平成28(受)1892 損害賠償請求事件
平成29年10月23日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
個人情報の漏えいを理由とする損害賠償請求訴訟における損害に関する原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例
プライバシー侵害に基づく慰謝料請求に関するベネッセ個人情報流出事件のようです。
原告側の団体のページ「ベネッセ個人情報漏洩事件 被害者の会」
事件の概要は、こちらが詳しいです。
2014年6月ごろより、ベネッセの顧客に、ベネッセのみに登録した個人情報を使って他社からダイレクトメールが届くようになり、ベネッセから個人情報が漏洩しているのではないかという問い合わせが急増した。
ベネッセは社内調査を行い、 7月9日、原田泳幸会長兼社長が記者会見し、「データベースの顧客情報が外部に持ち出され、最大約2070万件の情報が漏洩した可能性がある」と発表した[2]。流出した情報は、進研ゼミなどの顧客の情報であり、子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日など。
7月19日、警視庁は、ベネッセのグループ企業、シンフォームに勤務していた派遣社員のエンジニアを逮捕。取り調べで情報を持ち出し、名簿業者に売却したことを認めた。
裁判所の事実認定を見ていきます。
(1) 上告人は,未成年者であるBの保護者であり,被上告人は,通信教育等を目的とする会社である。
(2) 被上告人が管理していたBの氏名,性別,生年月日,郵便番号,住所及び電話番号並びにBの保護者としての上告人の氏名といった上告人に係る個人情報(以下「本件個人情報」と総称する。)は,遅くとも平成26年6月下旬頃までに外部に漏えいした(以下「本件漏えい」という。)。
(3) 本件漏えいは,被上告人のシステムの開発,運用を行っていた会社の業務委託先の従業員であった者が,被上告人のデータベースから被上告人の顧客等に係る大量の個人情報を不正に持ち出したことによって生じたものであり,上記の者は,持ち出したこれらの個人情報の全部又は一部を複数の名簿業者に売却した。
私の甥っ子の所にも届きましたよ。
大阪高裁は、
本件漏えいによって,上告人が迷惑行為を受けているとか,財産的な損害を被ったなど,不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張,立証がされていないから,上告人の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。
うちの場合にも実害がないのでほったらかしにしました。これが、従来の法律家の考えでしょう。
最高裁では、
本件個人情報は,上告人のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきであるところ(最高裁平成14年(受)第1656号同15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973頁参照),上記事実関係によれば,本件漏えいによって,上告人は,そのプライバシーを侵害されたといえる。
ちょっと待ってくださいよ。先の根拠となっている判決は、中国の国家元首が日本に来て講演をやったときに、その講演に抗議した人の情報を提供ですよね。抗議した内容はともかくとして、治安維持と業務執行妨害に絡んだものであり(この判決自体おかしなもの)、これとダイレクトメールと同列に見て議論を尽くしていないというのはどうなんでしょうか。キーワードが同じというだけで差し戻ししたように見えてきます。
最高裁は、もう少し差し戻しをする理由を丁寧に説明する必要があります。
全員一致で差し戻しになりました。
第二小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信 今一つ
裁判官 鬼丸かおる 今一つ
裁判官 山本庸幸 今一つ
裁判官 菅野博之 今一つ
平成29年10月23日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
個人情報の漏えいを理由とする損害賠償請求訴訟における損害に関する原審の判断に審理不尽の違法があるとされた事例
プライバシー侵害に基づく慰謝料請求に関するベネッセ個人情報流出事件のようです。
原告側の団体のページ「ベネッセ個人情報漏洩事件 被害者の会」
事件の概要は、こちらが詳しいです。
2014年6月ごろより、ベネッセの顧客に、ベネッセのみに登録した個人情報を使って他社からダイレクトメールが届くようになり、ベネッセから個人情報が漏洩しているのではないかという問い合わせが急増した。
ベネッセは社内調査を行い、 7月9日、原田泳幸会長兼社長が記者会見し、「データベースの顧客情報が外部に持ち出され、最大約2070万件の情報が漏洩した可能性がある」と発表した[2]。流出した情報は、進研ゼミなどの顧客の情報であり、子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日など。
7月19日、警視庁は、ベネッセのグループ企業、シンフォームに勤務していた派遣社員のエンジニアを逮捕。取り調べで情報を持ち出し、名簿業者に売却したことを認めた。
裁判所の事実認定を見ていきます。
(1) 上告人は,未成年者であるBの保護者であり,被上告人は,通信教育等を目的とする会社である。
(2) 被上告人が管理していたBの氏名,性別,生年月日,郵便番号,住所及び電話番号並びにBの保護者としての上告人の氏名といった上告人に係る個人情報(以下「本件個人情報」と総称する。)は,遅くとも平成26年6月下旬頃までに外部に漏えいした(以下「本件漏えい」という。)。
(3) 本件漏えいは,被上告人のシステムの開発,運用を行っていた会社の業務委託先の従業員であった者が,被上告人のデータベースから被上告人の顧客等に係る大量の個人情報を不正に持ち出したことによって生じたものであり,上記の者は,持ち出したこれらの個人情報の全部又は一部を複数の名簿業者に売却した。
私の甥っ子の所にも届きましたよ。
大阪高裁は、
本件漏えいによって,上告人が迷惑行為を受けているとか,財産的な損害を被ったなど,不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張,立証がされていないから,上告人の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。
うちの場合にも実害がないのでほったらかしにしました。これが、従来の法律家の考えでしょう。
最高裁では、
本件個人情報は,上告人のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきであるところ(最高裁平成14年(受)第1656号同15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973頁参照),上記事実関係によれば,本件漏えいによって,上告人は,そのプライバシーを侵害されたといえる。
ちょっと待ってくださいよ。先の根拠となっている判決は、中国の国家元首が日本に来て講演をやったときに、その講演に抗議した人の情報を提供ですよね。抗議した内容はともかくとして、治安維持と業務執行妨害に絡んだものであり(この判決自体おかしなもの)、これとダイレクトメールと同列に見て議論を尽くしていないというのはどうなんでしょうか。キーワードが同じというだけで差し戻ししたように見えてきます。
最高裁は、もう少し差し戻しをする理由を丁寧に説明する必要があります。
全員一致で差し戻しになりました。
第二小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信 今一つ
裁判官 鬼丸かおる 今一つ
裁判官 山本庸幸 今一つ
裁判官 菅野博之 今一つ