昼食に入った食堂。
ランチセットを頼むと、店の親父さんが、「今日は本当はクジラ肉を出したかった」と唐突に言う。
たぶん本当にそうだったのだろう。
私がクジラ関係者と見抜いたわけではなさそうだ。
なんにしても「クジラ肉」という言葉がしばらく頭に残って、
向かいでは先輩がてんぷら蕎麦を食べていて、隣では二人がチャンポンセットを食べてている。
私以外の人は麺類食だった。
まあ、何でもある店だったのだが。
麺類とクジラ、と言われると(言われてはいないが)、記憶の彼方に何か浮かんできた。
クジララーメンというのがどこかにあったはずだ、と思い出した。
静岡だった。
店には入らなかった。暇がなかった。クジララーメンというのがどんな味かは未知のままだ。表の写真を撮っていた。私はクジラに関したものを発見したら、それがどんなものでも、撮影し、沖縄宜野湾のクジラ博士チームに送ることにしているのだが、はたしてその写真も撮影していた。
「ヒトヤドノクジラ」である。
不思議なネーミングセンスである。
「大人のラーメン」とあるが、どこがどのように大人なのかの謎は解けていない。食べていないからだ。
で、ともあれ、私の脳裏には、静岡に行った頃の思い出が甦ってくるのだった。
クジララーメン店を唐突に思い出した、と、思っていたが、少しも唐突ではなかった。そのような順路で意識に上がってきたのだ。
その後数分間、静岡のことを思いだしながら、移動していた。
旅先で、また、ぜんぜん違う町のことを思い出す、それもよくあることである。
しかし、私は静岡にまた行くことはあるのだろうか。
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