レポートの採点を終了。
コロナ禍が終わって、大学に対面式が本格的に戻って、二年。
自分が旅公演中の一回だけ、Zoom講義だった。
学生たちに出した課題は自由度の高いものだったので、それぞれが自分自身の関心に基づいて書いてくる。
当然ながら、将来演劇に携わる学生ばかりではないので、その興味の拡がり方が面白い。今年も熱心な学生がいた。内容はほぼ同じなのに、二年連続で受講してくれる者もいた。
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さて、講義の中で、答案用紙に私への質問を記入するように言っておきながら、それ以降の講義で答えられていない幾つかのバラバラな質問があって、終了後ではあるが、学生たちへのメッセージ機能で、それらの質問について、回答を記し、送った。(最近の大学はネット環境の機能を駆使するのです。ときどき追いつけませんが)
といっても、答えようのない質問も多かったので、答えられそうなものだけです。
もはや講座終了後なので、こちらにも紹介します。
そのときどきの質問なので、とりとめもないものです。
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Q:「コメディーの演劇」と「コント」は何を基準にして区分けされていますか?
区分けする必要のある人が、そうしているだけ。
Q:何がきっかけで演劇の魅力に気づいたか。
具体的に、個々の作品にめざましい表現のあるものが著しく多い時期に演劇に出会ってしまったからです。1980年頃。
Q:キスシーンを、キスをしているように見せて、本当は舌を入れていないという話にびっくりしました。本当に入れてしていると思っていました。していないのにしているように見せるコツやポイントがあったら教えてほしいです。
接触はしています。単純に舌を入れていないだけです。
Q:講義内に紹介された「スライディングステージ」などの機構の導入を決めるのは誰なのでしょうか。
美術家と舞台監督と演出家と制作者。設備のある劇場なら、自然と決まります。他に適切な合理的方法がないときにその判断を共有できるのが専門家チームです。
日本の劇場にはほとんどその設備がありません。設備がなくて架設しなくてはならない場合は、導入を決定できるのは、財布を握っている人です。
Q:俳優が演出を兼ねているステージでは「演出家」はいるのか?
Q:俳優は演出にどこまで口を出していいのか。仕事の領分の分け方はどうなっていますか。
「演出家」が存在する演劇は、百何十年か前にうまれたばかりです。じつは昔から、「演出家」がいなくても演劇をやっていたのです。
逆に、誰かが言葉として指示らしい指示を出しているように見えなくても見事に劇が出来上がってゆく場合もあります。
Q:感情移入と客観のバランスとは?
たぶん「バランス」を考え始めた段階で、その演技プランは破綻しています。
Q:何かを伝えようとしたら、かえって不自然にならないでしょうか。
演者が何かを伝えるとしたら、何かを伝えようとするのではなく、何かを伝えなければならない現実を生きるだけです。
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