Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

オリンピック中止が森会長の女性差別発言問題ぼかしに使われるという皮肉

2021-02-09 | Weblog

女性蔑視発言で世界中から当然のこととして非難されている東京オリンピック・パラリンピック組織委員会・森喜朗会長は、このまま続投できるはずもないが、私はそもそも東京オリンピック開催自体に反対してきたから、この件についてあまり発言しないできた。

とまれ、私もずっと指摘してきた諸問題よりも、誰もが納得できるコロナ禍への対応策が出てこない以上、東京オリンピック中止は間違いないだろう。そして、今のタイミングで中止になれば、森会長の女性差別発言問題ぼかしに使われてしまった、という皮肉な事態になりかねない。

逆にいえば、その前に会長を交代させることができないと、日本という国が、世界が明確に共有し始めている認識とほど遠い共同体であり、しかも多くの人が問題点を認識しているにもかかわらず正しいことを行うことのできない主体性のない国であるということが、あらためて本当に、世界に知れ渡ることになるだろう。

今さらごまかしようがない。なにしろこの国は、石原慎太郎の数多ある暴言を放任してきた国なのだ。

 

本当に、この件は私たちを苛々させるし、おかげで今朝もなかなか仕事が手につかないではないか。

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『草の家』 本日は夜19:00の開演です

2021-02-09 | Weblog

『草の家』下北沢ザ・スズナリ公演、本日は夜19:00の開演です。

平日、夜の7時に開演するなんて、平時でしたら当たり前のことですが、この状況下では特例ということになってしまいます。

会社等のお仕事、学校帰りに、観劇できる、平日ならではの時間帯です。(と言って、当たり前すぎて唸ってしまう)

上演時間は一時間四十分、お帰りもそんなに遅くにはなりません。

当日券ございます。

ぜひお越しください。

 

写真、鴨川てんし、さとうこうじ。撮影・姫田蘭。

 

 

以下、『草の家』 当日パンフレットに私が書いた 「ごあいさつ」です。

 

ご来場ありがとうございます

 

守安久二子さんの『草の家』に出会ったのは、〈アートヴィレッジTOON戯曲賞2018〉で審査員を務めたときだ。いずれの候補作もクオリティーは高かったが、『草の家』の大賞受賞は、文句なしだった。

誠実で気持ちの良い作品だ。ここ数年のさまざまな新人作品の中で、生活を、それぞれの人間の感じることを、劇の形を通してオーソドックスに示すクオリティーの高さは、群を抜いているのではないかと思う。

作者・守安久二子さんが、58歳にして初めて書いた、長編第一作である。劇作を学ぶにあたっては、関西の劇作家・田辺剛さんの指導を受けている。

守安さんは、岡山在住。東京杉並区出身で、結婚を機に岡山に移ったという。岡山出身で杉並に住む私とは、逆コースということになる。

古い商家の営みと家族たちの変遷をリアルに描きつつ、「不在の人物を思う」という仕組みを手に入れ、人間関係が密度濃く絡み合い、緊迫度を保った。

登場人物の肉付けがしっかりしている。戯曲を読み進めながら、この役をあの俳優にやらせてみたいなどと思うことは滅多にないが、じっさいにそう思わされたし、それは一部、実現した。

舞台は、もう営業していない、「はかり屋」だった旧家。舞台上にある、はかり、計器類の小道具は、「計量器登録店」の認章も含め、すべてホンモノである。産業の発展にとって、パブリックな価値観を支える計器の存在は、とても重要だった。それを仕事にする者たちには、独特の矜持があった。

その場所に立って、それらが活きていたときの空気を感じるだけで、「あの頃」が、匂い立つ。かつての暮らしが、迫ってくる。考えてみれば、こんなにまるごとリアリズムの劇を作るのは、初めてかもしれない。

私も含め岡山出身者も複数いる現場だが、ここまで全篇にわたって岡山弁で語られる劇は、なかなかないはずで、これはこれでたいへん微妙な世界なのである。

劇中、歌を詠み同人誌に投稿する「陽さん」のエピソードが出てくるが、私は川柳を嗜んだ亡き祖母のことを思い出していた。

 

緊急事態宣言が出される中、黙々と稽古を続けた。寒さに耐えながら、窓を開け終始換気している稽古場に、違和感を感じなくなっていた。

コロナ禍発生から一年。いろいろなことがあった。厳しい状況が続く中、新たな出会いもあった。支え合うことの大切さを、あらためて知った。

過酷な現実に堪えつつ、過去と未来を大切に思う心を、皆様と共有することができれば幸いです。

 

…………  …………  …………  …………

 

燐光群『草の家』 絶賛前売中です!!

作:守安久二子 演出:坂手洋二

2月5 日(金)〜18日(木) 下北沢ザ・スズナリ

 

本作『草の家』は、愛媛県東温市の文化芸術によるまちづくり活動の一端として、次代を担う劇作家を地域から発掘するために設けられた「アートヴィレッジTOON戯曲賞」において、2018年に大賞と観客賞を受賞した戯曲です。執筆時58歳の作者による初の長編作品でありながら、高い評価を得ています。

私は、舞台となる岡山の出身。岡山弁を多く使う芝居で、俳優たちも奮闘しています。

 

以下、「アートヴィレッジTOON戯曲賞」のさいの、私の「草の家」選評です。

TOON戯曲賞で審査員として『草の家』を推したことには、理由がある。古い商家の営みと家族制度の変遷をリアルに描きつつ、「不在の人物を思う」という仕組みを手に入れ、人間関係が密度濃く絡み合い、緊迫度を保った。読み進めながら、この役をあの俳優にやらせてみたいな、などと思うことは、滅多にないのだが、家族たちの生き生きとしたやり取りが、それだけ魅力的だった。岡山から頼もしい作家が誕生したことを、心から喜んでいる。

 

…………  …………  …………  …………

  

旧商家の門構えのまま残る「藤井計機商店」、通称「はかりや」。
店を継いだ四人兄弟の長男・悟志の三回忌を迎える、初夏。
家を支えていた悟志の妻・陽(ハル)が病に倒れ、老いた母・芳を残し、入院する。
集まった兄弟たち、家族たち。
家の処分、跡継ぎのこと、陽への思い、そしてそれぞれの過去、現在、未来が、錯綜する。

 

囲まれて生きるしあわせ ふしあわせ いずれ一人の草の家にて

ふるさとの川土手の柿たわわにて 草の家には人影のなし

 

間宮啓行 円城寺あや さとうこうじ
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
樋尾麻衣子 山村茉梨乃 町田敬介

 

【STAFF】 照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) / 音響○島猛(ステージオフィス) / 舞台監督○青木規雄 森下紀彦 / 美術○加藤ちか+じょん万次郎 / 衣裳○小林巨和 / ウィッグ◯高橋幸子 擬闘◯山村秀勝 / 演出助手○村野玲子 / 文芸助手○清水弥生 久保志乃ぶ / 音響操作◯中山美里 / 舞台収録・写真撮影○姫田蘭 / 宣伝意匠○高崎勝也 / 協力○浅井企画 劇団印象-indian elephant- / 制作○古元道広 近藤順子 / 制作インターン○加藤七穂 / 主催○有限会社グッドフェローズ

 

詳細はこちらを御覧ください

http://rinkogun.com/Kusa_no_Ie.html

 

【ご予約・お問合せ】
燐光群/(有)グッドフェローズ   03-3426-6294
http://rinkogun.com/

 

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