「官僚謀殺シリーズ 知能犯之罠」 紫金陳 行舟文化
阿井幸作・訳
「十五人の局長を殺し、足りなければ課長も殺す」――殺された公安局副局長の死体の傍らには、そんな“予告状"が残されていた。
捜査が進むにつれ指揮官の高棟は、警察の人海戦術の弱点や科学捜査の限界を熟知した犯人の計画に慄然とする。
そして予告通り起こる、第二、第三の殺人。
捜査を立て直すべく、高棟は学生時代の旧友で、数理論理学の天才と呼ばれた徐策に協力を乞う。
だが、高棟は知らなかった。
徐策こそが、一連の事件の真犯人であることを。
そして高棟は、現代中国の社会そのものをあざ笑うかのような、恐るべき「殺人トリック」に直面することとなる……。
そして高棟は、現代中国の社会そのものをあざ笑うかのような、恐るべき「殺人トリック」に直面することとなる……。
<単行本裏カバーより>
犯人が最初から分かっていて、それが捜査指揮官の友人と言う設定。
始めの頃はどちらに気持ちが寄るかと思っていたが、ほどなく犯人の徐策の方へ。
高棟は純粋に事件を解決したいと言うより、自分の出世の為の仕事なのだ。
これが中国の社会なのか。
手柄を上げる為なら、ある程度真実を捻じ曲げても構わないのだ。
徐策は計画した殺人を着実にこなしていく。
そこまで考えていたのかと、最後まで驚かせる。
全てが収まる所に収まって行くのが面白い。
唯一の不確定要素が高棟だったのかも知れないが。
心理的なやり取りも2人の間であったが、やはり徐策の方が上だったかも知れない。
しかし、権力の上に立つ者はどこでも腐敗して行くものなのか。
嫌な世界だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます