乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

大瀬崎で海水浴

2014-07-31 | 静岡県
(前回のつづきです。)
 大瀬崎は沼津市内ではあるものの沼津駅からは遠く、バスだと80分前後もかかり便数は朝晩2往復のみとあまり気軽に行ける感じではありません。ただ夏季の海水浴シーズンは千鳥観光汽船が沼津港から大瀬崎まで洋上をショートカットする渡船を運行しているのでだいぶ便利になります。

 というわけで沼津港に行くバスに乗るため沼津駅南口に出ました。駅前にある沼津機関区にちなんだC58のモニュメントは部品が一部だけなのでやや気の毒に見えたりもします。沼津港までは伊豆箱根バス(1番乗り場)と沼津登山東海バス(2番乗り場)の両方が路線を持ち競合関係にありますが乗り場が隣り合っているので先に出る方に乗るという選択がしやすい点は助かります。今回先の発車だったのは伊豆箱根の方です。


 沼津港に着くと大瀬崎への乗船券はバス停近くの「ひものセンター」内で販売されています。一昨年の訪問時は帰路のバスも目的だったので片道の乗船でしたが今回は往復とも船です。片道運賃が1100円で往復券2200円と特に割引がないのは意外に思ったりもします。ただ直営の海の家とのセット券(2600円)というものを買うと往復乗船券と海の家利用料(800円)を別々に払うより安く済むのですが。また「大瀬めぐり駿河湾クルーズ1100円」という大瀬崎側で下船せずそのまま戻って来るプランがあるので純粋に「乗り船」だけするなら半額ということになります。


 海の家セット券は回数券状で地紋には「CKK」の字が見える千鳥観光汽船オリジナルというなかなかうれしい体裁です。(地紋のマークは千鳥観光汽船公式サイトにも使われていました。)「途中下船前途無効」「通用発行日共2日」とのことです。


 出航するとカモメがやってきます。このカモメ用に切符売場でかっぱえびせんを売ってました。今月は韓国の席毛島渡船に続きなぜかえびせんのエサやりがついてくるので妙な感じです。韓国でも日本でもえびせんをエサにするとは面白い一致ですね。


 約30分で大瀬崎に到着しました。(バス停名・船着場名は大瀬「岬」。「崎」も混用。)浜はボンベを積んだ台車が行き交いダイバーと海水浴客が混在し賑わうもののそうべらぼうな混雑ではなくゆっくり過ごせまずは満足です。海水がキレイなので水中メガネを持って来なかったことを後悔しました。


 沼津港への復路は2階建ての船でちょっと気分が変わります。乗客が多いと見込まれるときはこれを運用に入れるようです。


 という具合に乗りバスではなく海水浴が目的の大瀬崎を楽しみました。往復とも船に乗ると地続きの場所ながら離島に行って来たような気分になり面白いものです。

柿田川と花火

2014-07-30 | 静岡県
 夏だから海水浴に行こう、と安直に話が持ち上がり、では東京の近場で海がキレイそうなとこってどこだろうと考えたとき一昨年乗りバスに行った大瀬崎を思い出しました。ダイビングスポットになっているくらいだから海水浴も悪くなかろうというわけです。

 今回は夏の道路渋滞を恐れ高速バスを避けて東海道線を西に下ります。いつの間にか丹那トンネルを抜けた先まで直通する列車が激減しているので熱海で降り、リゾート21を昔の塗装にした怪しい伊豆急を横目に見ながら乗り換え。なんかヘッドマークがついているので検索したら「くつだる」というアニメとのコラボ企画とのことです。伊豆急とアニメのコラボといえばもやってたなあと思い出しました。伊豆急に限らず最近はあっちこっちの鉄道にアニメとかマンガの絵がくっついてくるので感心というか不思議ですが、そんなに人が呼べるものなのでしょうか。というかまあ呼べるからこそやるのでしょうけれども。
 乗り換えて丹那トンネルを抜けると三島では伊豆箱根鉄道にもヘッドマークがついていました。これは「三島夏まつり」のPRで三島のマスコットキャラクター「みしまるくん・みしまるこちゃん」入りです。この手の地方キャラもどこに行っても見かけるようになりましたね。


 ここで夏と言えば海だけでなく川にも行かねば、というわけで寄り道します。三島駅前で沼商(沼津商業高校)行きの沼津登山東海バスに乗り柿田川湧水公園前で下車しました。


 柿田川は大量の湧水が水源の美しい川です。ロードサイト店が並びクルマ通りの多い国道1号線のすぐそばに水源地があり、一帯は柿田川公園として整備されています。


 湧水というとこんこんと湧くイメージですが、ここはそんな生易しいものではなくどぼどぼとでも言った方がいいような大量っぷりです。なんというか突如川が始まってしまっているという感じがします。


 そんな湧水を見ているだけでも涼しい気分になり、さらには足を水に浸すこともできと夏にはもってこいです。


 さて夏と言えば花火なんてのも思い浮かぶところですが、都合のいいことに沼津で花火大会があるというので今度は柿田川公園にほど近い西玉川停留所から沼津駅行きの沼津登山東海バスに乗って移動します。


 花火そのものはもちろん、花火が終わったあとも各バス会社(画像は富士急シティバス)が見物客をさばく増便を出し華やいだにぎやかな雰囲気が続いていました。夜に多くのバスが元気に動いている様子を見られるというのは実のところ花火を見るよりもうれしいくらいです。


(次回につづきます。)

北村韓屋村と路面電車

2014-07-23 | 韓国
 夕方東京に帰る日ソウル市内のどこかで軽く見物しようという話になり瓦葺の家屋が集まる地域「北村韓屋村」(韓国語だと北村韓屋マウル)に行くことにしました。(※マウルは集落とか町内くらいの意味で都会・田舎問わず使われます。)下調べをしていなかったので仁寺洞通りの北端にある観光案内所に寄って北村韓屋村を通るバスがあるか聞くと、すぐ近くの鍾路警察署停留所でマウルバス鍾路2番に乗ればいいとのことです。鍾路警察署の前にある停留所で待っていると間もなくそのマウルバスがやって来ました。


 バスに乗ると坂道の北村路を北へ上り、北村韓屋マウル(トンミ薬局)停留所まではあっという間です。降りると観光バスやタクシーが停まり観光客が多く見える中に何やら赤い帽子が目立っています。


 赤い帽子と上着は移動観光案内員の制服でした。「中国語可」「日本語可」などのバッチをつけ地図や観光パンフレットを持ち迷える子羊の観光客を助ける頼もしい存在です。手ぶらで来た私たちも付近の詳しい地図をもらえ手近な見どころも教えてもらいやみくもに歩き回ることなく見物できました。案内板の類はもとより今ならインターネットでも情報が多く流れていますが、やはり現地で直接人に聞けるというのは安心感が違いますし調べないで行くものぐさにも助かります。便利で小回りのきくサービスに大変感心しました。


 韓屋村は観光客をあてこんだ施設化したものも混ざるものの基本的には住宅地なので「シーっ!」「静かにして下さい」という注意書きがところどころに貼られています。


 韓屋村見物後に乗った鍾路1番マウルバスはマイクロでした。マイクロバスって基本的にどうもイマイチに感じるタチなのですが韓国のマウルバスや香港のミニバスはイイなあと思ってしまうので不思議です。なんでだろ?と考えて、幹になる路線網があった上でさらに細かなところをカバーするというきちんとしたシステムの一部だからだと気づきました。こういう細かな路線が頻繁に目に入るとラクに移動できそうだと安心できイイなあと思うというわけです。


 マウルバスで鍾路2街に出て西に向かうバスに乗り換えます。次々やって来るバスの側面上部を見ると何やらスローガンが書かれているのが気になりました。


 「みんなで大事にエネルギーを使い、みんなで減らす原発一基」とのことです。

 「節約するあなたが原発を一基減らすエコ発電所」というのもありました。

 これはソウル市が行っている「原発一基削減運動」のアピールです。電源の原発率が高い韓国でこういうスローガンがバスに書かれるとは挑戦的で面白く感じました。

 さて鍾路からバスで西に向かったのは西大門跡近くのソウル歴史博物館前に置かれているソウルの路面電車(1968年全廃)の車両を見るためです。ソウルの路面電車が最初に開業した区間は清涼里~西大門なのでその区間を通るバスに乗って路面電車を見に行くということになります。ちなみに地下鉄1号線の開業は1974年と地下鉄・路面電車の両方が走っていた時期はありません。ということはその間バスでさばいていたわけで今のソウルの巨大な地下鉄・電鉄網を思うとなんだかウソのような気がします。乗り物好きからするとこれが「漢江の奇跡」でしょうか。
 肝心の保存電車は1930年頃日本車両で作られたというもので大変きれいに復元されている上「お弁当忘れたよ~」と乗った息子を追いかける母の人形が置かれていて「動態(らしく見せる)保存」とでも言うような雰囲気です。


 そんなわけで瓦葺の街並と路面電車を見たわけですが、高層アパートと地下鉄・電鉄・バスの街という今のソウルのイメージと離れていてなかなかピンと来ませんでした。帰宅して改めて東京を考えるとずいぶん変わってはいるものの路面電車と地下鉄・通勤電車が併存する時代があって今に至っているのでソウルほど劇的ではない気がします。とは言えソウルの路面電車も東京の路面電車も高度成長の時代に生き残れなかった点では同じなので路面電車好きとして残念でなりません。

ITX青春で昭陽湖へ

2014-07-20 | 韓国
 江華島と席毛島に行った翌日、海の次はやっぱ山の方かな、京春線が大改良されて便利になってるはずだから江原道の春川に行ってみるか、ということになりました。

 京春線はかつて清涼里から客車列車がのんびり出ていくイメージだったのが2010年からの複線電化など大規模な改良を経て今は通勤電車と全車指定の優等列車「ITX青春」が走っています。このITX青春は以前からの清涼里駅に加え竜山駅まで足を延ばす列車が多く、久しぶりのソウルで「浦島太郎化」していると「京春線に乗るのに竜山?」とちょっと意外な感じがするところです。
 ともあれ竜山駅で切符買ってホームに下りるとこれからレジャーとおぼしき乗客が多く、一方「韓国の高床ホームは通勤電車」という感覚があるとホームの雰囲気が不思議に思えてきます。


 優等列車ながら最近の通勤電車に似たやや地味めな顔のITX青春がやってきました。途中に2階建て車両を2両挟んだ8両編成です。考えてみれば韓国で通勤電車以外の在来線電車に乗るのは初めてなので目新しく、大都会の高床ホームに自転車がある様子(つまり車内持ち込み可)も面白く感じます。発車すると漢江北岸に沿った区間をとろとろと走りスピードはのらないものの車内販売がやって来て優等列車らしさが盛り上がり楽しくなってきました。


 清涼里を出ると徐々にスピードが上がるのですが高架やトンネルを多用し線形がよくなっているせいかあまりスピード感はありません。とは言え清涼里~春川はかつて無窮花号で速くても1時間40分台だったのがITX青春は1時間ですからすごい短縮ぶりです。


 春川では近郊の昭陽湖(ダム湖)に行って船に乗ろうと思い、そこへのバス(11・12・150番)が出る駅前の停留所を見るとバスが出た後にかなりの乗客が積み残されるのでびっくりしました。バスは春川市内各所を回ってから春川駅に来るので既に混んでいて乗客を受け切れなくなっているというわけです。さすが有名な行楽地と感心しつつもう午後1時になっていてあまり遅くなるのも困ります。待って乗っても今度は3~40分立ちっぱなしになりそうだし、と結局2人で乗るなら1人当たりは半額だしとあきらめタクシーにしました。駅前のタクシーの運転士さんをつかまえいくらくらいか聞くと15000ウォンでどう?とのことです。乗るとすっ飛ばし20分くらいで昭陽湖の船着場近くに到着しました。メーターを見ると17000ウォンを超えていたので15000ウォンというのは多少オマケということみたいですが、ということは大づかみで15000から20000ウォンの間くらいの距離と思えばよさそうです。


 でかいダムの昭陽湖はソウルを流れる漢江の上流にあたり、近所の清平寺に行く船が頻発しているほか上流の楊口に向かう航路(5~10月のみの季節運航・所要約1時間)もあります。楊口まで行くのも面白そうですが時間があまりないのであきらめ、乗ったのは清平寺行きの方です。だいぶ水位が下がっていてイマイチな景色を見ながら10分くらい乗りました。


 清平寺側の船着場は寺から結構離れているのでまずは遅めの昼食とします。韓国の山寺の門前と言えば精進っぽいということで山菜ビビンパとか山菜定食が似合う気がしますが、春川が初めての同行者がいるので一応そば粉を使ったご当地名物の冷麺「マッククス」も頼みました。隣の席のお客はやはり春川名物の辛く味付けした鶏料理「タッカルビ」を食べていたり、メニューを見るとコウライケツギョ・ヤマメ・マス・コイとダムの近くらしく淡水魚の刺身もあったりでさすが観光地の食堂という感じです。


 腹ごしらえを終えたら渓流に沿って清平寺に向かいます。水がキレイそうかもと期待していたらダム同様に水量が少なくなっていてあまりパッとしませんでした。とはいえ渓流の真上に食堂の席が設けられているのを見るとここで食べてもよかったかもと思ったりします。


 入場料を払ってさらに上がりお寺さんに着くとその辺に(たぶん)チョウセンシマリスがうろちょろしていました。日本だと外来種で増えちゃうと困りますがここでなら素直にカワイイと安心して見物できます。


 お寺とリスを見て納得したら結構いい時間になってきたので船着場に戻り帰途につかねばなりません。


 渡船のあとは始発なので今度はタクシーではなくバスで春川駅に向かうことにします。積み残しはないものの始発でも座席にありつくためには1本落とす必要がある程度には混んでいました。春川駅まで40分弱かかったので立ちっぱなしではつらいところです。


 春川駅に着いたら鈍行に使われるロングシートの通勤電車を見物しました。これも自転車持ち込み可能です。


 鈍行は遅くくたびれるので見るだけにし、往路と同じITX青春でソウルに戻ることにします。竜山駅に着くと優等列車ながらホームドアを通ってホームに降りることになるので新鮮でした。もし将来相鉄~東急~南北線と直通する座席指定の特急でもできたらこんな感じかな、などと空想してしまいます。


 というわけでITX青春のおかげでソウルから春川へより手軽に行けるようになっていることに感心しつつ、韓国の在来線もいよいよ電車の時代なのだなあとしみじみ思いました。

席毛島でサイクリング

2014-07-19 | 韓国
(こちらのつづきです。)
 3000番バスで着いた江華市外バスターミナル内には観光案内所がありパンフレットや地図、島内のバス時刻表を貰えます。広げると江華島内の見所より西隣の席毛島に向かう渡船が気になってしまい行ってみることにしました。
 ターミナルから渡船の船着場がある外浦里までは31・36・37番のバスで20~30分程度、各系統をあわせると毎時数本あり割と便利です。外浦里でバスを降りると魚料理を出す食堂がいくつか目につくのでここで昼食にします。この辺りの名物はサッパ(ママカリ)の刺身だそうですが、ドーンと出て来る韓国の刺身を食べだすと時間もドーンと食うことになるのでフェトッパプ(刺身丼)で食べることにしました。名前通りさっぱりした味でなかなかオツです。そういえばこのサッパや慶尚南道方面でよく見かけるコノシロ(コハダ)も国内では酢でシメたものしか食べたことがなかったかもとふと思いました。


 では渡船に乗ります。ここでは乗船中ウミネコにエサをやるのがお約束で、観光客の多くはエサ用のセウカン(えびせん)を準備していて投げるためウミネコが群がって来ました。

 10分も乗ったかなといううちに席毛島の石浦船着場です。この島の観光の中心は普門寺という山寺で、そこまでは路線バスのほか自転車を借りるという手があります。せっかく離島に来たのだし今回は同行者がいたので「乗りバス」はほどほどにしとくか、とサイクリングすることにしました。下船後すぐ前方右側の食堂で自転車を借り(1台3時間5000ウォン)整備されている自転車レーンを走りだします。


 しかしある程度走ってみてこれは失敗だったかもと思いました。急坂は少ないもののあまり変わり映えのしない車道沿いの自転車レーンを淡々と進むばかりで海というか干潟が見える箇所もあまりなくどうもパッとしません。途中島内産の天日塩直売所を複数見かけ気になったもののひと袋がデカ過ぎて土産にはムリそうです。ただ一応コンビニや売店、食堂に民泊、ペンションの類とそれなりに店は点在していて何もないというわけではありません。


 普段の運動不足がたたり約10㎞の道のりを休み休み1時間半以上かけ、それなりに賑わっている普門寺の門前に着きました。食堂や土産屋とともにここの名物というえびのすり身やヨモギのテンプラを売る店がいくつか目についたのでとりあえず買い食いしつつ境内に向かいます。


 入場料を払って境内に入ると急坂と階段で息切れします。上がるほど眺望がよくなるはずが霧が濃くなるばかりでほんの数メートル先も霞むありさまです。遠くの景色どころか目の前の岩に刻まれた観音様さえよく見えません。


 いったい何のために来たんだか状態で帰りの10㎞サイクリング・渡船・バスと乗り継ぎ江華市外バスターミナルに戻るともう夜です。また往路と同じ3000番に長時間というのも飽きるし疲れるなあ、というわけでちょうど出るところだった清州行きの市外バスに乗りました。途中停まる金浦空港で空港鉄道に乗り換えればソウルに戻れます。3000番に乗り通すことと比べ全体の所要時間はあまり変わらず運賃は高くつき空港で乗り換えの手間があり、と目に見えるメリットはないようでも市外バスは停留所がごく少ない分ゆったりと過ごせるのでその点は楽でした。
(下の時刻表は左の便数の多い方から金浦空港経由清州行き・光州行き・忠州行き)


 空港鉄道に乗り換えると日本語の放送に日本語の電光案内があるのでなんだかソウルというより日本に戻ったようです。金浦空港は以前から地下鉄は通じていたもののソウル中心部までの駅の数が多いので駅の少ない空港鉄道の延長でずいぶん便利になったような気がします。


 という具合にソウルから席毛島まで往復してみて気が付いた点というか反省点は、ソウル近郊というイメージでいたら結構遠かったことです。江華島までにしてもソウルから日帰りしようという場合まずはなるべく早起きして行くことをオススメします。