平成29(受)2177 執行判決請求事件
平成31年1月18日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
訴訟当事者に判決の内容が了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続は民訴法118条3号にいう公の秩序に反する
たぶん、この記事のことを言っているのかなと思いますが、ニュースでは出てきませんでしたので、事実確認から見ていきます。
(1) カリフォルニア州の民事訴訟制度の下においては,判決は裁判所において登録され,原則として当事者の一方が他方に対し判決登録通知を送達することとされ,判決に対する控訴期間は遅くとも判決登録の日から180日を経過することにより満了するものとされている。
(2) 上告人らは,平成25年(2013年)3月,米国カリフォルニア州オレンジ郡上位裁判所(以下「本件外国裁判所」という。)に対し,被上告人外数名を被告として損害賠償を求める訴えを提起した。
(3) 被上告人は,弁護士を代理人に選任して応訴したが,訴訟手続の途中で同弁護士が本件外国裁判所の許可を得て辞任した。被上告人がその後の期日に出頭しなかったため,上告人らの申立てにより,手続の進行を怠ったことを理由とする欠席(デフォルト)の登録がされた。
Aを被告にアメリカで民意訴訟裁判を始めましたが、弁護士が裁判所の許可を得て辞任しました。Aはその裁判の上訴期限までに不服を申し立てられなかったので、欠席裁判になりました。欠席裁判は、訴えた人の主張を丸ごと認められてしまいます。
(4) 本件外国裁判所は,上告人らの申立てにより,平成27年(2015年)3月,被上告人に対し,約27万5500米国ドルの支払を命ぜられた。
(5) 上告人らの代理人弁護士は,平成27年(2015年)3月,被上告人に対し,本件外国判決に関し,判決書の写しを添付した判決登録通知を,誤った住所を宛先として普通郵便で発送した。上記通知が被上告人に届いたとはいえない。
(6) 被上告人は,本件外国判決の登録の日から180日の控訴期間内に控訴せず,その他の不服申立ても所定期間内にしなかったことから,本件外国判決は確定した。
Aは日本に帰国したのでしょう。外国の裁判なんか知ったことか!とやられてはたまらないので、Bは27万ドルの債権があることを確認のための訴えを起こしたようです。
その後裁判の相手方Bの弁護士が大ボケをかまします。この弁護士がAに送ったと思った判決文が、間違った住所に送られて届かなかったようです。そのせいで180日の控訴期間に間に合わず、27万ドル(2億8千万円)の支払いが命じられました。
地裁では、27万ドル払えとうのはダメと判決が出ました。
ちなみに、本来は裁判は本人訴訟主義ですので代理人(弁護士)をたてる義務はありません。実際は裁判所は嫌がりますけど。なので、代理人を事実上監視しなければなりません。
我が国の裁判制度を規律する法規範の内容となっており,民訴法118条3号にいう公の秩序の内容を成している。本件外国判決は被上告人に対する判決の送達がされないまま確定したから,その訴訟手続は同号にいう公の秩序に反する。
ん?二項の「二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。」ではなくて????
そこで最高裁は次のように判断しました。
(1)外国判決に係る訴訟手続が我が国の採用していない制度に基づくものを含むからといって,その一事をもって直ちに上記要件を満たさないということはできないが,それが我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものと認められる場合には,その外国判決に係る訴訟手続は,同条3号にいう公の秩序に反するというべきである(最高裁平成5年(オ)第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照)。
(2) 我が国の民訴法においては,判決書は当事者に送達しなければならないこととされ(255条),判決に対する不服申立ては判決書の送達を受けた日から所定の不変期間内に提起しなければならず,判決は上記期間の満了前には確定しないこととされている(116条,285条,313条)。そして,送達は,裁判所の職権によって,送達すべき書類を受送達者に交付するか,少なくとも所定の同居者等に交付し又は送達すべき場所に差し置くことが原則とされ,当事者の住所,居所その他送達をすべき場所が知れないなど上記の送達方法によることのできない事情のある場合に限り,公示送達等が例外的に許容されている(98条,101条,106条,107条,110条)。
要するに、日本の制度では裁判結果は必ず相手に伝えなければならいことが義務付けられているので、この件ではAに伝わっていなかったので、裁判は結審していないと同じ扱いだという主張です。
全員一致の判断でした。
第二小法廷
裁判長裁判官 鬼丸かおる 釈然としない
裁判官 山本庸幸 釈然としない
裁判官 菅野博之 釈然としない
裁判官 三浦 守 釈然としない
何か釈然としません。Aは弁護士を日本国内でも立てなかったのでしょうか?確かに弁護士にはきちんとしたのとアホなのと極端ですが、素人が全部やるよりはマシだと思います。
カルフォルニアでの裁判では、判決が出てから180日ですよね。半年間放置されて疑問に思わなかった?27万ドルの支出が絡んでいるんですよ。
日本でも、いつまでたっても判決が届かない、請求が来ないというのはおかしいと思わなかったのですかね。藪蛇だとしてしらばくれるつもりだったのでしょうか。
公序良俗を楯にしてAの不作為を問わないのは釈然としません。そもそもこれが公序良俗?
平成31年1月18日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
訴訟当事者に判決の内容が了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続は民訴法118条3号にいう公の秩序に反する
たぶん、この記事のことを言っているのかなと思いますが、ニュースでは出てきませんでしたので、事実確認から見ていきます。
(1) カリフォルニア州の民事訴訟制度の下においては,判決は裁判所において登録され,原則として当事者の一方が他方に対し判決登録通知を送達することとされ,判決に対する控訴期間は遅くとも判決登録の日から180日を経過することにより満了するものとされている。
(2) 上告人らは,平成25年(2013年)3月,米国カリフォルニア州オレンジ郡上位裁判所(以下「本件外国裁判所」という。)に対し,被上告人外数名を被告として損害賠償を求める訴えを提起した。
(3) 被上告人は,弁護士を代理人に選任して応訴したが,訴訟手続の途中で同弁護士が本件外国裁判所の許可を得て辞任した。被上告人がその後の期日に出頭しなかったため,上告人らの申立てにより,手続の進行を怠ったことを理由とする欠席(デフォルト)の登録がされた。
Aを被告にアメリカで民意訴訟裁判を始めましたが、弁護士が裁判所の許可を得て辞任しました。Aはその裁判の上訴期限までに不服を申し立てられなかったので、欠席裁判になりました。欠席裁判は、訴えた人の主張を丸ごと認められてしまいます。
(4) 本件外国裁判所は,上告人らの申立てにより,平成27年(2015年)3月,被上告人に対し,約27万5500米国ドルの支払を命ぜられた。
(5) 上告人らの代理人弁護士は,平成27年(2015年)3月,被上告人に対し,本件外国判決に関し,判決書の写しを添付した判決登録通知を,誤った住所を宛先として普通郵便で発送した。上記通知が被上告人に届いたとはいえない。
(6) 被上告人は,本件外国判決の登録の日から180日の控訴期間内に控訴せず,その他の不服申立ても所定期間内にしなかったことから,本件外国判決は確定した。
Aは日本に帰国したのでしょう。外国の裁判なんか知ったことか!とやられてはたまらないので、Bは27万ドルの債権があることを確認のための訴えを起こしたようです。
その後裁判の相手方Bの弁護士が大ボケをかまします。この弁護士がAに送ったと思った判決文が、間違った住所に送られて届かなかったようです。そのせいで180日の控訴期間に間に合わず、27万ドル(2億8千万円)の支払いが命じられました。
地裁では、27万ドル払えとうのはダメと判決が出ました。
ちなみに、本来は裁判は本人訴訟主義ですので代理人(弁護士)をたてる義務はありません。実際は裁判所は嫌がりますけど。なので、代理人を事実上監視しなければなりません。
我が国の裁判制度を規律する法規範の内容となっており,民訴法118条3号にいう公の秩序の内容を成している。本件外国判決は被上告人に対する判決の送達がされないまま確定したから,その訴訟手続は同号にいう公の秩序に反する。
ん?二項の「二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。」ではなくて????
そこで最高裁は次のように判断しました。
(1)外国判決に係る訴訟手続が我が国の採用していない制度に基づくものを含むからといって,その一事をもって直ちに上記要件を満たさないということはできないが,それが我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものと認められる場合には,その外国判決に係る訴訟手続は,同条3号にいう公の秩序に反するというべきである(最高裁平成5年(オ)第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照)。
(2) 我が国の民訴法においては,判決書は当事者に送達しなければならないこととされ(255条),判決に対する不服申立ては判決書の送達を受けた日から所定の不変期間内に提起しなければならず,判決は上記期間の満了前には確定しないこととされている(116条,285条,313条)。そして,送達は,裁判所の職権によって,送達すべき書類を受送達者に交付するか,少なくとも所定の同居者等に交付し又は送達すべき場所に差し置くことが原則とされ,当事者の住所,居所その他送達をすべき場所が知れないなど上記の送達方法によることのできない事情のある場合に限り,公示送達等が例外的に許容されている(98条,101条,106条,107条,110条)。
要するに、日本の制度では裁判結果は必ず相手に伝えなければならいことが義務付けられているので、この件ではAに伝わっていなかったので、裁判は結審していないと同じ扱いだという主張です。
全員一致の判断でした。
第二小法廷
裁判長裁判官 鬼丸かおる 釈然としない
裁判官 山本庸幸 釈然としない
裁判官 菅野博之 釈然としない
裁判官 三浦 守 釈然としない
何か釈然としません。Aは弁護士を日本国内でも立てなかったのでしょうか?確かに弁護士にはきちんとしたのとアホなのと極端ですが、素人が全部やるよりはマシだと思います。
カルフォルニアでの裁判では、判決が出てから180日ですよね。半年間放置されて疑問に思わなかった?27万ドルの支出が絡んでいるんですよ。
日本でも、いつまでたっても判決が届かない、請求が来ないというのはおかしいと思わなかったのですかね。藪蛇だとしてしらばくれるつもりだったのでしょうか。
公序良俗を楯にしてAの不作為を問わないのは釈然としません。そもそもこれが公序良俗?