乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

将軍漁港でサバヒー尽くし

2015-12-31 | 台湾
 台南市の佳里バスターミナルは東を南北に走る台鉄縦貫線の主要駅、台南、善化、新営からのバスが集まっています。また逆に西海岸に向けてもいくつもの路線が出ている結節点です。ここから将軍漁港に行くことにしました。


 佳里から将軍漁港へは経由の違う藍10・藍20があり、今回乗ったのは藍10の方で将軍漁港までは30分ほどです。


 将軍漁港は観光客向けに食堂や魚介類の即売所が入った施設「船老大漁村」があります。マーライオンはなんでなのかよくわかりませんが台湾でよく食べられている魚「サバヒー(虱目魚)」の像を見たらとりあえず食べたくなってしまいました。


 サバヒー料理の看板はたくさん見られます。まず面白いと思って食べたのがサバヒー小籠包です。おいしいのですが豚肉が主でよくまとまった味になっているのでこれが虱目魚っぽい味なのかどうかよくわかりませんでした。もともとサバヒーはあまりクセのない魚ではありますが。


 サバヒーつみれ汁はなるほどサバヒーのつみれだなあという感じです。


 サバヒーソーセージも豚が主でやっぱりそつなくまとまっていて、最後にじゃあサバヒーそのものっぽいものも食べておくか、とシンプルな揚げサバヒー(虱目魚柳)を食べたらさすがにサバヒー食べたぞと満足しました。


 サバヒーではないのですが刺身屋も誘惑してきます。サーモンはいらないからここであがった魚を切ってと頼んだらなんだかよくわからないとにかく脂がよく載った白い刺身が出て来ました。これを食べたらさすがに満腹です。


 というわけで特にオチもないのですがいろいろなサバヒー料理が食べられ楽しめました。

トーチカと茶畑

2015-12-29 | 台湾
 台湾・彰化県の田中駅で台鉄を降り、今年開業した彰化客運バスの赤水・松柏坑経由南投行きに乗りました。八卦山脈に上がって県境を越え南松柏嶺停留所(南投県名間郷)で降ります。
(バスの話はこちらをご覧下さい。)
 この辺りは茶畑とパイナップル畑が広がり見どころが点在しているので見物して行こうというわけです。


 畑にはときどきトーチカの跡が混ざっています。一部は見晴らし台に改装され「七星陣地公園」という名前がついていたりしますが考えてみればトーチカとなると壊すのは大変でしょうから苦肉の策なのかもしれません。とは言えまずは物騒なものがのんきな遊び場になるくらい良い時代になったということなのでしょう。


 このあたりは松柏長青茶というブランド名を持つ茶どころで『茶二指故事館』なる茶がテーマの観光施設があるというので行ってみました。入口では指の看板が迎えてくれます。なぜ指かというとこの施設のオーナーが8歳のとき製茶の手伝いをしていて事故で指2本を失ってしまったことを記念しているからだそうです。不幸な事故を逆手に取り前面に出すとは大したものだと感心させられました。


 茶葉の種類や製茶の方法など「らしい」展示の中に偉人と茶の関係をテーマにしたコーナーがあり、蒋経国総統と毛沢東主席が並んでいて現代らしさを感じました。松柏長青茶という名をつけたのは蒋経国なのだそうです。


 このような展示や茶、茶を使ったお菓子等の販売をしている棟の裏に茶畑を利用した庭園があります。茶畑の観光施設というからちょっと韓国の全羅南道宝城郡を思い出しましたが、冷涼で茶畑が珍しい韓国と違って茶畑がありふれている台湾にこういう施設があるというのはなんとなく面白く感じました。また庭園にある食堂棟ではかつて茶畑での作業の合間に食べた弁当をイメージした弁当を名物メニューとしています。


 という具合に茶関係を見物して改めて南松柏嶺バス停まで戻ると受天宮という廟に向かう参道が伸びているのでそっちも見物しました。土産や食べ物の店が多く並んでいますが一番目立つのはやはり茶葉の店です。受天宮前まで来ると西の海側への見晴らしがききました。


 ちなみに参道の店で行列ができてよく売れていたのはこの辺りが産地だという山薬すなわち長イモを使ったかき揚げでした。私もつられて並び食べてみましたが一見単純そうなものながらなかなかウマくなるほどというところです。


 という具合に茶どころ見物を楽しんだらまた彰化客運のバスに乗り濁水に出ました。濁水は台鉄のローカル支線集集線の沿線、というとなんだか鄙びていそうですがバスで見ると南投・台中方面への路線が頻発している便利な場所です。また枝線に乗る場合幹線から乗り換えるよりも途中や末端の駅にバスや渡船で出て乗るとなぜかより楽しい気がするものでその意味でイイ駅ということになります。暗くなってきたホームでタブレット・スタフの受け渡しを見物しつつ二水行きに乗りました。

富平市場の自家製トンドン酒

2015-12-28 | 韓国
(前回のつづきです。)
 温陽温泉がある牙山市のバスターミナルは市外バスターミナルと高速バスターミナルに分かれています。と言っても両者は隣合っているのでわかりやすくはあるのですが、その高速バスターミナルがあるはずの市外バスターミナルの隣を見ると無くなっているのでびっくりしました。ひょっとして郊外に移転でもしたのかな?と改めて工事現場を見ると新ターミナルビル内店舗の分譲申込を受け付ける詰所があり、そこで聞いたところすぐ裏に仮の高速バスターミナルがあるとのことです。なるほどと仮ターミナルに行ってみると出札口と待合所に加え売店もありそれなりに立派で、発着する路線がソウルと仁川のみなのがもったいない気がしました。


 ここで仁川行きの方に乗ります。天安綜合バスターミナルを経由し仁川綜合バスターミナルまでは2時間5分ほどかかりますが外岩里民俗村で昼から結構飲んでしまったためよく眠れ、起きたらもう到着という感じです。


 ターミナル前の仁川地下鉄1号線の駅に向かい案内表示を見ると惜しいと思ってしまいました。長音のタテヨコは間違いやすいところではありますね。


 ホームに降りて日本語案内を見ると先発・次発に電車とつけてありさらに「行き」も添えられ日本の案内表示より丁寧な感じがします。


 地下鉄を降りたのは京仁線と交差する富平です。桂陽~空港鉄道経由で仁川・金浦の両空港に比較的出やすい位置なのでこの辺りのモーテルに適当に投宿して翌日帰宅するという旅程はこれまでも何度か使っています。


 富平駅から富平市場駅にかけて広がっている市場へ夕食というか飲みに出ました。


 ここでの目当ては自家製酒を出す「ハルメトンドン酒」という飲み屋です。甕でたっぷりと出て来るトンドン酒は松の葉の香りがして何ともいいものでした。酒を醸造する際に松の葉を入れる方法は昔よく行なわれていたと読み物で目にすることはありますが実物はなかなかお目にかかれません。海鮮ジョンやヘジャングクをつまみに飲んで満腹になりましたが、宿への帰り道もあれこれと美味しそうな店が見え翌朝空港に出て帰宅するだけなのが残念になってしまいました。

温陽温泉と外岩里民俗村の伝統酒

2015-12-18 | 韓国
(前回のつづきです。)
 薬酒を飲みほろ酔いになったところでモラン市場から地下鉄で1駅隣の野塔にある城南綜合バスターミナルに移動しました。昔はモランにあったターミナルが移った比較的新しいターミナルでホームプラスという量販店ビルの地下にあります。


 市外バスに乗って着いたのは忠清南道牙山市の温陽温泉です。市内バスで温陽温泉駅前に出て宿を物色し40000ウォンのやや古めながら各部屋の浴室に温泉を引いているモーテルに決めました。モーテル一般の狭い浴槽ではあるものの「かけ流し」の温泉には違いなく大浴場より個室が好きなのでむしろ助かります。そういえば「逆さクラゲ」の温泉マークがついた韓国のモーテルには何度も泊まっているものの本当に温泉のモーテルに泊まったのは温陽温泉くらいかもとふと思いました。


 翌朝は朝風呂というか朝温泉に浸かってからゆっくりめに駅前の市内バス停に出て郊外の外岩里民俗村に行くため100番バスを待ちます。この停留所のバス接近案内装置はボタンがついていて各系統の起終点の発車時刻表が検索できるという優れものでした。韓国のバス停には時刻表があることが少なく、100番は日中1時間も間隔が空くこともある路線なので助かります。


 100番に乗ると狭隘感はそれほどないものの対面通行ですれ違いが結構大変そうな箇所がありました。


 100番の終点「松岳乗り換えセンター」はその名の通りこの先に向かうバスが数台停まる駐車場で、そこがめあての民俗村の駐車場でもあるといううまい位置にある施設です。入村料2000ウォンを払って中に入ります。


 外岩里民俗村は韓国各地にある民俗村と同様に住民がいる古民家が集まっている施設というか集落というか、です。天気が悪く木の葉も落ちて柿の赤さがかろうじて華を添えるというやや暗い晩秋ですが、韓国の藁葺の民家の角がとれたフォルムは実にステキだなあと毎度のことながら思います。


 村内には食堂や土産屋、民泊を営む家が多いのですが、一方普通の集落同様に老人集会所があったり農機具を置く農家も見えるのは韓国の他の民俗村と同じです。


 この民俗村に足を向けたのは「蓮葉酒」という伝統酒が販売されているからで、その看板を掲げる古民家を見つけ入ってみると生活感あふれるというかただのどこかのお宅という感じで拍子抜けしました。


 誰も出てこないので大声で叫ぶと家事の途中だったらしきお家の方が顔を出すので蓮葉酒が欲しいというと800mlの大瓶が18000ウォン、半量の小瓶が10000ウォンと結構な価格です。小瓶を買うことにし、せっかくなのでここで飲んで行きたいというとつまみにクルミと干しナツメを出して下さり縁側を借りてしばし飲みます。その名の通り蓮の葉など薬剤とともに醸造された酒で複雑な風味ですが蒸留酒ではないためキツくはなく穏やかな舌触りでした。


 ひとしきり蓮葉酒を飲んだら昼時になってしまい食前酒のような塩梅です。食堂をやっている古民家に入ったところ自家製のトンドン酒があるというので自家製清麹醤(韓国風納豆)汁定食と一緒に頼み結局昼からハシゴと相成ります。やかんで飲み切れないほど出て来たトンドン酒は一般的なマッコルリのイメージの濁りがあって甘いものでした。観光地ながら定食が5000ウォン、トンドン酒5000ウォンととりたてて高くはありません。のんびり飲み食いしていると浮世を忘れてしまいそうです。


 という具合に民俗村へ見物というより飲みに行ったというわけでした。
(こちらに続きます。)

冷麺~薬酒乗りバス

2015-12-17 | 韓国
(前回のつづきです。)
 無等里で冷麺を食べそこなってがっかりしながらバスに乗って全谷の郡内バスターミナルに出ました。この近くには市外バスターミナルや駅が徒歩圏にありそちらに乗り継ぐのも面白そうなのですが、ここからバスに乗りたいと思わずにはいられない良い雰囲気のターミナルなのですぐに郡外に南下する53番バスに乗り継ぎます。38度線を今度は北から南に越え東豆川の市街地に入ると車窓に米軍基地があらわれ沖縄や横浜での乗りバスを思い出したりします。画像の踏切は米軍基地への引き込み線です。


 東豆川の中心部にある「旧バスターミナル」停留所で降りると目の前のロータリーは11月ながらすっかりクリスマスムードになっていました。旧バスターミナルというくらいで2006年まではここに市外バスターミナルがあったのですが今は市街地のだいぶ南の外れに移転しています。


 旧バスターミナルバス停近くにあるヤンキー市場という通りに入ると急に青少年通行禁止区域すなわち赤線がちょっとだけありびっくりしました。人の気配がなく今は営業しているのかどうかよくわかりませんでしたが。ごく地味な商店街の中にありとりたてて隔離されている感じはありませんでした。


 その近くにある「60年伝統の店」をうたう平南麺屋という冷麺の有名店が東豆川でのめあてです。


 ここは無事営業していてホッとしました。ストーブ上に置かれたやかんから注がれた暖かい蕎麦湯を飲んでしばらく待つと出て来るムル冷麺を暖かいストーブ前で食べるというのもオツなものです。さっぱりしたスープに入った麺は風味があり太めでもそう硬くはなくほどよい食べ応えでした。


 お腹が落ち着いたら市外バスターミナルでも見てみるかと旧バスターミナル停留所で適当な市内バスに乗ります。東豆川ターミナル停留所で降りるとロッテマートと一緒になったいかにも最近の韓国のバスターミナルという感じの建物が見えました。ただひと気が少なくちょっと拍子抜けです。考えてみれば東豆川の北と西はすぐに休戦ライン、東は山岳地帯で、最も流動が多そうな南のソウルへは街の中心部にある東豆川中央駅から電車で行ける、という具合なので市外バスの出番が少なそうではあります。きれいで立派なターミナルはがらんとしていてなんだかもったいない気がしました。


 ここで乗ったのは38度線よりずっと北の漣川からソウルを南に抜け城南まで走る市外バスR3300番です。赤くない市外バスにソウル式の色別系統番号がついているとちょっと変わった感じもしますが、ターミナルや切符売り場のある停留所は少なく多くは無人の停留所と広域急行バスに似た点が多いのでなるほどと思いました。
 R3300番はソウル東部を南北に縦断しているもののソウル市内の停留所はごく少なく、ソウルを通過する南北移動に便利です。ソウル市内通過は夕方の混雑する時間でしたが大半はバス専用レーンを走り、通過する停留所ではホームに面したレーンの隣にさらに通過レーンが設置されていることが多いので市内バスを追い越すことができ渋滞はもちろん市内バスの団子運転にもほとんど引っかかりませんでした。高架や地下もないごくシンプルなレーン設定のみでこういう運行をしている巧みさには感心するばかりです。


 東豆川のターミナルから2時間10分ほどゆられ城南市のモラン市場で降りました。ここでは鶏、ヤギ、犬などの料理も食べたくなるところですが、今回はまだ冷麺からあまり間が空いていなかったので軽く飲むだけにします。9月に来たときと同様に自家製の酒を出す店で薬酒あるいは清酒と呼ばれるものを頼みました。薬酒といっても韓国語では薬剤を漬けこんだ酒ではなく濁酒の上澄みをとったり濾したりした澄んだ酒を指す言葉です。(薬剤を漬けこんだ酒を指す場合もありますが。)つまみは頼まなくとも牛の血を固めた「ソンジ」が入った汁が出てくるのでまだ空腹でない今回はこれで事が足りましたが目の前に置かれた魚や豆腐も目のツマミ(?)になり楽しく飲めました。


(こちらに続きます。)