かーたんは、朝は教会で、午後から歌の研修会でお留守。エルさんはバイト。オカブ一人で寂しく夕飯。何を食べようかと思ったが、サミットでオージービーフ、ステーキ用、100g138円というのが売っていたので、久しぶりに肉でも食うか、という気になった。しかし、スーパーのセールの肉といっても牛肉は牛肉である。オカブとしては清水の舞台から飛び降りたような気になって、250gほどの肉を買ってきた。さて、こいつをどう食うかと言うことである。やはり無難にステーキにするか。しかしステーキと言っても、所謂、高級ステーキ屋でだす目の前の鉄板で焼いて、小口にコックが切り分けるようなものは期待できない。そこでごくごく庶民的なフランス人の国民食、ビフテキ・フリットにして食うことにする。フリットというからにはジャガイモも揚げなければならない。たかが夕飯を食うのに、なかなか大事業になってきた。まず、ジャガイモをよく洗って、皮ごと拍子木に切る。それを熱々のサラダ油で10分ほど揚げる。肉は、肉叩きでよく叩き、包丁で切れ目を入れて、塩・胡椒。よく熱したフライパンに溶かしバター、肉を入れ、強火で表面を良く焼く。火を落とし、ウェル・ダンにする。最近の安い肉は、肉の中まで最初から切れ目が入っているので、良く焼かないと衛生上問題があるらしい。ユッケ騒動もあったことだし、十分に焼く。できたところで皿に移して完成。フランス人はこのビフテキ・フリットを毎日のように食う。本当にこいつらはこれでも美食の国の国民か?と思うくらいに毎日の献立に変化がなく、このつつましく焼いた肉料理ばかりを食う。肉といってもフランスは農業国である。日本とは事情が違う。中世の昔ならいざ知らず、今は庶民でも安直に手に入る。そんなことだから、このビフテキ・フリットというのは、日本で言えば、牛丼と焼き魚、芋の煮ころがしなんかに相当するポピュラーな食い物なのだ。だから、オカブもなに気兼ねすることもなく、食って満足した。
焼肉の煙厨に木枯らしや 素閑