Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『白墨の輪』こんにゃく座稽古場でのリハーサルを終了

2015-02-02 | Weblog
『白墨の輪』こんにゃく座稽古場でのリハーサルを終了。いよいよ劇場入りとなる。

写真公開(撮影:姫田蘭)はある意味ネタバレなのだが、それをあらかじめ見せても中身がすり減ることはない。
前半の「グルシエの旅」のクライマックスというべき、吊り橋の場面。こんなセットを組むことができる贅沢。稽古場でもここまでやれる環境のすばらしさ。でも本物の舞台はもっともっと巨大になるのだ。
私はこの劇を「民衆の物語」として戯曲を書き換えることなく再構築しているが、その「民衆」にも様々な顔があることが露呈する複雑で面白い場面。
主人公の「冒険」の一つの頂点であると同時に、社会の常識の中では「やってはいけない」はずの行為を実践することで、「現実を見返す力」が湧きだし、赤ん坊とグルシエの間に深い絆が生まれる。
ブレヒト戯曲の「異化効果」についてはいまだによくわからないが、結局、演劇は「物語る意志」に支えられている。
その「物語る意志」は、現実を生きる人間の感受性・身体と意識の中から芽生えてきたものでなければならない。
2015年2月の日本。この世界。スタッフ・キャストの誰をとっても、こんなに混迷した時代を生きたことはないだろう。
「私たちの現実を見返すことから始めよう」という言葉で、劇場に入る前の稽古を、閉じた。

フィリピン演劇界の劇作家リーダー、ロディ・ヴェラから久しぶりに連絡。何かと思えば、私の戯曲『現代能楽集 三人姉妹』をロスバニョスの学校の卒業公演で上演させてほしいということ。もちろん快諾。何年か前ロディたちがマニラの国立劇場で開催する〈ヴァージン・ラボ・フェスティバル〉でこの戯曲が上演され、フィリピンでその年ベストスリーに入る評価を受けている。
自分はブレヒトのテクストを追体験し、フィリピンの若者たちの身体が私の劇を実践する。翻訳され、一人歩きしていく「戯曲」というものの可能性を思う。
そういえば昨日、山形の高校から拙作『トーキョー裁判』を上演したいという申し出があった。『トーキョー裁判』(而立書房)は、二十五年前に出た、私の初めての戯曲集だった。

ともあれ、私の初オペラ演出。
なかなか皆さまにご案内をお送りできずにいる。このブログを御覧になった方、ぜひぜひお誘い合わせの上、ご来場ください。七日土曜午後一時の部はほぼ完売だが若干の増席は可能、全公演まだまだお席はあります。

いよいよあと三日で初日。
皆さん、お待ちしています。

…………………………

オペラシアターこんにゃく座『白墨の輪』

[原作] ベルトルト・ブレヒト
[台本] 広渡常敏
[作曲] 林光
[演出] 坂手洋二
[出演] 川鍋節雄/大石哲史/梅村博美/佐藤敏之/富山直人/花島春枝/靍野うるお/佐藤久司/豊島理恵/彦坂仁美/太田まり/島田大翼/西田玲子/北野雄一郎/沖まどか/金村慎太郎/武田茂/靍岡由季  岩佐和弘(フルート)/伊藤博(オーボエ)/橋爪恵一(クラリネット)/前田正志(ファゴット)/服部真理子(ピアノ)

2015年2月6日(金)~8日(日)
・6日(金)18:30~
・7日(土)13:00~ 18:30~
・8日(日)11:00~ 16:00~
*開場は開演の30分前

世田谷パブリックシアター TEL.03-5432-1526
東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー
三軒茶屋駅[東急田園都市線(渋谷駅より2駅・5分)・世田谷線]直結

○チケット料金
*全席指定 *当日は一人500円増し *税込金額
A席(1F・2F中央1列目)一般:6,000円 ペア:11,000円 学生:4,000円
B席(2F)一般:5,000円 ペア:9,000円 学生:3,000円
C席(3F)一般:3,500円 学生:2,000円
【世田谷パブリックシアターチケットセンター、オンラインチケットでの取扱】
〈劇場友の会〉 *1 A席:5,500円 B席:4,500円
〈アーツカード〉*1 A席:5,700円 B席:4,700円
〈U24〉    *2 A席:4,000円 B席:3,000円 C席:2,000円

託児サービス・車椅子スペースあり。

http://www.konnyakuza.com/syusai_b.html

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