しましましっぽ

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「いまは誰も愛せない」  リサ・ガードナー

2008年12月27日 | 読書
「いまは誰も愛せない」  リサ・ガードナー   ヴィレッジブックス ソニー・マガジンズ
  THE SURVIVORS CLUB     前野律・訳

アメリカ、ロードアイランド州プロヴィデンス。
ある月曜日の朝、初公判の為に刑務所から裁判所に到着したエディ・コモが何者かに銃殺される。
エディ・コモは連続レイプ事件の犯人、通称カレッジヒルのレイプ魔とされていた。
そして、その銃撃者も逃走しようとした車の爆破で死亡する。
犯人逮捕には、レイプ事件の3人の被害者が結成した〈THE SURVIVORS CLUB(サバイバーズ・クラブ)〉が力になっていた。
3人は、広告代理店経営者で34歳のジリアン・ヘイズ、42歳の主婦キャロル・ローゼン、19歳の女子大生メグ・ペサトゥーロ。
そして、エディ・コモの殺害は3人が復讐のために依頼したのではないかとの噂が出る。
そんな時、新たなレイプ事件が発生し、その手口がカレッジヒルのレイプ魔と同じだった。
エディ殺害の調査を担当した州警察重要犯罪課部長刑事ローン・グリフィンは、レイプ事件を担当した市警察性犯罪課の刑事ジョゼフ・フィッツパトリックと協力して、事件の真相に迫っていく。



事件にはもうひとつ、グリフィン刑事が係わった、10人の子どもを誘拐殺害したキャンディマン事件の犯人で、グリフィンの隣人だった男、ディヴィッド・プライスが絡んでくる。
その絡みが物語の流れの中にとても見事にスムーズに入り、緊迫感を盛り上げる。
その緊迫感がしぼむことなく、最後まで突っ走る。
最後は人を操り思い通りにしようとする悪人と、それを見破り阻止しようとする警察とジリアンの頭脳戦の様相も。
一気読みの物語。

マスコミの怖さもある。
テレビのニュース・レポーターのモーリーンは、被害者であることは確実な3人を加害者として見ようとする。
それはサバイバーズ・クラブが被害者としてただ慰め合うことでなく、どんなことにも負けないで前向きに生きていこうという強い意志を見せる事に対する、嫉妬のようにも見える。
エディやガールフレンドのトーニャが無罪を訴えていたこともあるが、それもあまり関係なく、自分が居る側の利益ばかりを考えているようだ。
人の心を傷つけることは容易いことなのだ。

最後はすっきりとはしない、やり切れない物語でもある。

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