最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

国から自治体に自治体から会社に渡された補助金、目的外使用だから自治体は国に返せ

2021-03-29 20:45:13 | 日記
令和2(受)763  不当利得返還請求事件
令和3年3月2日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例

下野新聞の報道です。
多額の補助金、責任はどこに エコシティ訴訟、2日に最高裁判決
事業停止し破産した民間産業廃棄物処理業者「エコシティ宇都宮」に交付された補助金を巡り、県が国に返納した補助金相当額約1億9600万円を返すよう求めた訴訟の上告審判決が2日、最高裁第3小法廷(林道晴(はやしみちはる)裁判長)で言い渡される。上告審では高裁の結論変更に必要な弁論が開かれたため、国に全額返還を命じた一審、二審判決が見直される可能性がある。

国「返納義務明らか」 県「損失負担は不当」 エコシティ宇都宮 補助金訴訟 最高裁弁論
最高裁は通常、二審の結論を変更する際に弁論を開く。県側の請求を認めて国に相当額を返還するよう命じた一審宇都宮地裁判決を支持し、国の控訴を棄却した二審東京高裁判決が見直される可能性がある。
 国庫補助事業で整備した財産の処分には、事前に国の承認が必要となる。エコシティを巡っては操業停止後、宇都宮市が県に、県が国に対して競売による不動産の処分を申請。国がこれを承認し、所有者が第三者に移った経緯がある。


産経新聞の報道です。
消えた補助金2億円…エコシティ問題
国から補助金返還を求められた県は、エ社の稼働時期分を除く1億9659万円の支払いを市に求めたが、市は「(エ社から)返還されれば返す」と主張。結局、県は「肩代わり」する形で国に返納、市に相当額の支払いを求める訴えを起こした。
 宇都宮地裁は今月4日、「補助金返還で合意があったとはいえない」などとして請求を棄却したが、県は控訴。24日の記者会見で福田知事は「(1審判決は)補助金適正化法の趣旨や補助制度の実態が十分に反映されていない。控訴審では必要な主張を尽くす」とコメント。法廷を舞台にした争いは続く見込みだ。


これからこういうことが多くありそうですね。さて事実確認から見ていきます。
(1) 宇都宮市は,平成17年度に,事業系生ごみの再資源化システムを構築し,再資源化の確実な普及・定着を図ることを目的に,株式会社エコシティ宇都宮を事業実施主体として,高速堆肥化施設の整備,設置等を内容とするバイオマス利活用地区計画を策定した。
(2) 農林水産大臣から権限の委任を受けた関東農政局長は,平成18年1月18日までに,被上告人に対し,平成17年度バイオマスの環づくり交付金のうちのバイオマス利活用整備交付金として,合計2億6113万8000円の交付決定をした。・・・「間接交付事業者に対し事業により取得し,又は効用の増加した財産の処分についての承認をしようとするときは,あらかじめ関東農政局長の承認を受けなければならない」との条件が附されていた。
(3) エコシティは,上記の補助金を主要な財源として堆肥化施設を整備し,設置した。平成18年6月8日,関東農政局長は被上告人に対し,県知事は市に対し,市長はエコシティに対し,それぞれ申請を受けて本件施設を担保に供することを承認した。エコシティは,同年8月10日,本件施設に根抵当権を設定した。
(4) エコシティは,平成20年10月,本件施設における操業を停止した。本件施設について,平成21年12月25日,担保不動産競売の申立てがされ,同22年1月20日,同開始決定がされた。・・・関東農政局長は,同月17日,本件施設の処分価格に係る国庫補助金相当額の納付を条件として,本件申請を承認した。県知事は,同月18日,上記の市による申請を承認し,市長は,上記のエコシティによる申請を承認した。
(5) 被上告人は,平成24年1月27日付けで,関東農政局長から上記の国庫補助金相当額として1億9659万0956円を納付するよう求められ,同年2月15日,上告人に対し,同金額の納付をした。


分かりにくいですが、関東農政局から栃木県へ、栃木県から宇都宮市へ、宇都宮市からエコシティに補助金が渡されました。エコシティが破綻しましたが、そもそも宇都宮市は目的外使用に使ったので、関東農政局は栃木県に補助金を返せと要求しました。しかし、返せと言われてもその法的根拠がないでしょ、と裁判になっています。
予算確保したから使い切らなきゃならん、という公務員にありがちな判断をしてしまったようです。


最高裁は
(1) 関東農政局長が被上告人に対して当初の本件施設への担保権設定について承認するに際し,その後に担保権が実行され,エコシティが補助金の交付の目的に沿ってこれを使用することができなくなり,目的外使用の状態に至ることについてまで承認していたとはうかがわれないから,本件交付決定条件により,上記目的外使用についても改めてその承認を得ることが必要であったというべきである。・・・(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)法7条3項による本件交付決定条件を根拠としてされたものとすることができるのであれば,法的根拠を欠くものということはできない。
7条3項は
補助事業等の内容の変更(各省各庁の長の定める軽微な変更を除く。)をする場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。

この条文がある限りお伺いは最低限立てなければならなかったようです。

法22条は,補助事業者等が補助事業等により取得した財産について,各省各庁の長の承認を受けないで,補助金等の交付の目的に反して使用し,譲渡し,交換し,貸し付け,又は担保に供してはならない旨を定め,もって財産の処分を制限しているところ,これは,補助事業等により取得された財産が処分され,補助事業者等により補助金等の交付の目的に沿って使用されなくなる事態となっては,当該目的が達成し得なくなるために設けられたものと解され,当該承認は,これを得ることなく上記の事態に至ることを防止することを目的とするもの

ここでの趣旨は使い終わった分の廃棄される機材等の話ですよね。例外的に不動産も入るとは思いますが。

法22条に基づく各省各庁の長の承認を得た上での補助事業者等による財産の処分であれば,法17条1項により補助金等の交付の決定が取り消されることはないのと同様に,法7条3項による本件交付決定条件に基づく関東農政局長の承認を得た上での間接交付事業者による財産の処分についても,これにより本件交付決定が取り消されることはない。

1項では部分的に取り消しがあり得ること、3項では決定後も取り消しはあるとしています。そりゃそうですよ。国策もあって戦略的に使わなきゃならないものを勝手に変更されたんじゃたまったもんじゃありません。政策もくそも無くなります。

結論
以上に検討したところによれば,本件承認は,法7条3項による本件交付決定条件に基づいてされたものとして適法であるということができる。

要するに、国庫に戻しなさいという判決でした。

全員一致でした。

これについて裁判官 宇賀克也の補足意見があります。

本件交付
決定条件等に違反したものとして法17条の規定に基づき交付決定が取り消され得ることに鑑みると,本件承認は,結局のところ,間接補助事業等により取得した財産を補助金等の交付の目的に従って管理する義務を免除することを意図するものと考えられる。

どうやったら17条の規定で、義務の免除につながるのでしょうか?

担保権設定の承認の際に担保権の実行の際の目的外使用を含めて承認していると解することができれば,改めて担保権の実行の際に承認を得る意味はないことになる。

これもよく分かりません。仮定の前提で話を進めますか?事実に基づいて話をしてくださいよ。

そもそも,栃木県補助金等交付規則6条3項においては,同規則における補助金等の交付の決定をするに当たり,「知事は,適正化法に規定する間接補助金等に該当する場合において,同法第7条の規定に基づき各省各庁の長が当該間接補助金等に関して条件を附したときは,これと同一の条件を附するものとする。」と定められており,被上告人としては,本件交付決定条件が法7条3項の規定によるものであることを認識できてしかるべきであったといえ,本件承認が本件交付決定条件を根拠としてされるべきものであったと認識できたと考えられる

あの・・・栃木県条例なんぞここではどうでもいいんです。国の法律が優先されますから。何を議論しようとしているのか分かりません。全体としては妥当な判断だとは思いますが、一人だけ訳分かりません。

裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也 何が言いたいのか分からん