しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「はみだしっ子」 Studio Life 2017

2017年11月07日 | 観劇
「はみだしっ子」  Studio Life 2017
2017・10・20(金)~11月5日(日)     東京芸術劇場シアターウエスト

原作 三原順
脚本・演出 倉田淳
上演時間 2時間5分(休憩なし)

TRK(トランク)チーム     TBC(タバコ)チーム    BUS(帽子)チーム
グレアム 岩﨑大       仲原裕之          久保優二
アンジー 山本芳樹      松本慎也          宇佐見輝
サーニン 緒方和也      千葉健玖          澤井俊輝
マックス 田中俊裕       伊藤清之         若林健吾 

「動物園のオリの中」「だから旗ふるの」「階段のむこうには」の3つの物語を、その順番に。
それぞれのチーム個性があるが、どのチームもしっかりはみだしっ子の世界。
今回は8歳と5歳の頃だと思うが、舞台ではそれほど年齢を気にしなくても良いように思う。
子どもには見えていたし、よりマックスは幼いと言う事もわかり、それで十分。
実際のこの子どもはこんなに難しい事は言わないかも知れないが、頭では考えていると思う。
それを上手く言葉には出来ないだけ。
舞台を観ていると、その他の「はみだしっ子」の物語も頭に浮かんでしまうので、感想が舞台か漫画か分からなくなってしまいそうだが。
そう言えば、ライフが上演した今までの漫画の原作は、「メッシュ」以外は完結している。
「はみだしっ子」は、これからまだまだ続く物語。
今回観て、続編も観てみたいと強く思う。 再演&続編希望。

舞台の感想としては、
始めに観た時から少しあいて2回目を見たら、どのチームも深化していた。
サーニンは千葉さんが最初からそっくりで驚いたが、緒方サーニンも澤井サーニンも自分の色を保ちながらサーニン化していた。
伊藤マックスは表情がとても良く表れるようになっていた。
4人の関係性もより親密になった感じ。
ちょっと遊びが入ったり、余裕を感じさせる舞台はこれまでも観て来たが、それとはちょっと違う感じ。
何がと具体的には言えないのだが、良くなった!と感じた。
観劇の間に原作も読んだが、それと舞台を思い出すと、本当に倉田さんの演出は上手い。
台詞の原作に忠実だし、カットする所と繋がりがとてもスムーズ。流石です。
始めに舞台が明るくなった時、4人が寄り添って目に飛び込んで来た時の、それだけで4人がいると思える感動。
3つの物語の繋ぎもスムーズで、それぞれの入りは先を暗示するような。
「だから旗ふるの」はアンジーの生い立ちの物語はあるが、ちょっとユーモラスな明るさがある。
明るい陽射しの中で海を見て感激しているサーニンとマックス。
1番ハードな「階段のむこうには」暗闇に電話のベルと言う不吉な予感。

「だから旗ふるの」の旗は最初ちょっと豪華な小さいのが出て来て、「あれは違うな」と思ったら、もうひとつ今度は大きいのが出て来る。
大きくなって、とても旗を印象付けるし、アンジーの爆発しそうな喜びもとても伝わった。
階段でアンジーがナイフをエイダに振り上げると所。
「アンジーは左利きだ!」が結構好きだったので、そこが「アンジーは本気だ!」になったのがちょっと残念だけど、ちょっとだけ。
あの場面は、緊迫感がちゃんと出ている。
マックスがエイダに「僕を殺していいよ」と言う場面から、ラストのシーンまで、圧巻。
最後の最後、4人がじゃれ合って笑い合って、前を見つめて終わるのが、本当にホッとする。
ホッとして、ここでも涙が出て来る。というか、その前から止まらないけど、違う意味の涙。
(原作ファンとしては、この先この幸せな気持ちは長くは続かない事が分かっているから、余計に)

舞台を観て改めて思った事。
グレアムを追い詰めた中に、自殺した‟おばちゃま“もいたのだ。
それはそうだ、あんな形で死んでしまったら、誰も救われない。
そして、グレアムとエイダの関係を修復したマックスの力は偉大だ。
マックスにしか出来ない事なのだ。
「好きだよ。友達になろうね」なんて、あんなに素直には出ない。
しかも天使の笑顔付き。
エイダに寄り添うオフィーリアことフーちゃんの存在も良かった。
でも、オフィーリアと呼ばれるのを嫌っていたのにと思ったら、漫画では名前を呼ぶシーンはなかった。
しかし、フーちゃんが後にアンジーの心の支えになるなんて、この時は誰も思わない。

個人的に、ビジュアルや仕草から凄いなと思ったのは、岩﨑グレアムと千葉サーニンと松本エイダ。
グレアムはマックスに向ける優しい笑顔が好きだから。
「アハッ!」はどのアンジーも言っていたが、セリフの中に入っている流れのアハッ!
宇佐見アンジーは独立した「アハッ!」の感じで自分は1番アンジーぽいと思う。
髪型もやっぱり、宇佐見アンジーのが好き。
マックスは3人とも可愛い。
若林マックスの感情の出し方が、表情や仕草と相まって先輩の貫禄。

レディ・ローズは優しさが垣間見え、やっぱり大人の存在はいいなと思える。
久保さんのイブ・ホーンはとても美しいのに、主婦のおばさんで出て来ると、久保さんもおばさんになれるんだ、と。
仲原さんは「スモールポピーズ」のお母さん役からすっかり女性役も板に付いた感じ。
ハンバーガーショップの店員さんは可愛かった。
そう言えば、サーニンに「ゴリラ」と言われたのは、藤原おばさんなのだろうか。
サーニンの視線は仲原おばさんに行っていたような。
ただその後、仲原おばさんが「気にしちゃダメよ」って言うから、やっぱり藤原さんかなと思ったが。
このシーンも好きだ。
声の高い、吉成さんのダイアナも可愛く、「フライパンでバンッって」の仕草が好き。
ここのおじいちゃまが、アンジーを子どもとしてではなく、対等の相手として話してくれたことも大きいのだ。
余談。パーティの時、宇佐見さんが着ていた緑のドレスが、「パサジェルカ」の時、船の上で及川さんが着ていたドレスだった。

「はみだしっ子」は自分のバイブル。
原作の漫画も繰り返し何度も読んだが、この舞台も何度でも観たいと思った。
始めに観劇してから、頭の中にはずっと「はみだしっ子」で、次に観に行くのを心待ちにしている自分がいた。

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