不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

現状把握くらいはやっているのか?

2007-09-02 16:23:03 | 国際・政治

去年の今頃、大阪市の「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」(以後「監理委員会」と略)が、今後の大阪市の施策見直しに関する提案をとりまとめて以来、もう1年が経過したことになります。基本的にはこの「監理委員会」が出した提案の線に沿って、大阪市の青少年会館事業の「見直し」が進められ、今日に至っているということは、すでにこのブログなどで何度もくり返し言ってきたところです。

一方、この「監理委員会」の提案が出た後、去年11月末に今の大阪市長の出した方針には、市内12ヶ所の青少年会館のうち体育館やグラウンドなどのスポーツ施設部分を除いた「その他施設部分」について、「子育て支援などのグループ・サークル等による自主的な活動をはじめ、多目的な各種事業の実施場所として幅広く活用する」と書いていました。

とすれば、青少年会館事業がなくなったとしても、今、それぞれの館で自主サークルがいろんな活動を展開しはじめていますが、その活動場所としての青少年会館施設は、単に2007(平成19)年度だけに限らず、「それ以降」も利用可能とすべきだ、自主サークル等がそこで活動するのには、なんら差し支えはないのだ、という読み方が可能です。

また、実は「監理委員会」提案の段階でも、「その他施設については、多目的に各種事業の実施場所として幅広く活用を図ることが一層効果的」ということが言われています。

さらに、昨年11月末、市長方針が決まるときに出された「地対財特法期限後の関連事業等の総点検調査結果に基づく事業等の見直し等について」という、長い名称での市長名の文書には、次のように書いています。

「今回の方針においては、現在の施設について市民の自主的な活動に積極的に活用していただき、より多くの方々にもっと利用しやすくするとともに、本市の事業の実施場所としても使用するなど、幅広い活用を図ることとしており、それに向けた具体的な施設運営について検討しているところであり、順次、明確にしてまいりたい。」

とするならば、もともとの市長方針やその前提にある監理委員会提案の中身の問題点を脇においても、条例廃止・市職員引き上げから半年が過ぎ、そろそろ来年度の予算編成等に向けていろんなことを検討しなければならない今の時点で、大阪市として青少年会館のあと施設をどのように運営し、市民の自主活動支援や市の事業の実施場所として、どういう風に活用していくつもりなのか、その方向性くらいはそろそろ出してしかるべきではないのでしょうか。

いや、それ以前に、今、青少年会館のあと施設を利用中の自主サークル等について、そこの使い勝手がいいのかどうかとか、今の利用のルールに何か問題はないのかとか、そういったことに関するヒアリングを、大阪市側としてきちんと行っているのでしょうか。

なにしろ、去年11月末の方針が出るにあたって、先の長い名称の文章においても、市長は「今後、施設運営の具体化にあたっては、利用者や市民の意見を聞く場を設け、地域ごとに説明会を開催するなど市民への説明責任を果たしていくこととしたい」と書いていました。

とするならば、条例廃止前だけでなく、今の段階でも、「これから先、青少年会館のあと施設を使って、こういうことを大阪市としてはやりたいのだ」という説明会を開いたり、あるいは「ここを市民のみなさんはどう使いたいのですか?」というヒアリングの場を設けたりすることが、本当は大阪市の取り組みとして必要なのではないでしょうか。条例廃止前の説明会のあり方に、利用者や各地区住民の側としてみたら相当に問題が多かった、という点を脇に置いたとしても、です。

おまけに、昨年11月末に出された市長方針には、「平成19年度に限り、現行の青少年会館は普通財産として暫定的に管理することとし、市民の幅広い利用に供する」とあります。こういう書き方をするならば、余計に今の時点で、大阪市側には、利用者の側の立場から見て、「平成20年度以降はどうなる?」ということが問われてしかるべきでしょう。

例の「世界陸上」大会の終了にあわせて、明日、現在の大阪市長が市長選への再出馬宣言をするとか、あるいは、別の候補者擁立の動きがあるとか、すでにどこかの政党は候補者をきめているとか、いろんな話が飛び交うようになってきました。

でも、少なくとも、次の大阪市長が誰になるにせよ、今、ここで述べたようなことについて大阪市としてどう考えるのでしょうか。誰になったとしても、市長として「こうする」と去年、述べた以上は、まずはきちんと「説明責任」を果たす必要があるのではないでしょうか。

そして、誰が市長になるにせよ、大阪市の行政当局としては「青少年会館のあと施設利用について、自分たちはこう考える」という方針を立てたり、少なくともその前に、今、そこを使ってさまざまな活動を行っている人たちの状況把握をするくらいのことは、やらなければいけないことなのではないでしょうか。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« もうすぐ1年 | トップ | ここのところよく言うのは »
最新の画像もっと見る

国際・政治」カテゴリの最新記事