令和4(受)1744 賃料減額等請求事件
令和6年6月24日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
地方住宅供給公社が賃貸する住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用がある。
毎日新聞の報道です
住宅供給公社の一方的な家賃値上げ「入居者争える」…最高裁が初判断
地方住宅供給公社が管理する住宅の家賃を巡り、入居者が金額を争うことができるかが争点となった訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は24日、入居者が賃料を争うことができると定めた借地借家法が適用されるとの初判断を示した。公社による賃料の一方的な値上げに対し、入居者が争えるようになる。
原告は、神奈川県住宅供給公社(横浜市)が管理する共同住宅の入居者ら8人。同公社が2004~18年、月額約3万~5万円の家賃を一方的に約6万~8万円に引き上げたとして、増額分の返還を求めて提訴した。
事実確認を見ましょう。
(1)被上告人は、地方住宅供給公社法にいう地方住宅供給公社である。
神奈川県の住宅供給公社です。
(2)平成16年4月から平成30年4月までの間、おおむね3年ごとに、上告人らに対し、前記の各室の家賃を改定する旨を通知した。その結果、月額3万9530円ないし5万6350円であった家賃は、最終的に月額6万1950円ないし8万6910円になるものとされた。
15年の間に倍近い値段になったということですね。場所にもよりますけど、4万円から6万円で横浜市に住めること自体優遇されてますね。住宅供給公社と使命ですから、そうなんでしょう。
家賃の額の確認を求めるとともに、変更後の家賃を支払ってきたことを理由に不当利得返還請求権に基づいて過払家賃の返還等を求めるものである。
この値上げが異常に急すぎるということで、払い過ぎているんだから返せと訴訟になりました。いやいや、払えているんですよね?既に払っているんですよね?この法律は福祉目的でやっていることで、金儲けじゃないんです。ということは周辺の不動産に大きく影響を与えるんですよ。
最高裁は
地方公社は、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に居住環境の良好な集団住宅を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することなどを目的とする法人であり(公社法1条、2条)、その目的を達成するため、住宅の賃貸を含む所定の業務を行うことができるものとされている(公社法21条1項、3項)。
今の横浜に必要なんですかね、という政策的な観点はおいといて、法の目的がこういう事情なので安く提供しろという趣旨のようです。
地方公社の上記業務として賃借人との間に設定される公社住宅の使用関係は、私法上の賃貸借関係であり、法令に特別の定めがない限り、借地借家法の適用があるというべきである。
随分唐突ですね。先の文章との間に何もなくいきなりこの文章です。なぜ借地借家法が妥当であると考えるのか、その理由が分かりません。借地借家法は、基本的には民間の大家さんが一般人に貸すときのトラブル防止を目的としています。一方、住宅供給公社法は福祉を目的としています。一緒にします?秋からかにおかしいですよね。
公社住宅の使用関係について借地借家法32条1項に対する特別の定めがあるかをみるに、公社法は、地方公社において住宅の賃貸等に関する業務を行うには、住宅を必要とする勤労者の適正な利用が確保され、かつ、家賃が適正なものとなるように努めなければならないことなどを規定した上(22条)、上記業務を行うときの基準について、「他の法令により特に定められた基準がある場合においてその基準に従うほか、国土交通省令で定める基準に従つて行なわなければならない。」と規定する(24条)。
ここでいう適正金額って何でしょうか?民間と同じ金額ベース?福祉だから若干安く?であるならば、若干とは何%引き迄許すのか?そもそも、公社は県営ですから、血栓が出たら市民の税金から捻出するんですよ。財政に影響を与えるんです。ならば市営でいいでしょう。
公社規則16条2項は、公社法24条の委任を受けて、「地方公社は、賃貸住宅の家賃を変更しようとする場合においては、近傍同種の住宅の家賃、変更前の家賃、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めるものとする。この場合において、変更後の家賃は、近傍同種の住宅の家賃を上回らないように定めるものとする。」と定める。
ですよね。半径500mの家賃の平均値としましょうか。その平均を越えないようにしなさいという上限がついています。一方下限はついていません。これは民業圧迫の法律ですよね。市営住宅ではなくあくまでも公社の住宅ですからね。
公社法の上記各規定の文言に加え、地方公社の上記目的に照らせば、公社法24条の趣旨は、地方公社の公共的な性格に鑑み、地方公社が住宅の賃貸等に関する業務を行う上での規律として、他の法令に特に定められた基準に加え、補完的、加重的な基準に従うべきものとし、これが業務の内容に応じた専門的、技術的事項にわたることから、その内容を国土交通省令に委ねることにあると解される。
この裁判官は不動産投資をそたことないのでしょう。不動産鑑定士なる職業もありますけど、彼らが設定する金額と実勢価格、賃貸相場はかなり乖離があります。結局のところは貸せるか貸せないかで決まってくるんですよ。
そうすると、当該省令において、公社住宅の使用関係について、私法上の権利義務関係の変動を規律する借地借家法32条1項の適用を排除し、地方公社に対し、同項所定の賃料増減請求権とは別の家賃の変更に係る形成権を付与する旨の定めをすることが、公社法24条の委任の範囲に含まれるとは解されない。
また無茶苦茶なことを言い出しますね。そもそもこの法律の所管省庁ってのがあるでしょう。そこの所管だと言えば済むはずなのに、論理展開がどうなの?レベルです。
結論
公社住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用があると解するのが相当である。
裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子
反対意見も補足意見もないようです。論理展開が無茶苦茶です。
何かここ最近の判決を見ると、日本が共産主義なのか資本主義なのか分からない、福祉の範囲を拡大解釈しすぎる傾向があります。その費用は国民が負担することをお忘れなく。本来は行政が決めることを、こうやって司法が事実上支配していることもお忘れなく。
令和6年6月24日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
地方住宅供給公社が賃貸する住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用がある。
毎日新聞の報道です
住宅供給公社の一方的な家賃値上げ「入居者争える」…最高裁が初判断
地方住宅供給公社が管理する住宅の家賃を巡り、入居者が金額を争うことができるかが争点となった訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は24日、入居者が賃料を争うことができると定めた借地借家法が適用されるとの初判断を示した。公社による賃料の一方的な値上げに対し、入居者が争えるようになる。
原告は、神奈川県住宅供給公社(横浜市)が管理する共同住宅の入居者ら8人。同公社が2004~18年、月額約3万~5万円の家賃を一方的に約6万~8万円に引き上げたとして、増額分の返還を求めて提訴した。
事実確認を見ましょう。
(1)被上告人は、地方住宅供給公社法にいう地方住宅供給公社である。
神奈川県の住宅供給公社です。
(2)平成16年4月から平成30年4月までの間、おおむね3年ごとに、上告人らに対し、前記の各室の家賃を改定する旨を通知した。その結果、月額3万9530円ないし5万6350円であった家賃は、最終的に月額6万1950円ないし8万6910円になるものとされた。
15年の間に倍近い値段になったということですね。場所にもよりますけど、4万円から6万円で横浜市に住めること自体優遇されてますね。住宅供給公社と使命ですから、そうなんでしょう。
家賃の額の確認を求めるとともに、変更後の家賃を支払ってきたことを理由に不当利得返還請求権に基づいて過払家賃の返還等を求めるものである。
この値上げが異常に急すぎるということで、払い過ぎているんだから返せと訴訟になりました。いやいや、払えているんですよね?既に払っているんですよね?この法律は福祉目的でやっていることで、金儲けじゃないんです。ということは周辺の不動産に大きく影響を与えるんですよ。
最高裁は
地方公社は、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に居住環境の良好な集団住宅を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することなどを目的とする法人であり(公社法1条、2条)、その目的を達成するため、住宅の賃貸を含む所定の業務を行うことができるものとされている(公社法21条1項、3項)。
今の横浜に必要なんですかね、という政策的な観点はおいといて、法の目的がこういう事情なので安く提供しろという趣旨のようです。
地方公社の上記業務として賃借人との間に設定される公社住宅の使用関係は、私法上の賃貸借関係であり、法令に特別の定めがない限り、借地借家法の適用があるというべきである。
随分唐突ですね。先の文章との間に何もなくいきなりこの文章です。なぜ借地借家法が妥当であると考えるのか、その理由が分かりません。借地借家法は、基本的には民間の大家さんが一般人に貸すときのトラブル防止を目的としています。一方、住宅供給公社法は福祉を目的としています。一緒にします?秋からかにおかしいですよね。
公社住宅の使用関係について借地借家法32条1項に対する特別の定めがあるかをみるに、公社法は、地方公社において住宅の賃貸等に関する業務を行うには、住宅を必要とする勤労者の適正な利用が確保され、かつ、家賃が適正なものとなるように努めなければならないことなどを規定した上(22条)、上記業務を行うときの基準について、「他の法令により特に定められた基準がある場合においてその基準に従うほか、国土交通省令で定める基準に従つて行なわなければならない。」と規定する(24条)。
ここでいう適正金額って何でしょうか?民間と同じ金額ベース?福祉だから若干安く?であるならば、若干とは何%引き迄許すのか?そもそも、公社は県営ですから、血栓が出たら市民の税金から捻出するんですよ。財政に影響を与えるんです。ならば市営でいいでしょう。
公社規則16条2項は、公社法24条の委任を受けて、「地方公社は、賃貸住宅の家賃を変更しようとする場合においては、近傍同種の住宅の家賃、変更前の家賃、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めるものとする。この場合において、変更後の家賃は、近傍同種の住宅の家賃を上回らないように定めるものとする。」と定める。
ですよね。半径500mの家賃の平均値としましょうか。その平均を越えないようにしなさいという上限がついています。一方下限はついていません。これは民業圧迫の法律ですよね。市営住宅ではなくあくまでも公社の住宅ですからね。
公社法の上記各規定の文言に加え、地方公社の上記目的に照らせば、公社法24条の趣旨は、地方公社の公共的な性格に鑑み、地方公社が住宅の賃貸等に関する業務を行う上での規律として、他の法令に特に定められた基準に加え、補完的、加重的な基準に従うべきものとし、これが業務の内容に応じた専門的、技術的事項にわたることから、その内容を国土交通省令に委ねることにあると解される。
この裁判官は不動産投資をそたことないのでしょう。不動産鑑定士なる職業もありますけど、彼らが設定する金額と実勢価格、賃貸相場はかなり乖離があります。結局のところは貸せるか貸せないかで決まってくるんですよ。
そうすると、当該省令において、公社住宅の使用関係について、私法上の権利義務関係の変動を規律する借地借家法32条1項の適用を排除し、地方公社に対し、同項所定の賃料増減請求権とは別の家賃の変更に係る形成権を付与する旨の定めをすることが、公社法24条の委任の範囲に含まれるとは解されない。
また無茶苦茶なことを言い出しますね。そもそもこの法律の所管省庁ってのがあるでしょう。そこの所管だと言えば済むはずなのに、論理展開がどうなの?レベルです。
結論
公社住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用があると解するのが相当である。
裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 宮川美津子
反対意見も補足意見もないようです。論理展開が無茶苦茶です。
何かここ最近の判決を見ると、日本が共産主義なのか資本主義なのか分からない、福祉の範囲を拡大解釈しすぎる傾向があります。その費用は国民が負担することをお忘れなく。本来は行政が決めることを、こうやって司法が事実上支配していることもお忘れなく。