乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

シンガポールの離島

2013-05-09 | シンガポール
 シンガポール領内にはシンガポール島の周りに離島(というと近いのにやや大仰ですが)がいくつかあります。極端に領土が狭い国なので離島も大事なスペースということになりゴミ処分場や製油所、軍事基地などに「有効利用」されていてあまり遊びに行こうという感じでないところ多いようですがウビン島という島は自然が残り遊び目的で楽しめるというので行ってみることにしました。
 ウビン島への渡船はシンガポール本島の北東のはずれ、チャンギビレッジというところから出ています。シンガポールでチャンギとくればまずは空港、空港があるようなところはだいたい都市の端ですからそのさらに先という立地となるとなんとなく開発が遅れていそうな気がしてきます。
 そういえば以前香港でランタオ島という島に行って野生のピンクイルカや水牛を見ましたが、そこも街外れの空港の先、という立地でしたから元イギリス植民地都市つながりでちょっと似た条件というところが面白く感じました。

 話を戻してチャンギビレッジまではシンガポールの中心地からバスで1時間ほどです。二階建てバス・平屋バスが溜まるバスの折返場があり隣接して商店・飲食店が集まっていました。


 その先すぐに渡船場があります。渡船は乗員定員2名乗客定員12名の小さな船で、特に時刻表はなく乗客が12人が溜まったら随時出発という乗合タクシーみたいなシステムです。ということは12人集まらないといつになっても出発しないことになりますが幸い5分も待たずに集まりすぐ出発できました。


 乗船時間10分ほどでウビン島に到着すると対岸にはシンガポールの街が見えあまり遠くに来た気はしませんが大変のんびりした雰囲気です。


 島内には公共交通がないので自転車を借りて走ることになります。とりあえず道はよく整備されているものの結構起伏があるので日ごろ運動不足の身体には堪えました。いくつも中華している廟がある熱帯雨林という風景は何だか面白くまた妙な気分です。


 アリ塚があるとしみじみ見てしまいます。


 ゴソゴソ音が聞こえるので見るとオオトカゲでした。


 おっちゃんが網もって腰まで泥水に浸かって何かしてます。

 何してるのか聞いたらカニ捕りでした。シンガポールの名物料理にカニの辛み炒め「チリクラブ」がありますがひょっとしてこいつらもいずれ、でしょうか。


 サルも出ます。


 イノシシはちょっと怖いものがあります。


 という具合に自転車に乗ってウロウロしていると色々な野生動物が見られました。マレーシア側の海岸線まで行ったところ海中に柵が延びちょっと無粋な雰囲気ですが国境らしさは感じます。


 さてウビン島観光のひとつの目玉が海沿いに伸びる磯やマングローブを観察するための観光桟道です。ここは自転車では走れず徒歩で見物することになります。ただし行った時間は潮が満ちていたので磯の生き物はあまり見られずちゃんと潮の時間を見ておくんだったと後悔しました。


 海岸の桟道は熱帯雨林見物コースに続いています。このトゲトゲ葉っぱがニッパヤシというやつです。戦時中の「南方」の話に『ニッパヤシで兵舎の屋根を葺き』みたいなシーンが出てきたりしますがこれがそうかと感心しました。「からゆきさん」でも「一兵卒」でもなく遊びで「南方」に行ける時代でよかったと思わずしみじみします。


 森の中には展望台があり上から眺めることも出来ます。


 最後になかなか悪くない風景の内陸の池を見て満足しました。都市国家のシンガポールにこんな熱帯雨林や野生動物が見られる島があるんだなあと感心したところで、そういえばそもそもあのビル群もこういうとこを切り開いた結果なのかと思ったりなんだか社会科見学でもしたような気分です。


 という具合にウビン島見物を終え渡船でチャンギビレッジに戻りバスで都心に出ました。お約束のマーライオンにド派手な夜景、これでもかとわかりやすく繁栄を誇示する雰囲気づくりに感心しつつ、ウビン島からの急な変化に頭の中がなかなかついていけません。



 夕食はチリクラブにしました。チリクラブにはスリランカ産にアラスカ産にといろいろな輸入ガニが使われるそうです。食べながらウビン島で見たカニを思い出し、量はおそらく微々たるものでしょうけれどそれでも狭い都市国家でシンガポール国産ガ二が捕らえられ食べられているということが何だか面白く感じられました。