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最新作『クイズ・ショウ』 いよいよ明日、開幕。
パンフレット掲載の拙文を一足早く公開します。
写真は一週間前くらいの稽古場。
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クイズというものについてあらためて調べてみると、いろいろな発見があった。
まず、クイズというものが、私たちの暮らしに、じつに身近なものだということだ。
テレビ番組だけではない。ちょっとした説明や表現でも「クイズ形式」を取り入れているものが多い。かたい解説文のようなものも、たいてい末尾にある「Q&A」「よくある質問」で補われている。「質問と回答」という形だと内容に入りやすい、わかりやすい、一般化しやすい、ということなのだろう。そして「試験」とは、目的の純化された「クイズ」である。「試験をクイズだと思えば受験勉強も苦にならない」という人がいてもおかしくない。
いわゆる「クイズ番組」について振り返ってみると、文化人類学的にも、それぞれの番組がその時々の人々の暮らしを反映していることがよくわかる。出題形式はどう変わったか、回答者は一般人なのかどうか、賞品は何か。そしてメディアの発達や社会の変化が「クイズ番組」をどのように成長させ、あるいは失速させたか。
過去の番組を調べてみると、そのおびただしさに驚かされる。そして必ずしもテレビっ子でなかったはずの自分が、実は多くの番組を知っていることに茫然とさせられる。提供している会社のCM曲だけを鮮明に覚えているものもある(オリエンタル・マースカレー等)。過去の番組の記憶を混同していたことがわかり、大笑いしてしまったこともあった。ほとんどの記憶は七十年代以前のものだ。八十年代以降はクイズをやっている時間帯にはテレビを観ていない。
じっさいの私たちの暮らしは、答の出せないことだらけだ。それでも私たちは何らかの選択をし、その結果を確認しつつ、次の設問に向かっている。人生そのものが「問い」と「答え」、「探索」と「発見」の追跡劇かもしれない。「マタイ伝」にも「求めよ、さらば与えられん」「尋ねよ、さらば見出さん」とある。
「問い」そのものが含んでいる論理も、深く面白い。よくあるのが、「にわとりと卵」の「どちらが先か」という問いである。これは答の出ない問いだ。その問いがどのように生み出されたか、どうして人間はその問いを必要とするのかという「副産物」の問いも興味深い。
そして、「にわとりと卵」の発展形として、「お化け」は「本当にいるのか」という問いがある。この問いの孕んでいる矛盾は、「お化け」が明白に存在するならこの問いじたいが成立しないというところである。極めて客観的に言えば、「ロジックそのものがゴーストを生む」ということになるが、そこに人間と「お化け」の関係の本質がある。
前提として「お化け」が「いる」とした場合、「お化け」はこの世に常に存在するのか、相手を選んで「出る」のか、「見たい人がいるから見える」のか、という問いも出てくる。
いうまでもなく「能」、複式夢幻能のほとんどは、お化け、「幽霊」についての物語である。私は演劇という場に、「クイズ」の世界に幻視される数多の亡霊たちを招待しようと思う。
演劇とクイズの相性は決して悪くはないはずだ。「クイズ」という言葉を発明したのは演劇人だったかもしれないということもある。
その経緯は以下の通り。ダブリンの劇場支配人デイリー氏が、「二十四時間以内に何の意味もない新語を流行させることができるかどうか」について友人と賭けをして、街中の家の扉や至る所に「quiz」と落書きをした。その事件がダブリンじゅうに広まり、ついには辞書にも載ったとされている。
「クイズ」の語源については諸説あるが、私はこれが一番好きだ。
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燐光群『現代能楽集 クイズ・ショウ』上演のお知らせ
作・演出○坂手洋二
3月20日(金)~31日(火)
下北沢ザ・スズナリ
円城寺あや 岡本舞 中山マリ
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
韓英恵 都築香弥子 杉山英之 武山尚史
松岡洋子 樋尾麻衣子 山村秀勝 宇原智茂
田中結佳 長谷川千紗 秋定史枝 齋藤宏晃
水野伽奈子 根兵さやか 川崎理沙
松井美宣 寺本一樹 池町映菜 加藤素子
照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
美術○じょん万次郎
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
舞台監督○森下紀彦
音楽○太田惠資
演出助手○城田美樹
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
衣裳協力○宮本宣子
オブザーバー○John Oglevee
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 DOGSUGAR オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 古元道広
Company Staff○桐畑理佳 小林尭志 宗像祥子 鈴木陽介
西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ
もちろん今は、クイズショウの真っ最中です。
まさか質問をお忘れになったのではないでしょうね。
全篇同じシチュエーションが繰り返される『8分間』の試行を経て、
全篇がクイズショウである、前代未聞の挑戦に至る。
演劇が現世(うつしよ)の謎と戯れる、「現代能楽集」最新作。
<開演時間>
20日(金) 19:00
21日(土) 14:00 19:00◇
22日(日) 14:00★
23日(月) 14:00 19:00★
24日(火) 19:00★
25日(水) 14:00 19:00
26日(木) 19:00
27日(金) 14:00 19:00
28日(土) 14:00 19:00
29日(日) 14:00
30日(月) 14:00 19:00
31日(火) 14:00
受付開始○開演の40分前 開場○開演の20分前
開演直前・直後は(一時的に)ご入場を制限させて頂く場合がございます。
未就学児のご入場はご遠慮下さい。
<全席指定> 前売開始○2月15日(日)
一般前売3,600円 ペア前売6,600円 当日4,000円
U-25(25歳以下)2,500円 高校生以下1,500円
※U-25・高校生以下は劇団への事前予約(電話・メール)のみ。観劇の前日まで受付。要証明書提示。
◇サービスナイト一律2,500円(前売・当日共)
★は以下のゲストと坂手洋二によるアフタートークあり。
22日(日)14:00 寺脇研(映画評論家・プロデューサー・元文化庁文化部長)・早野透
(桜美林大学教授・元朝日新聞編集員)
23日(月)19:00 辰巳琢郎(俳優)・瀬戸山美咲(劇作家・演出家 ミナモザ主宰)
本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。
★燐光群オンラインチケット(一般・ペア前売のみ)
http://rinkogun.com
24時間いつでもホームページ上でご予約頂き、セブンイレブンでチケットをお受け取り頂けます。
お支払いは現金(セブンイレブン)、またはクレジットカードとなります(手数料はお客様負担)。
※会員登録(無料)が必要です。
★ご予約・お問合せ○燐光群/(有)グッドフェローズ
03-3426-6294
ticket-rinkogun@ee.alles.or.jp
㈰<お名前/電話番号/希望日時/チケットの種類と枚数>をお伝え下さい。
こちらからのお返事を以てご予約とさせて頂きます。
㈪当日、開演の15分前までに受付にお越し下さい。代金と引換でチケットをお渡しします。開演の10分前までにご精算頂けない場合は、あらかじめご用意したお席にご案内できない場合がございます。
※キャンセル・日時変更はできません。
http://rinkogun.com/