『アバター』を観る。六本木の日本一大きなスクリーンという触れ込みの映画館だが全指定席で端っこのほうになり、かなり歪んだ画面。ちょっと詐欺のかんじ。中身は、宮崎駿アニメのあからさまな影響。ストーリーはご都合主義。ベトナム戦争の隠喩が指摘されているようだが、『ディア・ハンター』『プラトーン』よりジョン・ウェイン『グリーン・べレー』裏返し版と言うべきマッチョ志向。『ハシムラ東郷』で一年間アメリカ白人の「イエローフェイス」志向に取り組んだだけに、今回の「ブルーフェイス」には笑った。要するに、敵も逃げ場も見失った現代アメリカ人を慰める逃避的「貴種流離譚」である。『ターミネーター』もそういうところがあった。なぜあの白人が「神の木」に選ばれたか理由はまったく示されない。「選ばれた人は選ばれたからこそ選ばれた人なのだ」という同義反復に終始。ちなみに「神の木」はインターネットの喩であり、それが持つという「宇宙意志」を妄信的に賛美するのはいかがなものか。
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