乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

観光列車「伊予灘ものがたり」

2020-03-04 | 愛媛県
 先月宿毛から宇和島まで宇和島自動車に乗ったあと八幡浜に出て伊予長浜経由の松山行き観光列車「伊予灘ものがたり」に乗りました。2両編成で席数は少ないものの観光列車でもツアー専用列車ではなく、また全車グリーン車ではあっても普通列車なので思い立って気軽に乗れるのはありがたい点です。


 「伊予灘ものがたり」はキロ47にはなっているものの扉が両開きなのはタネのキハ47のままなのでグリーン車の四つ葉マークやホームの敷物が似合わないというかむしろ何かの冗談みたいに見えました。また2扉から1扉に改造しているものの扉を埋めたところはその跡がよく残っているのでちょっと面白いものがあります。


 両開き扉の成り上がり観光気動車といえば以前乗った九州の特急「いさぶろう・しんぺい(下の右の画像)」や「はやとの風」の台車がゴツかったのに対し「伊予灘ものがたり」は上等、とすると特急より普通グリーン車の方がえらいわけかなどと思ったりです。この辺は持っていたタネによる偶然でしょうけれども。


 「伊予灘ものがたり」は持ち込み飲食禁止でネズミーなどっかのランドみたいですが乗ったら座席のテーブルにランチョンマットとおしぼりが置かれ何か頼まないとつまらない雰囲気なのでそこは仕方ない感じです。よく知らずに衝動乗りしたので乗るというより乗って飲み食いが目的な列車だったかと乗ってから気がつきました。本格的な食事とかアフタヌーンティーは予約が必要なので一般的な食堂車のようにそのときの気分に合わせて注文することはできませんが、乗ってから頼める軽いメニューもあり乗車時間が食事には中途半端な夕方なので別に困りません。メニューを見るとワインとキッシュのセットが1000円とこの手の観光列車にしてはそこまで高くないのでホッとしました。カウンターや物置といったサービススペースやトイレが両車の連結側にかたまっているのでトイレに行くと乗務員の方のお仕事の邪魔になってしまいますがそこは2両にいろいろ詰め込んでいるだけに仕方ないところでしょう。


 八幡浜を出て最初の見どころは伊予大洲駅の手前で肱川を渡るときに見える大洲城です。このために速度を落としてゆっくりと走るので慌てずにキレイな眺めを楽しむことができました。


 八幡浜から松山までの間で唯一の「客扱をする」停車駅伊予大洲を出ると松山方面への近道になる内子方面と分かれ肘川を下って行きます。肱川河口の伊予長浜からはさらに海岸線が続きと観光列車らしい移り変わりです。ただ逆ロングシートとでも言えばいいのか窓に向かう席に掛けていたところ正面に見続けると集中してしまうからか電線や道路などが気になり以前普通の列車で見たときほど車窓がキレイに感じませんでした。よほどとてつもない絶景とかでない限りクロスシートで横目にちらちら見る方がキレイに見えるものかもしれません。


 下灘駅に着くと列車に乗るわけではなく駅そのものが目的の観光客がたくさんいました。ここで客扱をしない停車時間がしばらくあるので降りて見物することができます。そういう駅だけあってなかなかよい景色なのですがここでも下に道路が見えるのでちょっと興ざめしました。高さがある分江ノ電の鎌倉高校前なんかよりだいぶマシではあるのですが。
 見物して席に戻ったらワインのグラスにラップが掛けられていたので驚きました。人の出入りがある観光列車だけにありがたいものですがこういうきめ細かいサービスとは大したものだと感心させられます。


 下灘を出て次の伊予上灘で交換する一般の列車を見たら一瞬そっちも恋しくなったもののロングシートと気づきやっぱヤダとすぐに思い直しました。


 向井原で内子方面からの予讃線と合流するとほどなく伊予市です。ここで削り節の生産日本一と案内放送がありヤマキとマルトモが顔を見せます。伊予市駅の向かいは伊予鉄の郡中港駅なのを思い出したらそっちにもちょっと乗りたくなりました。私鉄の郊外電車が走るくらいだともう松山圏に入ったという気がします。


 間もなく松山運転所が移転して来て伊予横田~北伊予間に南伊予駅が開業すると案内放送が流れるので見ていると転車台が目に入りました。徐々に街中らしくなるのとあわせるように暗くなったら終着の松山です。宇和島から2時間14分かかり結構乗った気がしますがあっという間に片づけが始まったので観光列車にしてはなんだか余裕のない雰囲気で余韻がいまひとつ残りませんでした。乗客も乗り続けに飽きたのかみんなとっとと降りていたのでそれでいいのかもしれませんが狭い2両の列車だといよいよせわしなさが増す気がしたりです。


 という具合に乗ってみた「伊予灘ものがたり」はBGMが流れ「おもてなし」というのもさもありなんというか参加型アミューズメント施設という感じの雰囲気がありました。2時間以上特に鉄道マニアでない乗客を飽きさせずモトをとった感を演出するとこうなるのでしょうか。なんだか大変だなあとしみじみ思いました。

宇和島自動車でヒオウギ貝

2020-03-02 | 愛媛県
 高知のとさでんに乗ったら隣県は愛媛の伊予鉄にも乗らないと片参り気分というかハシゴしたくなるものです。先日高知から松山へと向かうことにし、すんなりとまっすぐに移動できないこの2都市の経路をどうしようか考えた結果ここ数年は予土線や久万高原経由だったので宿毛・宇和島経由にし宇和島自動車に乗ることにしました。

 そんなわけで土佐くろしお鉄道の宿毛駅でだいぶ遠くに行く宇和島行きの宇和島自動車のバスに乗ると10分ちょっとで高知県と愛媛県の県境付近にある県界停留所を通過します。あっさりした停留所名を見るといかにも高知から愛媛に入った感じがしてうれしくなりました。


 宿毛駅から1時間ほど乗って降りた須の川です。停留所の海側には海水と淡水両方の池が揃っていたりキャンプ場なんかもある結構規模の大きい須ノ川公園があります。


 停留所の山側にはゆらり内海という海水風呂や食堂、土産店が入った施設があり、ここで刺身の定食を頼みました。


 お刺身の目玉はヒオウギ貝です。量は少しですが甘くてウマく他の刺身もウマくで満足しました。ウマいものがとれる海がある地域は全くうらやましいものです。南国のホタテとでも言えばいいのかキレイな貝殻はお土産品にもなっていました。


 ヒオウギ貝を食べたらまた宇和島行きに乗って10分くらいの嵐で降ります。宇和島行きはここから国道56号をずっと走り一旦海から離れる一方、海沿いを遠回りする脇経由の岩松出張所行きという路線が出ているのでそれに乗るためです。その路線の停留所は国道から少し奥に入った港のすぐ脇で気持ちのいいところでした。


 嵐を出ると狭隘区間が結構続くのですがノンステップのかぶりつきができない車両なので歯がゆいものがあります。とはいえ海がよく見える車窓はとてもキレイでした。脇と津島田の浜は行き止まりの折返場の形態で行きつ戻りつを繰り返すことになりなかなか大変です。


 海沿いに走るといっても険しい坂道やトンネルを挟みながら漁港の集落を結んでいるので山道というか峠道が続きます。その分海辺に降りたときの気持ちよさはひとしおです。


 嵐から43分乗り通して着いた岩松出張所は国道56号線上にあります。有人窓口や券売機がある新しい建物でちょっと韓国のバスターミナルというか市外バスの停留所っぽく感じました。ここからまた乗る宿毛~宇和島の路線は2時間程度細かく停まりながら走るなかなかの大物路線でこんな出張所もあるとなると韓国の緩行の市外バスくらいかななどとも思ったりです。


 岩松は獅子文六の小説「てんやわんや」の舞台になったところで町を歩くとそんな看板も掛かっていましたが、字面を見たら漫才コンビのてんやわんやを先に思い出してしまいました。岩松川沿いにある大畑旅館では獅子文六が滞在した部屋に泊まれるそうです。


 岩松出張所からは3回目になる宇和島行きに乗って宇和島の街に出ました。降りたのは宇和島駅前のひとつ手前の恵美須町で、目の前には四国でよく見かけるスーパーマーケットのフジがあります。ここでいろいろと物色してから歩いて宇和島駅に出たら宿毛以来でずいぶんと久々に鉄道に再開した気がしました。


 という具合に宇和島自動車に乗ったのですが、ふと思い返せば前回乗ったのが2015年なのでもう5年ぶりということになりこれまた久々というのか月日の経つ早さに驚くばかりです。