金の支払を内容とするものであった。東京地方裁判所では,第三債務者が遅延損害金の額を計算する負担を負うことのないように,債権差押命令の申立書には,請求債権中の遅延損害金につき,申立日までの確定金額を記載させる取扱いをした。
事務事情は分かりませんが、荒川区の計算が手間取ったのでしょう。
前件差押命令の申立てにおいても,抗告人は,本件取扱いに従って,請求債権中の遅延損害金を上記申立ての日までの確定金額とした。
(3) 抗告人は,平成28年2月22日から同年3月31日までの間に,荒川区から,前件差押命令に基づく差押債権の取立てとして,4回にわたり,上記(1)請求債権相当額(本件取立金)の支払を受けた。
(4) 抗告人は,平成28年4月11日,原々審に対し,相手方を債務者,荒川区を第三債務者とし,請求債権及び差押債権を次のとおりとする債権差押命令の申立て(以下「本件申立て」という。)をした。
請求債権 最終支払日の翌日以降の遅延損害金及び執行費用合計1万6797円
差押債権 相手方が荒川区から支払を受ける介護給付費等に係る債権のうち上記請求債権の金額に満つるまでの部分
原審では、「前件申立日までの遅延損害金及び執行費用の各確定金額を記載した以上,前件申立日の翌日以降の遅延損害金は,本件取立金の充当の対象とはならないものと解すべきである。」として、一度請求金額が確定したんだから、それ以降の分はダメでしょうと言う事のようです。
最高裁は
金銭債権に対する強制執行は,本来債務者に弁済すれば足りた第三債務者に対して,差押えによって,債務者への弁済を禁じ,差押債権者への弁済又は供託をする等の義務を課すものであるから,手続上,第三債務者の負担にも配慮がされなければならない。
債務者自らが請求債権中の遅延損害金の金額を計算しなければ,差押債権者の取立てに応ずべき金額が分からないという事態が生ずることのないようにするための配慮として,合理性を有するものである(最高裁平成20年(受)第1134号同21年7月14日第三小法廷判決・民集63巻6号1227頁参照)。
自らが計算しなければ分からないというのもどうかと。これは、裁判所命令によって強制的に調査して、確定させなければならないと思うのですが。という趣旨で、決められた制度だと言っているようです。確かにその通りです。。
本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者は,債権差押命令に基づく差押債権の取立てに係る金員の充当の場面では,もはや第三債務者の負担に配慮をする必要がないのであるから,上記金員が支払済みまでの遅延損害金に充当されることについて合理的期待を有していると解するのが相当であり,債権者が本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをしたからといって,直ちに申立日の翌日以降の遅延損害金を上記金員の充当の対象から除外すべき理由はない
そして結論、全員一致です。
本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となると解するのが相当である。
だからこそ、確定させていいじゃないかという気がしますけど。よほど抗告人の態度が悪かった?裁判官の心証を悪くしたのでしょうか。債権者としては、ふざけんなというのも分かりますよ。払えなくなったのだから、差押えになったわけで。
第三小法廷決定
裁判長裁判官 山崎敏充 今一つ
裁判官 岡部喜代子 今一つ
裁判官 木内道祥 今一つ
裁判官 戸倉三郎 今一つ
裁判官 林 景一 今一つ
平成29年10月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 破棄自判 東京高等裁判所
債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となる。
裁判所の事実認定です。
(1) 抗告人は,平成28年1月12日,東京地方裁判所に対し,相手方を債務者,荒川区を第三債務者とし,請求債権及び差押債権を次のとおりとする債権差押命令の申立てをし,同月20日,前件差押命令が発せられた。遅延損害金及び執行費用合計117万9934円と相手方が荒川区から支払を受ける介護給付費等に係る債権のうち上記請求債権の金額に満つるまでの部分を差押債権と設定されました。
税金未納だったのでしょうか。
(2) 本件債務名義は,元金及びこれに対する支払済みまでの遅延損害金の支払を内容とするものであった。東京地方裁判所では,第三債務者が遅延損害金の額を計算する負担を負うことのないように,債権差押命令の申立書には,請求債権中の遅延損害金につき,申立日までの確定金額を記載させる取扱いをした。
事務事情は分かりませんが、荒川区の計算が手間取ったのでしょう。
前件差押命令の申立てにおいても,抗告人は,本件取扱いに従って,請求債権中の遅延損害金を上記申立ての日までの確定金額とした。
(3) 抗告人は,平成28年2月22日から同年3月31日までの間に,荒川区から,前件差押命令に基づく差押債権の取立てとして,4回にわたり,上記(1)請求債権相当額(本件取立金)の支払を受けた。
(4) 抗告人は,平成28年4月11日,原々審に対し,相手方を債務者,荒川区を第三債務者とし,請求債権及び差押債権を次のとおりとする債権差押命令の申立て(以下「本件申立て」という。)をした。
請求債権 最終支払日の翌日以降の遅延損害金及び執行費用合計1万6797円
差押債権 相手方が荒川区から支払を受ける介護給付費等に係る債権のうち上記請求債権の金額に満つるまでの部分
原審では、「前件申立日までの遅延損害金及び執行費用の各確定金額を記載した以上,前件申立日の翌日以降の遅延損害金は,本件取立金の充当の対象とはならないものと解すべきである。」として、一度請求金額が確定したんだから、それ以降の分はダメでしょうと言う事のようです。
最高裁は
金銭債権に対する強制執行は,本来債務者に弁済すれば足りた第三債務者に対して,差押えによって,債務者への弁済を禁じ,差押債権者への弁済又は供託をする等の義務を課すものであるから,手続上,第三債務者の負担にも配慮がされなければならない。
債務者自らが請求債権中の遅延損害金の金額を計算しなければ,差押債権者の取立てに応ずべき金額が分からないという事態が生ずることのないようにするための配慮として,合理性を有するものである(最高裁平成20年(受)第1134号同21年7月14日第三小法廷判決・民集63巻6号1227頁参照)。
自らが計算しなければ分からないというのもどうかと。これは、裁判所命令によって強制的に調査して、確定させなければならないと思うのですが。という趣旨で、決められた制度だと言っているようです。確かにその通りです。。
本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者は,債権差押命令に基づく差押債権の取立てに係る金員の充当の場面では,もはや第三債務者の負担に配慮をする必要がないのであるから,上記金員が支払済みまでの遅延損害金に充当されることについて合理的期待を有していると解するのが相当であり,債権者が本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをしたからといって,直ちに申立日の翌日以降の遅延損害金を上記金員の充当の対象から除外すべき理由はない
そして結論、全員一致です。
本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となると解するのが相当である。
だからこそ、確定させていいじゃないかという気がしますけど。よほど抗告人の態度が悪かった?裁判官の心証を悪くしたのでしょうか。債権者としては、ふざけんなというのも分かりますよ。払えなくなったのだから、差押えになったわけで。
第三小法廷決定
裁判長裁判官 山崎敏充 今一つ
裁判官 岡部喜代子 今一つ
裁判官 木内道祥 今一つ
裁判官 戸倉三郎 今一つ
裁判官 林 景一 今一つ