平成30(あ)1381 わいせつ電磁的記録記録媒体陳列,公然わいせつ被告事件
令和3年2月1日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録
を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助に
よることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否
2 警察官が日本国外に所在する蓋然性がある記録媒体にリモートアクセスをして電磁的記録の複写をするなどして収集した証拠について証拠能力が肯定された事例
3 リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状の執行に当たり個々の電磁的記録について個別に内容を確認することなく複写の処分を行うことが許されるとされた事例
4 インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとされた事例
昨日の続きです。
(ア)X社は,アメリカ合衆国所在の会社であり,前記サイト「X」を管理・運営し,X内において,平成19年11月以降,投稿サイト「X動画」のサービスを,平成22年8月以降,配信サイト「Xライブ」のサービスをそれぞれ提供していた
(イ)X動画では,インターネットを通じてX社が契約するサーバに動画データを投稿することができ,投稿された動画データは,無料会員用と有料会員用等の用途に合わせて変換された後,X社が管理する配信サーバに送られ,不特定多数の視聴者がそのサーバにアクセスすることで,その動画の内容を視聴できる。X動画では,有料会員については無料会員と比較して種々の特典が設けられており,視聴者に有料会員登録を促す措置が講じられている。
(ウ)Xライブでは,ウェブカメラ等で撮影した動画データをインターネットを通じて生中継でX社管理のサーバに配信することができ,不特定多数の視聴者が当該サーバにアクセスすることで,その動画をリアルタイムで視聴できる。
ここではブログの規制に引っかかりそうなので削除しましたが、生を生放送していたようです。これで充分わいせつ物陳列罪に該当しますね。というか先にFBIに検挙されてもかしくない案件ですが。
(ア)Yは,本件当時,Xに関する業務の大半を行っており,X社と共にX動画やXライブを含むXの業務全般を管理・運営していた。
(イ)本件当時,被告人両名は,X社の代表者であるZと共に,Y従業員を介して,X社の業務全般を管理・運営していた。
(ウ)本件各サイトでは,児童ポルノ,獣姦,死体写真,ひどい暴力等のコンテンツについては,一定の基準で凍結等の措置が採られ,特に前二者については監視体制を設けて積極的に削除するなどの措置が講じられていた一方,無修正わいせつ動画については,アダルトカテゴリでは基本的に放置する方針が採られており
こりゃまた中途半端な管理です。
被告人両名らは,アメリカ合衆国の法律では問題がないとして無修正わいせつ動画の投稿や配信を許可してきたことに関し,弁護士から,日本国内では刑事責任を問われる可能性がある旨を繰り返し指摘されていた。しかし,被告人両名らは,X動画のアップロード画面上の投稿者に対する警告文から「無修正ポルノ」の文言を削除し,公然わいせつ被疑事件について捜査照会を受けていたXライブアダルトの配信者が逮捕された後も,他の動画投稿サイトでは削除等がされている無修正わいせつ動画を放置するなど,上記方針を維持していた。
児童ポルノはアメリカでは容赦しませんよ。
前記の事実関係によれば,被告人両名及びZは,本件各サイトに無修正わいせつ動画が投稿・配信される蓋然性があることを認識した上で,
Yは知らなかったわけではないのです。ただアメリカにサーバがあるから違法性はないとは思っていたようです。でも、違法ですから。
被告人両名について,Z及び本件各投稿者らとの共謀を認め,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとした原判断は正当である。
第二小法廷決定
裁判長裁判官 草野耕一
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 岡村和美
当然
令和3年2月1日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録
を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助に
よることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否
2 警察官が日本国外に所在する蓋然性がある記録媒体にリモートアクセスをして電磁的記録の複写をするなどして収集した証拠について証拠能力が肯定された事例
3 リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状の執行に当たり個々の電磁的記録について個別に内容を確認することなく複写の処分を行うことが許されるとされた事例
4 インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとされた事例
昨日の続きです。
(ア)X社は,アメリカ合衆国所在の会社であり,前記サイト「X」を管理・運営し,X内において,平成19年11月以降,投稿サイト「X動画」のサービスを,平成22年8月以降,配信サイト「Xライブ」のサービスをそれぞれ提供していた
(イ)X動画では,インターネットを通じてX社が契約するサーバに動画データを投稿することができ,投稿された動画データは,無料会員用と有料会員用等の用途に合わせて変換された後,X社が管理する配信サーバに送られ,不特定多数の視聴者がそのサーバにアクセスすることで,その動画の内容を視聴できる。X動画では,有料会員については無料会員と比較して種々の特典が設けられており,視聴者に有料会員登録を促す措置が講じられている。
(ウ)Xライブでは,ウェブカメラ等で撮影した動画データをインターネットを通じて生中継でX社管理のサーバに配信することができ,不特定多数の視聴者が当該サーバにアクセスすることで,その動画をリアルタイムで視聴できる。
ここではブログの規制に引っかかりそうなので削除しましたが、生を生放送していたようです。これで充分わいせつ物陳列罪に該当しますね。というか先にFBIに検挙されてもかしくない案件ですが。
(ア)Yは,本件当時,Xに関する業務の大半を行っており,X社と共にX動画やXライブを含むXの業務全般を管理・運営していた。
(イ)本件当時,被告人両名は,X社の代表者であるZと共に,Y従業員を介して,X社の業務全般を管理・運営していた。
(ウ)本件各サイトでは,児童ポルノ,獣姦,死体写真,ひどい暴力等のコンテンツについては,一定の基準で凍結等の措置が採られ,特に前二者については監視体制を設けて積極的に削除するなどの措置が講じられていた一方,無修正わいせつ動画については,アダルトカテゴリでは基本的に放置する方針が採られており
こりゃまた中途半端な管理です。
被告人両名らは,アメリカ合衆国の法律では問題がないとして無修正わいせつ動画の投稿や配信を許可してきたことに関し,弁護士から,日本国内では刑事責任を問われる可能性がある旨を繰り返し指摘されていた。しかし,被告人両名らは,X動画のアップロード画面上の投稿者に対する警告文から「無修正ポルノ」の文言を削除し,公然わいせつ被疑事件について捜査照会を受けていたXライブアダルトの配信者が逮捕された後も,他の動画投稿サイトでは削除等がされている無修正わいせつ動画を放置するなど,上記方針を維持していた。
児童ポルノはアメリカでは容赦しませんよ。
前記の事実関係によれば,被告人両名及びZは,本件各サイトに無修正わいせつ動画が投稿・配信される蓋然性があることを認識した上で,
Yは知らなかったわけではないのです。ただアメリカにサーバがあるから違法性はないとは思っていたようです。でも、違法ですから。
被告人両名について,Z及び本件各投稿者らとの共謀を認め,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとした原判断は正当である。
第二小法廷決定
裁判長裁判官 草野耕一
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 岡村和美
当然