散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

2009-07-22 11:02:38 | 読書感想
雨が降っている。

雨続きの空気の中で時間がふやけて伸びて水飴のように粘る。

雨の音が耳の外で内で続いている。

。。。。。

      


膨らんでは落ちゆく軒先の雨だれを飽かず眺める。

今朝淹れた珈琲の香りが本棚の前の、『ファーブル植物記』から『レイモンド・カーヴァーのカテドラル』の間に滞っている。朱色の表紙。
一昨日の赤フサスグリのゼリーは充分なゼラチンを溶かし込んだのにもかかわらず固まらなかった。ゲルの融解温度25~35℃。。。昨日は気温28度。
昨日アトリエに忘れてきた落書きノートのページから文字が湧き出して、実はそれが虫の大群である夢を見た。
アトリエに死に積もり行くダンゴ虫のことを思う。
。。。
。。。
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。。。
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ところで、レイモンド カーヴァーの『カテドラル』。
とても素敵な短編集だ。
簡単な言葉で淡々と日常を描写しながら読み手を知らぬ間にその描写の中に引き込む吸引力にいつも驚かされる。
料理中にジャガイモが転がってころころと調理台の下に転がっていってしまったりするような、全く平凡な場面描写も曲者かもしれない。
ちょっとしたところで摑まってしまうのだ。

そして今日も、珈琲の香りに導かれて、茹でジャガの行方を気にしながら思いがけなくも再読してしまった。
そしてちょっと良い気分になった。

雨も止んだしね。