「ブラックサマーの殺人」 M・W・クレイヴン ハヤカワ・ミステリ文庫
BLACK SUMMER 東野さやか・訳
ワシントン・ポーは、レストラン〈パラス&スロー〉のオーナーでシェフのジェレド・キートンを娘のエリザベスを厨房で殺したとして逮捕する。
厨房は大量の血を拭き取った跡があった。
エリザベスの遺体は見つからなかったが、色々な状況からポーはキートンが娘を殺したと確信する。
6年後、エリザベスが監禁されていたのを逃げ出して来たと、警察官の前に姿を現す。
血液検査をして、エリザベス本人だと確認される。
ポーは、エリザベスは別人だと思い、事情聴取の映像や血液採取を録画した映像を調べるが、不正は見つからなかった。
まもなく、キートンは刑務所から出所して来る事になる。
ポーを信じる、フリン警部や分析官のブラッドショーが協力し、真相を追求し始める。
そんな時、またしてもエリザベスが姿を消す。
「ワシントン・ポー」シリーズ第二弾。
警察がいかに証拠に難癖を付けられないように慎重に扱っているのか、改めて知る。
取り調べの映像を残すのは当たり前だと思うが、血液検査の映像や、それをどう扱って検査機関に送るかなども、手順が細かい。
それをどう搔い潜って行ったかをポー達は探し出す。
ポー側に立って物語を読んでいるから、何かあるだろうと思うが普通ならエリザベスは本人と思う。
1番の難問は血液検査だったが、最後にはその謎も明かされる。
しかし、それはそんなに上手く行くものだろうかと、最大の謎解きがちょっと不満。
録画されなければ、もっと簡単に出来る事のような気がするが。
その他にも、知りたい事が書かれていなかったり、それはないだろうと言う事はある。
それでも勢いのある物語で、展開に引っ張られる。
複雑な事件だが、それを探っていく過程が面白い。
捜査は、ブラッドショーが得意とする情報や統計の分析の分野と、ポーが考え推理する分野がバランスよく相まって進行している。
どちらも大事と言う事だが、Webを駆逐する捜査は今風な物語だと、しみじみ思う。
自分はまだ慣れていないと言うか、ついて行けていない世界だ。
ブラッドショーの社会性が、少しずつ変化しているのも楽しい。
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