Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「せりふの読みかたワークショップ」第三回開催詳細決定! 応募資格は「44歳まで」に引き上げ

2016-08-06 | Weblog
昨年から劇作家協会で中津留章仁さんたちと始めた「せりふの読みかたワークショップ」。
第一回の永井愛さん講師のときは立ち会うことができましたが、これは劇作家にとっても俳優にとっても勉強になる、意義深いものでした。
素晴らしい出会いもありました。

第三回の講師は私が務めることになりました。
今年9月19日(月・祝)〜22日(木・祝)です。

参加する俳優の皆さんを募集します。
「なんで年齢制限があるんだ!」とこぼしていた44歳までの皆さん、朗報です。
前二回の応募資格は年齢40歳未満まででしたが、今回は44歳まで引き上げました。

受付期間は8月22日(月)〜9月1日(木) 。
参加費は無料です。



以下、開催情報。

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

せりふを読んでみよう

── 劇作家と俳優のためのせりふの読みかたワークショップ ──

第3回 講師:坂手洋二


言葉と出会い直そう!

どんなにさりげない一言も、その人のその場に於ける必然として発せられる。すべての演技はリアクションである。「言葉に真実が宿る」「人は心にもないことを言う」は、矛盾しない。短い場面をテキストに、認識と発語のメカニズムに迫ります。

講師:坂手洋二  劇作家・演出家

1983年燐光群旗揚げ。『屋根裏』『だるまさんがころんだ』等により、岸田國士戯曲賞、鶴屋南北戯曲賞、読売文学賞、紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞最優秀演出家賞等を受賞。他に『カムアウト』『くじらの墓標』『天皇と接吻』、『エレンディラ』脚色等。物語性の強い劇からドキュメンタリーシアターまで幅広く手掛ける。戯曲は海外で10以上の言語に翻訳され、出版・上演されている。国内外でワークショップを重ねる。
日本劇作家協会前会長。


せりふの奥にある宇宙     ── 中津留章仁
 
劇作家が戯曲を書くとき、せりふとト書きによって表現しますが、その実態は文字になっていない領域を作っている作業に他なりません。俳優も戯曲からその文字になっていない領域を読み取ろうとするのです。そういった意味で、劇作家が直接俳優に語りかけることは、俳優がより深く戯曲を読み解くうえで、とても重要な作業だといえます。また、若手の劇作家にとっても、説得力を持つせりふを書くために俳優の作業を知ることは重要なのです。
 これは、劇作家と俳優それぞれの立場の相互理解を深めながら、せりふに対して考える4日間のワークショプです。

そのせりふに、衝動はあるか?   ── 古川貴義

 俳優が指定された抑揚を付けて表情豊かに「せりふ」を読んだところで、生きた人間は見えてきません。劇作家が人間を描こうとするときには、「せりふ」という文字の羅列ではなく、その裏に潜む衝動こそを描いているからです。
 生きた「せりふ」を発するためには、「せりふ」に潜む衝動を探り、その衝動に基づいて発語する必要があるのです。この衝動と衝動がぶつかるところにこそ、ドラマが生まれるのです。


《次代を担う劇作家を育成するためのプロジェクト》
文化庁委託事業「平成28年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
主催:文化庁、一般社団法人日本劇作家協会
制作:一般社団法人日本劇作家協会

▽ スケジュール 全4日間 初日と最終日は一般公開
 
9月19日(月・祝) 芸能花伝舎 A-1(新宿区西新宿6-12-30)
  13:45―17:00 オリエンテーション・稽古 *一般公開!
9月20日(火)・21日(水) 梅ヶ丘BOX (世田谷区梅丘1-24-14-B1)
  終日     稽古
9月22日(木・祝) 梅丘パークホール (世田谷区松原6-4-1)
  10:30ー12:00 稽古
  13:00ー16:30 リーディング&講評 *一般公開!

15:00 トークセッション「せりふとの出会いを通して」

 登壇:坂手洋二  永井 愛  中津留章仁  古川貴義



 お申込み
   俳優 = 受付期間:8月22日(月) 00:00〜9月1日(木)23:59
   見学 = 受付開始:8月17日(水)


《俳優対象》
ワークショップ参加/全4日間 通し受講のみ受付
 昨年度に好評を得た、読解と想像によって観客に届くせりふを発するための、
 せりふワークショップ第3回。
 戯曲を徹底的に読み込むことで、人間がことばを発する起点を探ります。



募集要項

メール応募のみ受付 送信先: jpa.serifu@gmail.com

[募集定員]
 ・10ー12名程度
[応募資格]
 ・年齢20歳以上44歳まで
 ・舞台経験2年以上
 ・プロの俳優として生計を立てていくことを目標にしている方
[受講料]
 ・無料
[受付期間]
 ・8月22日(月)0:00 ー 9月1日(木) 23:59 必着

[応募方法]
 件名を「せりふワークショップ応募」とし、以下の書類ファイルを添付して
 メールでご送信ください

 1)経歴書
  以下をご記載ください
   ・氏名・ふりがな・住所・電話番号・メールアドレス
   ・生年月日・性別
   ・演劇経歴・舞台経験
   ・これまでに印象に残ったせりふがある方はお書きください(任意)
   **書類はWordや一太郎などこちらで修正できる形式とすること(PDFは不可)
 2)写真
   バストアップと全身の2枚

[選考]
  書類選考ののち、9月8日(木)夜までに、参加の可否をメールでご連絡申し上げます。
   jpa.serifu@gmail.com からのメールが受信できるようご設定ください。



《初日と最終日は一般公開!》
劇作家はもちろん、演出家・俳優・演劇スタッフ・観客、どなたでもご来場いただけます
稽古見学/リーディング&ディスカッション

見学者も学べるワークショップ!
坂手洋二による稽古を通して、せりふが立ち上がる瞬間とその方法をご覧いただけます。
筆記用具をご持参のうえ、メモをご自由にお取りください。

*追って設置の予約フォームよりお申込みください

[一般公開対象日] 両日来場の他、どちらか1日のみのご予約も承ります
 ・9月19日(月・祝) 13:45ー17:00
   劇作家によるせりふワークショップをなぜ行なうのか。その趣旨を語る
   オリエンテーションと、坂手洋二による稽古をご覧いただけます。
   俳優はもちろん、俳優に通じる言葉を求める演出家の方、劇作家の視点を
   知りたい演劇スタッフの方、自劇団の公演レベルアップを期す制作の方、
   稽古に興味のある観客の方にもおすすめです。
 ・9月22日(火) 13:00ー16:30
   4日間の稽古で俳優がなにをつかんだかを見る公開リーディングと、
   せりふを語るトークセッションにお立ち会いください。
   リーディング後には講師による講評あり。
   初日と併せてご覧いただくと、俳優のせりふの捉え方の変化を知ることができます。
   
[入場料]
 ・無料


【担当委員】
   中津留章仁  坂手洋二  奥山雄太  瀬戸山美咲
   藤井ごう  古川貴義  古川 健  村野玲子
【制作】
   吉水恭子(芝居屋風雷紡)  国松里香 /劇作家協会事務局

【お問合せ】
  日本劇作家協会 事務局
  TEL: 03-5373-6923
  MAIL: jpa.serifu@gmail.com (せりふワークショップ専用)
  **お問合せはできるだけメールでお願いします
     jpa.serifu@gmail.comからのメールが受信できるようご設定のうえお問合せください


http://www.jpwa.org/main/activity/serifu
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蜷川幸雄さんの遺産としての新版『ビニールの城』 そして本日「劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る」

2016-08-06 | Weblog
1985年。唐十郎作『ビニールの城』第七病棟の浅草常磐座初演は忘れがたい。
当時、龍前照明に入ったばかりの竹林功、映画館を上演会場にする作業のために当時燐光群の劇団員も手伝いに行ったはずだ。常盤座のスノコには厚み十センチの埃が積もっていたという。
唐十郎、石橋蓮司、緑魔子、そして携わったスタッフ皆の代表作といえるだろう。浅草の街からそのまま続く闇の深さ、水とビニールの仕掛け、俳優たちの執念と居ずまい。どれをとっても第七病棟の一番いいところが出たといえるものだった。
ある雑誌の過去の演劇を振り返る投票で一位になったこともあったはずだし、アングラ小劇場演劇の最高傑作という人もいるくらいだから、観た人たちの思い入れも半端ではない。
第七病棟は七十年代半ばまで現代人劇場・桜社で蜷川さんと共働していた人たちが作った劇団だ。唐さんの傑作『盲導犬』は第七病棟の前身のその集団で生まれた。以来、龍前照明の吉本昇さんが照明担当のメンバーだった。そして、オペレーターとして、今は亡き青木博志さんも龍前照明のメンバーであり、第七病棟の劇団員だった。
第七病棟の音響は、市来邦比古さん。
そして、燐光群は旗揚げ以来、吉本さん市来さん青木さんの人脈のお世話になってきた劇団である。
演劇界には、1975年に現代人劇場・桜社から商業演劇に進出した蜷川さんを久しく許していない人がいる。蓮司さんも後に蜷川さんの映像作品には出たが、一緒に舞台を作ることはなかったはずだ。そうした演劇史にまつわる人間関係に触れてきた上で、私は蜷川幸雄さんと2007年初演の数年がかりの大作『エレンディラ』で一緒に仕事をすることになるが、ある人には「蜷川さんと仕事をするのだったらしばらく君とは距離を取る」と言われたこともある。

そんな関係を経て、『ビニールの城』を蜷川幸雄さんが演出するという噂を聞いたのは冬頃だったか。ところが蜷川さんが亡くなられた。
演出は出演者の一人だった金守珍さんが担当することになったと聞いた。
キャスティングは蜷川さんだという。『ビニールの城』の上演に向け、病床に台本を持ち込みこの舞台への意欲を燃やしていたと聞くので、ひょっとしたらいくらかはコンセプトを提示していたのかもしれないが、「監修・蜷川幸雄」と記されている。
金さん演出ではあるが、蜷川さんの遺産としての新版『ビニールの城』ということになっている。
金さんは蜷川さんのもとで演劇をはじめ、唐さんの状況劇場に移り、やがて自身で「新宿梁山泊」を旗揚げしたが、ここ数年蜷川作品に俳優としてよく出ていた。

金さんとは三十年来のつきあいになる。某ホテルのイベントの仕事を数年間一緒にやったし、「新宿梁山泊」には『東京アパッチ族』を書き下ろした。
最近ご無沙汰していたが、金さんが稽古の合間に『ゴンドララドンゴ』を観に来てくれて、『ビニールの城』のゲネプロに誘ってくれたので、ちょうど劇作家協会の「戯曲セミナー夏期公開講座 2016 夏のプログラム」の一つとして「劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る」というプログラムに出演することにもなっていたため、その前日というこのタイミングで観ておくべきだという思いもあった。
初日前なので新版『ビニールの城』の内容について詳しく述べることは控えたいが、『ゴンドララドンゴ』劇中でも触れている蜷川さんの口癖である「冒頭3分が勝負」ということに関連して言えば、金さんから伝えられていたことは、新版『ビニールの城』は「今回は幕開き8分勝負になっています」ということだった。

与えられた条件の中で、金さんは、すべきことをしていた。「新宿梁山泊」のふだんよりも豊かに、自由にできたことも多いだろう。
宮沢りえ、森田剛コンビは、石橋蓮司、緑魔子のお二人とテイストが違うのは当たり前のことで、このご時世では当然時代遅れである「ビニ本」「腹話術師」を現在に成立させるべく、しっかり身体を張っていて、すがすがしかった。毅然として向かえば、演劇はインターネットやコンピューターグラフィックに回収されることはないのだ。
唐さんがテント向きの劇ではないものとしてしっかり戯曲を書き分けていることも再確認した。
三十数年のいろいろな記憶、思いが渦巻いた。
蜷川さんも、確実にそこにいた。


さて。
「劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る」、本日夕方4時からの開催ですが、当日券も出せるようです。ご興味のある方、他に予定のない方、ふらりと高円寺においでください。

以下、開催情報。

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

「劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る」

日程: 2016年8月6日(土) 16:00ー18:00
会場: 座・高円寺2 JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

蜷川さんが演出した、戯曲を書いた劇作家。
蜷川さんの舞台を見て、この世界を志した劇作家。
蜷川さんの存在に、絶えず刺激を受けていた劇作家。
そして、蜷川さんの演出をつぶさに見ていた演出家。
蜷川さんが演出したシェイクスピア作品の翻訳家。
蜷川さんに関わった人々証言を通して、
その偉大なる軌跡を検証します。

(蜷川幸雄氏写真提供:舞プロモーション)

<登壇> 作品名は蜷川幸雄氏演出作品

・青木豪 2008年『音楽劇 ガラスの仮面』/2010年『音楽劇 ガラスの仮面 ~二人のヘレン~』
・石丸さち子 ニナガワカンパニーで蜷川氏の演出助手多数
・坂手洋二 2007年『エレンディラ』
・鈴江俊郎 1996年『溢れる果実』
・福田善之 2009年『真田風雲録』
・前川知大 2014年『太陽2068』
・横内謙介 1996年『魔女の宅急便』/1996年『カルメンと呼ばれた女』/2000年『NINAGAWA 火の鳥』

<映像出演>
・唐十郎×蜷川幸雄 対談 (10 分)
・松岡和子 彩の国シェイクスピア・シリーズ約30作品の翻訳

[料金] ¥1,000 (区民・劇作家協会会員は¥900)

《劇作家協会公開講座 2016年 夏》戯曲セミナー公開講座 / 次代を担う劇作家を育成するためのプロジェクト

年に一度の公開講座を、2日間にわたって開催する中のプログラムの一つとして開催されますが、この企画単独でも聴くことができます。


http://www.jpwa.org/main/activity/openclass
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする