カツ丼のことばかり書き込むから、他のものは食べないと思われているといけないので、事務所そばの天ぷら屋さんがランチに出す天丼のことを記しておこう。
ここはもう三十年くらいは知っているが、サービスのランチタイム以外に入ったことがないのである。年に一回も入ってはいないという気もするが、さすがに顔は覚えられている。
天ぷら専門店にしてはそう高くはないのだろうが、地元に定着した常連さん中心の店である。新宿や渋谷ではこの値段では食べられないだろう。
いっとき(二十年近く前か)、かき揚げ天ぷらをバンズに挟んだ「天ぷらバーガー」を売り出したりして心配したが(一度だけ食べた)、すぐに発売はやめた。さすがに。
おやじさんの体調が心配だが、年末、久しぶりに入って、相変わらずであり、こだわりは健在だった。
サービスのランチタイム以外に入ったことがないといえば、井の頭通り沿いの水道道路に面した「天多呂」も、そうである。いつか夜に入ってみたいものだと思ったが、その勇気が出なかったということもあるけれど、機会がなかった。何年か前に、もう、店はなくなってしまった。
私は劇団旗揚げ公演にも天丼を登場させている。その頃は今以上に、滅多に食べられるものではないと思っていたから、天丼に対する思いが溢れる、ある台詞は、今とはまた違う意味に響いていたはずだ。
天丼というものは、やはり、タレが甘いので、純粋天ぷらファンからは軽蔑の視線を浴びている面がある。某うどんチェーン店では、うどんでなくご飯を注文して、トッピング用の天ぷらを載せて、天丼用のタレを自分でかけて食べることができるというところがあるらしい。それを知ってからまだそのチェーン店に入っていない。なんとなくそれはやってみたくないような気がするのだが。