最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

保振に預けた資産は差し押さえできる

2019-02-23 10:02:19 | 日記
平成30(許)1  譲渡命令に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
平成31年1月23日  最高裁判所第二小法廷  決定  破棄差戻  大阪高等裁判所

1 被相続人名義の口座に記録等がされている振替株式等の共同相続により債務者が承継した共有持分に対する差押命令は,当該振替株式等について債務者名義の口座に記録等がされていないとの一事をもって違法であるとはいえない
2 執行裁判所は,譲渡命令の申立てが振替株式等の共同相続により債務者が承継した共有持分についてのものであることから直ちに当該譲渡命令を発することができないとはいえない


ニュースでは出ていないので、判決文から見ていきます。
1 社債等振替法2条4項に規定する口座管理機関であるSMBC日興 証券株式会社が備える振替口座簿に開設した亡A名義の口座に記録された株式,投 資信託受益権及び投資口につき,亡Aの相続人である相手方ほか4名が共同相続 し,相手方がそれらの共有持分を有するとして,本 件持分に対する差押命令の申立てをし,本件差 押命令を得た。

どうやら相続関係らしいですね。いわゆる保振に預けっぱなしになっている株と投信を相続したのに、証券会社が共有する部分があるから返さないと拒否したので、遺族が差し押さえを申請しました。ここまでもめたのは、貸し株か何かしてたのでしょうか。

原審では
(1)執行裁判所は,債務者が差押命 令の対象となる振替社債等を有するか否かを振替口座簿の記録等により審査すべき であり,債務者以外の者の名義の口座に記録等がされた振替社債等に対する差押命 令を発することはできないと解される。
(2) 共同相続された振替社債等について,共同相続人全員の名義の口座に記録 等をすることはできるものの,共同相続人の1人の名義の口座にその共有持分の記 録等をすることはできず,当該共有持分についての譲渡命令が確定しても当該譲渡 命令による譲渡の効力を生じさせることができないから,執行裁判所は当該譲渡命 令を発することはできず,本件申立ては不適法である。


何か書き方が今ひとつでよくわかりにくいのですが、証券会社で開設された口座は誰がどれを引き継ぐというのは決まっていないので、手続きができないので差し押さえはできないと言っているのでしょうか。


最高裁は
(1)社債等振替法は,振替株式,振替投資信託受益権及び振替投資口についての権利の帰属は振替口座簿の記録等により 定まるものとしている(振替株式につき128条1項,振替投資信託受益権につき 121条において読み替えて準用する66条柱書き,振替投資口につき226条1 項)。・・・被相続人名義の口座に記録等がされている振替株式等が共同相続さ れた場合において,その共同相続により債務者が承継した共有持分に対する差押命 令は,当該振替株式等について債務者名義の口座に記録等がされていないとの一事 をもって違法であるということはできないと解するのが相当である。
(2) 共同相続された振替株式等につき共同相続人の1人の名義の口座にその共 有持分の記録等をすることができないからといって,当該共有持分についての譲渡 命令が確定した結果,当該譲渡命令による譲渡の効力が生じ得ないものとはいえない。



その通りだと思います。なんでこれが問題になったのか分からないくらいすっきりしています。

鬼丸かおる裁判官の補足意見
上記の振替方法を実現するためには,口座管理機関が共有 口座を開設することが必要になるが,振替株式等につきそのような取扱いが実際に は広く行われているようには思われない。また,共有口座の開設や債務者共有持分 についての譲渡命令が確定した後の振替の申請には,債務者以外の共同相続人全員 の協力を得る必要があることも否定し難く,その協力が得られなければ上記の振替 方法の実現には困難を伴うこととなる(なお,裁判所書記官が上記共同相続人全員 と共同で共有状態にある振替株式等の振替の申請を行うことの可否及びその法令上 の根拠の検討も必要であろう。)。

分からなくもないです。確かに、証券会社の保振は共同名義なるものはないですから。あくまでも個人の所得に関する制度になります。

譲渡命令が確定した場合にお いて当該譲渡命令が口座管理機関に送達された時に,差押債権者の債権及び執行費 用は執行裁判所の定めた譲渡価額で弁済されたとみなされる(民事執行規則150 条の7第6項において準用する民事執行法160条)から,上記のようなリスクは 結局のところ差押債権者が負わざるを得ないとの帰結となってしまう。差押禁止財 産として法定されていない振替株式等の差押えを行う差押債権者が換価に当たって 振替方法による制約によってリスクを負うことは,法令上想定されているとは思わ れないのであり

そうですかねぇ。不動産の共同所有の場合と何ら変わらないように思えますけど。所得計算は名義が確定するまで人数で按分すればいいわけで。類推適用できないわけじゃないでしょう。

裁判長裁判官 鬼丸かおる  まわりくどい
裁判官 山本庸幸 妥当
裁判官 菅野博之 妥当
裁判官 三浦 守 妥当