Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「非戦を選ぶ演劇人の会」リーディング、1日目のトーク

2017-07-22 | Weblog
今年7月の「非戦を選ぶ演劇人の会」リーディング、1日目の7月19日 (水)の「第二部」は、 小西 誠(軍事ジャーナリスト)、高遠菜穂子(イラク支援ボランティア)、志葉玲(ジャーナリスト)の三氏(写真・右より 撮影・姫田蘭)と、2004年当時からのことをいろいろと振り返りつつ、「現在」を見つめなおす貴重な機会だった。

本当は、『戦場イラクからのメール』の原作者である渡邉修孝氏に参加していただきたかったと思うが、果たせなかった。その代わり、渡邉氏から以下のメッセージをいただき、会場で参加者・お客様に読んでいただいた。

………

このたび『非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディング』にお越しの皆様方には謹んで敬意を評します。既に支持率の低下した安倍政権は、未だ自分たちの私利私欲を満たすため、貧しい者から戦場に送り出そうとする改憲策動で大手労働組合の連合も巻き込んでの労働者「軍事徴用」、自衛隊の国外派兵とを連動させ、国会にねじ込もうとする現状に歯止めをかける闘いを皆様と立場を越えて共に進めていこうではありませんか。
安田純平さんは自由契約のジャーナリストとして、政治の介入するフェイクニュースに埋もれて見えない “現場の真実を伝える” 取材活動に奔走されていると思います。彼の「戦場に赴いた動機」は、元気に帰還してから直接本人に尋ねてみたいところです。
今日、私は別件の運動現場に出ていますのでこの催しには参加できませんが、自分の立ち位置で皆様と連帯できれば幸いです。

渡邉修孝

渡邉修孝さんプロフィール(1967年7月19日生まれ 元自衛官(第1空挺団)2004年、「イラク人質事件」で日本に送還。2008年、フリーター全般労働組合に加入。執行部委員を経て2011年から1年間だけ共同代表を務めて2016年に病気休養。今日に至る。)

………

「第二部」じたいは、短い時間で、申し訳なかった。
小西 誠さんが南西諸島の自衛隊配備計画の現状について映像付きで紹介、高遠菜穂子さん、志葉玲さんの経験に基づいた話が続いた。
高遠 菜穂子さんは自衛隊員や家族たちが多く住む北海道・千歳市出身。イラクなどで人道支援の最前線に立っている彼女のバックグラウンドには、自衛隊員たちの生活と現場への親近感がある。自衛隊員に自殺者が多いことに胸を痛める彼女が言うように、彼らは明らかに過剰な負担を担っている。そして自衛隊の任務は戦闘訓練であり、「災害救助の訓練は一切していない」と言える現状がある。
自衛隊のこと、戦場のこと、紛争地のこと、常に弱者が犠牲になる現実を、よりリアルに感じられる社会にならなければ、あらゆる矛盾は、立場の弱い者のほうに、さらに重くのしかかってくるのだと感じる。
渡邉さんが言うように、そして小西さんが最初の「反戦自衛官」となって抵抗を決意した初心がそうであるように、「貧しい者から戦場に送り出そうとする」力が、おそろしい加速度をもって、私たちを包囲している。

いずれ、この時に話した内容を、詳しく紹介できればと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情報誌イマージュ最新号・特集●相模原やまゆり園障碍者大虐殺事件を生きる

2017-07-22 | Weblog
劇団態変の金満里さんたちが続けている情報誌「イマージュ」。何年か前、高橋源一郎さんが寄稿して話題になった時もありました。
最新刊は、事件から一年経ってしまった「やまゆり園障碍者大虐殺事件」を中心に、様々な表現者が寄稿しているようです。
私もまだ読めていませんが、演劇畑からは私が書きました。
ほんとうに、悩みに悩んだ原稿でした。
この事件に言及したこの国の新作劇は、既に複数、観ています。昨夜も、少しだけだから許されると思ったのでしょうか、この事件を越えて差別に無意識な、ひどい表現の芝居を観ました。怒りがまだ鎮まりません。
差別の問題は、一般論や、自分の考えに当て嵌めて利用する言葉では、立ち向かえません。
自分自身も当事者であると考え、当事者として共に生きる、その想像力しかないのです。
少なくとも私は、そのことを金満里さんたちから教えられました。
読んでください。
私も読みます。

………

情報誌イマージュ 最新刊 vol.68  2017年夏号 は、「特集●相模原やまゆり園障碍者大虐殺事件を生きる」。

2016年7月26日未明、神奈川県相模原市にある障碍者施設に一人の男が押し入り46名の無抵抗の人たちを刃物で刺し、うち19名を殺害するという大虐殺事件が引き起こされました。 犯人は「障碍者がいなくなればいい」と供述しており、これは、ある属性を持つ人の命を消してしまってよいとする優生思想を実行に移した事件として、私たちを震撼させました。
更に申しますと、受難者たちを匿名としその存在を最初から無かったかのように扱っているし、また政府からあの事件を絶対に許さないとの表明もなく、誰の命も否定されず脅かされず生きていて良いのだという発信をこの社会は未だおこなっていない。
つまり、この大虐殺事件は、今まさに進行中なのであり、私たちはその真っただ中を生きている、と云ってよいのではないでしょうか。
事件からちょうど一年。広範な分野からのご寄稿を得て、この特集を組んでみました。

クロスオーバー談義●鵜飼哲×金滿里 奪われて良い命などない! 〜優生思想と訣別する
「個の存在」は、「心象風景」ではない ……坂手洋二(演劇)
いま思うこと ……岡登志子(ダンス)
私は七月の ……今野和代(詩)
私の感じた迫り寄るファシズムの波 ……山本公成(音楽)
自分と自分以外の誰かのふたつがいたとき ……bozzo(写真)
優生保護法のこと ……田口ランディ(文学)
「共生」のためのプラグマティズム ……朱喜哲(哲学)
なぜ私は街頭に立つのか ……石地かおる(リメンバー7.26神戸アクション)
「愛国的リバタリアン」という怪物 ……内田樹(思想)
ピンクトライアングル vol.2 ……大黒党ミロ(漫画)
この社会の「嫡子」としての「相模原事件」 ……中村一成(ルポライター)
移動する自由の可能性について ……ブブ・ド・ラ・マドレーヌ(アーティスト)
「相模原」と「カウンター」のことから ……鈴木伸哉(反差別カウンター)
路上の虹 ……うっちー(反差別カウンター)
あなたの見る風景 ……李信恵(フリーライター)
相模原障碍者虐殺事件に対するイマージュ声明
入江貝塚9号人骨のこと ……仙城眞
[金滿里のページ] 奪われた身体は誰のものか ……金満里
[イラスト&エッセイ] 伊祖から届く風16 …メラミキコ
[劇評●劇団態変「ニライカナイ 〜命の分水嶺」]
  ニライカナイをみた ……中山千夏
  分水嶺に立つ ……石川みき

購読申込みは、こちらへ

http://www.asahi-net.or.jp/~tj2m-snjy/imaju/koudoku.htm
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする