乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

ヘントのクリスマスマーケット

2013-12-24 | ベルギー
 クリスマスイブの今回はベルギーの主要都市ヘント(Gent/ゲント)のクリスマスシーズンの様子を見ていきます。
 ヘントの玄関口、ヘント・シント・ピーテルス(Gent Sint Pieters)駅に着くと駅舎の真ん中に割と大きなクリスマスツリーが立っていました。ここでも見たようにもともとの内装がきれいなのでクリスマスツリーがよく似合っていると思います。


 クリスマスが近づくとヨーロッパ中でクリスマスマーケットが開かれますが、ヘントでも行われているというので日が暮れたあと街の中心部に向かいました。


 クリスマスマーケットが開かれる聖バーフ広場(SintBaafsplein)に近づくと観覧車が見えてきます。以前来た時こんなものあったっけと驚きましたが、クリスマスマーケットにあわせ移動できる観覧車など遊具が設置されているというわけです。旧市街のど真ん中に観覧車とは面白そうですからこれは乗らないわけにはいきません。上がってみると期待を裏切られることなく目の前には鐘楼に旧市街の夜景、見下ろせばクリスマスマーケットそしてトラムにバスと遊園地をホンモノ(?)にしたような風景というのか、とにかく大変キレイです。


 観覧車を降りたら屋台を冷やかします。軽食とかお酒、飲み物などの店はもちろん繁盛し浮かれた雰囲気ですが、一方パンやチーズ、ハム、ソーセージといった日常的な食料品や日用雑貨など堅実なものを売る店も並んでいるので意外でした。


 こちらが持っているベルギーに対するステロタイプに応えてくれるかのごとくチョコレートとかワッフルの屋台も登場します。


 クリスマスマーケットの端には「トラムに注意」という看板がいくつも立っていました。


 そう思ってみると屋台にクリスマスツリーにと見通しが悪くなっているところを酔っ払った人が大勢歩いていてそこを路面電車(バスも)が通るので確かに危なそうです。こういう場だと路面電車も観覧車の仲間つまり遊園地の乗り物のように見えてきます。


 という具合に歩く人と路面電車・バスが一体化しているように見える点も楽しいクリスマスマーケットでした。

墾丁の第三原発(後編)

2013-12-12 | 台湾
 第三原発のPR館と排水口を見物した前編の続きです。後編では原発の近所を回ります。

 まず墾丁を代表するビーチ「南湾」に行くとリゾート地と原発の合体ぶりがよくわかりました。


 南湾や第三原発の南西には荒々しい海岸線の岬が景勝地になっている「猫鼻頭」がありにぎわっています。

 その一角に原発が事故った時の避難案内が立っていました。見ているのは私とイヌくらいでしたが。そういえば台湾北部にある第二原発に近い観光地「野柳」にも同様のものがあったのを思い出しました。

 避難計画区域は原発から半径5kmで、その中に南湾や猫鼻頭はもとより恒春や墾丁の町も入ります。不慣れな観光客が多い地域だけに混雑するシーズンと事故が重なったらどうなるのでしょうか。


 また海岸線の原発が攻撃くらったらおしまいなわけでまだ国共内戦に冷戦が終わっていない形の台湾ともなればその面も気になりますが、猫鼻頭にも大陸からの中国人観光客がたくさん来ていて中華民国国旗グッズや蒋公すなわち蒋介石グッズを見てウケている時代ですからその辺はあまり心配する必要もなさそうです。



 事故発生時の集合場所は小学校(国民小学・国小)が主になっているのでこの付近に滞在するときは事前に場所を確認しておくといいかもしれません。ただもし自前で足を確保できるなら集合する時間を少しでも遠くに逃げる時間に向けた方がいいのか判断が難しそうですけれども。


 原発の近所をウロウロしていると何度か牛を見かけました。原発を背におとなしく草を食んでいる様子がのどかかどうかはさておき潮風と牛の組み合わせまでは悪くないものがあります。どの牛もよく毛並みが整えられていてキレイでしたし。


 という具合でリゾート地・観光地と原発が同居していることに驚かされました。

墾丁の第三原発(前編)

2013-12-11 | 台湾
 台湾南端のとんがったところ(恒春半島)は一角が墾丁国家公園に指定され、美しい海や砂浜があり台湾を代表するビーチリゾート地になっています。興味深いのはこのリゾート地が同時に原発立地でもあることで、いったいどんな様子なのか気になり見物に行ってみました。

 墾丁の原発は第三核能発電廠(略称は核三廠・日本語にすると台湾第三原子力発電所)といい、日本(や韓国)の原発にもつきもののPR館があって無料で見学できます。公共交通で行く場合は恒春転運站と墾丁を結ぶ屏東客運「墾丁街線藍線」の「後壁湖」が最寄バス停です。
(藍線乗りバスの話はこちらをご覧下さい。)
 余談ながら私は先に第一原発第二原発龍門原発(建設中)を路線バスで訪問しているので台湾の原発全てに「路線バスで」行ったことになりました。(だから何だという話ですが一応「乗りバス」の一環でもあるというわけです。)

 では現地の話を始めます。後壁湖には漁船や遊覧船の港があり、周辺には刺身など魚介類の料理をウリにする食堂があるのでちょっと韓国の原発を思い出しました。そんな観光ムードに第三原発のPR館「台電南部展示館」が紛れ込んでいる格好です。

 南部展示館の門をくぐると正面にドーム状の原子炉建屋が見えるものの、それよりもむしろ風力発電と太陽光発電が少し設えてある方を「いかにも」と感じてしまったのは原発見物に慣れた証拠かもしれません。


 では展示館に入ります。こういう施設というのはどこも立派ですね。

 中身は既に台湾・韓国の原発あるいは日本で見た各PR館と似たような流れなので順を追わずなんとなく目に付いたものを並べていきます。

 最初に気になったのが低レベル放射性廃棄物処分についての展示コーナーで、「他山の石」と称してフランス・日本・スイス・ドイツの処分場の説明があるほか「私たちのよきお隣さん」として処分場がある日本の青森県の六ヶ所村・韓国の慶州について大きめに触れられていました。

 慶州というと韓国を代表する古都ですが、そこに廃棄物処分場や月城原発があるのはリゾート地墾丁と第三原発の組み合わせに一脈通じるような気がします。その慶州と並べられた六ヶ所村は観光地として有名なところではなく逆に核燃料の再処理工場や核廃棄物処理場といった核・原子力関連施設で有名になっているようなところなのでちょっとアンバランスな感じもしますが。ちなみに台湾の低レベル放射性廃棄物「貯蔵」施設は蘭嶼という台東県の離島(タオ族という原住民の島)にあるものの恒久的な処分場はまだ決まっていません。


 原発の各タイプについての解説がありました。

 沸騰水型軽水炉(BWR・ABWR)は台湾第一と日本の柏崎刈羽、加圧水型軽水炉(PWR)はここ台湾第三、重水炉(HWR)はカナダ、と商用炉が並ぶ中に実用化のめどが立たない高速増殖炉(FBR)が混ざっています。解説を見ると日本の「文殊号」すなわち「もんじゅ」やフランスの超鳳凰号(スーパーフェニックス)」が例として挙げられていましたが、さすがにあまり先のめどが立たないものを持ち上げるのは厳しいようで「商業化は2030年以後だろう」というぼかしたオチでした。どこの高速増殖炉だか特に書いていない展示写真は手前のお花畑が強調され遠くにピンボケの原子炉が見えるというものなので、なんだか図らずも(?)高速増殖炉計画の前途をイメージで表現しているように見えてしまったりです。


 原子力をヒーローっぽいキャラに描き他のエネルギーをしょぼく描くお子様向け(?)の手法が見られました。

 こういうのは韓国の原発にもありましたが、単に考えることは同じなのか元があるのか気になるところです。また廃棄物処理クレーンゲームとかでかい原子炉の模型、「3D立体劇場」に地震体験室と原発のPR館にありがちなものが揃い、あの手この手のようでいてだいたいワンパターンというのがこの手の施設の特徴ではないかと改めて思いました。地震体験が原発とどう関係があるのか不思議ですが、体験すると特に原発と関係はなくともなんとなくこの原発は地震対策ばっちりなんだろうと思えてくるような効果でもあるのでしょうか。


 福島第一原発の事故について何か別の展示の場所を流用したようなところに説明があります。


 建設中の第4原発は福島のよりしっかり対策してます、と強調するのを見るととばっちりくらった方は大変だと思いますが、福島にスリーマイル、チェルノブイリと思い出すと明日は我が身という言葉が浮かぶばかりです。


 カフェコーナーもあるので見物に疲れたら飲食しつつ休むことができます。ここの名物は「核三廠海水淡化氷棒」つまり「第三原発海水淡水化アイスキャンディー」です。

 なんだかすごい名前ですが味はごく普通のアイスキャンディーでした。


 というぐあいに南部展示館を見物したあとは原発の排水口を見に行きました。

 この近辺の海では珊瑚の白化が起こったので原発の温排水に原因があるのではないか、いや地球温暖化その他の環境の変化が原因では、と諸説出ているのだそうです。ちょっと見物しただけでわかるのは他の原発同様に釣り人が集まっていたことすなわちよく釣れるのだろうということくらいですが、少なくともその程度は海に何らかの影響があるのでしょう。


 ちなみにこの原発の排水口付近にあるバス停名は「核三廠出水口」、すなわち「第三原発排水口」ですからそのままの名前です。


 という具合に原発PR館と排水口を見物したあとは近所の様子を見に行くことにしました。
(後編につづきます。)