最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

訳わからん判決 優生保護法の国家賠償の根拠 事件が重大だから

2024-07-28 22:36:10 | 日記
令和4(受)1050  損害賠償請求事件
令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所
民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例

釈然としない 優性保護法判決1 事実認定 - 最高裁判所裁判官の暴走を許さない
と事実認定は同じなので、ここでは取り上げません。

訴えの内容は以下の通りです。
令和5(受)1319国家賠償請求事件令和6年7月3日最高裁判所大法廷判決棄却大阪高等裁判所 1優生保護法中のいわゆる優生規定(同法3条1項1号から3号まで、10条及び13条2項)は、憲法13条及び14条1項に違反する2上記優生規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける3不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる4同条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた。

優生保護法はすでに廃止されているので、そこだけ見ていきます。

ア 優生保護法は、昭和23年6月28日に成立し、同年7月13日に公布され、同年9月11日に施行された法律である。制定時の優生保護法1条は、この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする旨を定め、同法2条1項は、この法律で優生手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で命令をもって定めるものをいう旨を定めていた。・・・
①本人又は配偶者が遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有しているもの(1号)、
②本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有し、かつ子孫にこれが遺伝するおそれのあるもの(2号)、
③本人又は配偶者がらい疾患にかかり、かつ子孫にこれが伝染するおそれのあるもの(3号)等

イ 上記改正後の優生保護法13条2項は、優生手術を行うことが適当である旨の都道府県優生保護審査会の決定があったときは、医師は、優生手術を行うことができる旨を定めていた。


義務じゃないんですよ。申請して、県単位の委員会で認定されたうえでの話です。

ウ 昭和28年次官通知には、審査を要件とする優生手術について、本人の意見に反しても行うことができるものである旨、この場合に許される強制の方法は、手術に当たって必要な最小限度のものでなければならないので、なるべく有形力の行使は慎まなければならないが、それぞれの具体的な場合に応じては、真にやむを得ない限度において身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合があると解しても差し支えない旨等が記載されていた。

本人の意思確認は必要なく意に反しても行えることになっていました。

(3)ア 昭和▲年生まれの女性であり、昭和▲年に日本脳炎にり患し、その後遺症として知的障害を有するようになった。被上告人X1は、昭和40年又は昭和41年に不妊手術を受けた。同不妊手術は、優生保護法13条2項の規定(昭和27年改正法による改正後のもの)に基づいて行われたものであった。

イ 被上告人X2は、昭和▲年生まれの男性であり、3歳の時に発熱のために聴力を失った。被上告人X3は、昭和▲年生まれの女性であり、出生時から両耳が聞こえなかった。被上告人X2及び同X3は、昭和▲年▲月に婚姻の届出をした。被上告人X3は、昭和48年に妊娠し、昭和49年5月に帝王切開手術により子を出産したが、当該子はその翌日に死亡した。被上告人X3は、上記帝王切開手術の際、不妊手術を受けた。同不妊手術は、優生保護法10条の規定に基づいて行われたものであった。


アはともかくとしてイは随分気楽にやりましたね。アは確かに知的障害になってしまったんで、条文通り条件に該当しますが、イは聴力障碍はこれに該当するんでしょうか。かなり勇み足な気がします。

(4)ア 平成8年4月1日、らい予防法の廃止に関する法律(同年法律第28号)が施行され、同法により優生保護法3条1項3号の規定が削除された。
イ 厚生労働省の保管する資料によれば、昭和24年以降平成8年改正までの間に本件規定に基づいて不妊手術を受けた者の数は約2万5000人であるとされている。


随分な数になりました。

(5)ア 日本弁護士連合会は、平成13年11月、日本政府は、自由権規約委員会から勧告を受けている優生保護法下の強制不妊手術の被害救済に取り組むべきであり、同法の下で強制的な不妊手術を受けた女性に対して、補償する措置を講ずべきである旨の意見を公表した。

法律家ではありますが、意見を言うのは大いに結構ですが、設立目的からすれば何の権限もないと思いますよ。それをここに書きますかねぇ。

イ 日本弁護士連合会は、平成19年12月、上記報告につき、国は、過去に発生した障害を持つ女性に対する強制不妊措置について、政府としての包括的な調査と補償を実施する計画を早急に明らかにすべきである旨の意見を公表した。・・・平成31年4月までの間、本件規定に基づいて不妊手術を受けた者に対し、補償の措置が講じられることはなかった。

そりゃ一つの意見としてであって、弁護士会は何ら法的権限はありませんから、任意で参考すべきくらいしかありません。

(6)平成30年9月28日、被上告人X1が本件訴えを提起し、平成31年1月30日、被上告人X2及び同X3が本件訴えを提起した。

なんでこんなに遅くなったのでしょうか。やるならもっと早くできたと思いますよ。少なくとも弁護士会が言い出した平成13年にはやってよかったのではないかと思います。

(7)平成31年4月24日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」(以下「一時金支給法」という。)が成立し、一部の規定を除いて施行された。

こうして一時金320万円の支給が決まりました。

3 所論は、本件請求権が改正前民法724条後段の期間の経過により消滅したとはいえないとした原審の判断には、同条後段の解釈の誤り及び判例違反があるというものである。

4 (1)改正前民法724条後段の規定は、不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、同請求権は、除斥期間の経過により法律上当然に消滅するものと解される

(2)ア 本件請求権は、本件規定に基づいて不妊手術が行われたことを理由とする被上告人らの上告人に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権である。しかるところ、本件規定は、憲法13条及び14条1項に違反するものであったというべきであり、本件規定の内容は、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であったというべきであるから、本件規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項国家賠償法1条(公権力の行使に基づく賠償責任)の適用上、違法の評価を受けると解するのが相当である(前掲令和6年大法廷判決参照)。


そうなると憲法違反だから時効延長できるとも読めますが、そういう判例は引用されていませんし、それが理由だとも明確にも書いていません。

イ 国会は、立法につき裁量権を有するものではあるが、本件では、国会の立法裁量権の行使によって国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な本件規定が設けられ、これにより多数の者が重大な被害を受けたのであるから、公務員の不法行為により損害を受けた者が国又は公共団体にその賠償を求める権利について定める憲法17条の趣旨をも踏まえれば、本件規定の問題性が認識されて平成8年に本件規定が削除された後、国会において、適切に立法裁量権を行使して速やかに補償の措置を講ずることが強く期待される状況にあったというべきである。

これはその通りですね。

ウ 以上の諸事情に照らすと、本件請求権が改正前民法724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない。したがって、被上告人らの本件請求権の行使に対して上告人が除斥期間の主張をすることは、信義則に反し、権利の濫用として許されないというべきである。

ここが分からない。重大事件だから時効延長ができる?


裁判官三浦守の意見
判例を変更すべき範囲等に関する私の意見については、最高裁令和5年(受)第1319号同6年7月3日大法廷判決における私の補足意見で述べたとおりである。裁判官草野耕一の補足意見は、次のとおりである。

これのことです。

裁判官草野耕一の各補足意見
同じく過去に述べたと。

裁判官宇賀克也の意見


3人とも過去に書いた意見と同じということですが、全員立法府への越権行為としか思えません。

裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 深山卓也 裁判官 三浦 守 裁判官草野耕一 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官 岡村和美 裁判官安浪亮介 裁判官 渡 惠理子 裁判官 岡 正晶 裁判官 堺 徹 裁判官今崎幸彦 裁判官 尾島 明 裁判官 宮川美津子 裁判官 石兼公博

全員論証不十分