乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

伊豆急乗り鉄(後編・100系)

2012-07-27 | 静岡県
(前回・前編のつづきです。)
 今回は伊豆急下田駅から話に入ります。駅に入ると開業(1961年)50周年にちなんだ昔の写真パネル展示が目に付きました。お、強と、じゃなかった五島慶太氏の肖像つき開業一番列車ですね。これからその開業時から活躍している100系に乗るというわけです。


 お目当ての100系は快速・伊豆高原行きとして運行されます。伊豆急下田駅は列車別改札なので1番線から先発の踊り子発車を見送ってからホームに入ると2番線で待っていてくれました。あまり派手さはないものの穏やかで整ったスタイルはなんだかホッとします。そういえば公式サイトの告知にあった列車名「ビーチトレイン号」の表示は特にされていません。その方がうれしいので全然問題ありませんが。


 いかついパンタ側の顔はおでこライト周りの塗装を変えてあります。方向板の下部はちゃんと金太郎塗りに合わせてあり英文表記は地の色に対して反転させてある凝りようです。こういうトータルなオシャレっていいものですね。


 この伊豆急100系を見ているとなんだか台湾のステンレス気動車DR2700(1966年製)を思い出します。そういえばどちらも東急車輛製です。

 伊豆急沿線は潮風が強そうだからDR2700みたいにステンレスだったら錆びにくくてよかったんじゃないかな、と思ったりもします。ステンレスかどうかとはあまり関係なさそうですが東急7000系や7200系が多客期の伊豆急に貸し出されるなんてことがあったそうですし。
 そんな話をくっつけ「ステンレスの100系2次車」が登場しDR2700みたいな顔の電車が伊豆急を走っていたら面白かったのに、などと勝手な想像をしてしまいました。実際には最近になって東急からの8000系が入ることでステンレス化が進んだわけですがこれは予想外でした。

 では100系に乗り込みます。青いモケットのふっくらとしたシートに白いカバーが鮮やかです。かつてあちこちで使われていた青系の内装も珍しくなってきましたね。窓が大きめなのもイイ点です。外見同様に地味めではありますが無理のない調和が大変魅力的に感じます。


 発車の段になっても楽々海側のボックスを一人占めできる程度の乗り具合ですからごくゆったりのんびりです。ここまでわざわざ乗りに来た理由はスタイルと内装が好みだからで、走行音はごく静かな車両ですから実のところ釣り掛けに乗るときほどには「乗り」に気合が入らなかったりもします。とは言え堂々と窓が開けられる冷房のない車両がめっきり少なくなってきた昨今、外からの風を浴びつつ直に入ってくるレールの継ぎ目のリズミカルな音を楽しめるのはやっぱり幸せです。ただトンネル通過時の風があまりに強烈なので途中から少し閉め気味にしましたけれども。トンネルの多い伊豆急では出入りのたびに開け閉めするのがちょっと面倒、と思ってしまったのは我ながら根性なしです。


 伊豆急下田から伊豆高原まで約50分、降りたらねぐらに帰っていく様子を見送ります。



 100系乗り鉄を終え伊豆高原で北上する列車を待っていたら銀色だけの8000系が来ました。こんなのもあるとは知らずちょっとびっくりです。


 伊豆急で4扉は多すぎるからか停車時間が長くなる交換駅ではこまめにドアカットされていました。冷気が逃げず好印象です。そんな様子など見ながら熱海まで出て伊豆急乗り鉄を終わりにしました。


 ボックスシート設置といい手間をかけて8000系を使いこなしている様子から察するに台所事情もなかなか大変かと思われますが、そうした中100系が動態保存されちゃんと乗れる機会が作られていることはありがたく100系の人気が利用者増加の一助になることを祈らずにはいられません。
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伊豆急乗り鉄(前編・乗りバス)

2012-07-25 | 静岡県
 先日箱根に行った帰りに特急踊り子号を見て、長らく伊豆急に乗ってないなあとふと思いました。
 そういえば最古参の電車100系が復活したという話を聞いたけどいつ乗れるのかな、と何気なく伊豆急公式サイトを見たところ「ビーチトレイン号」として運転されるという記事が目に入ります。読んでみると特に予約も必要なく普通運賃だけで乗れるというからありがたい話で、それならと伊豆急下田に行って捕まえることにしました。

 伊豆急の入口伊東までどうやって行こうかな、東海道線の鈍行はかったるいけど新幹線もつまらないし、という消去法で踊り子にします。ケチって自由席にしたらトップナンバーでした。気がつけばもう30年選手だから185系もなかなかしぶといものですね。そう積極的に乗りたいとも思わないけど窓が開けられるし自由席なら鈍行のグリーン車平日料金と同じくらいなので「スーパービュー」よりはずっとアリです。もっとももしかつてのように転換クロスのままボッタくっていたらそうは思わないでしょうけれど。


 伊豆急線内分の特急料金を浮かすため伊東で下車すると、かの「ハトヤ」の送迎車が見えます。ちなみにナンバープレートはちゃんと「4126」になっています。


 ハトヤには一度だけ泊まったことがあるけどそのときはうれしくて「電話はヨイフロ」の歌が頭の中でエンドレスに流れ続けたものです。今回は伊東に着く前の車窓から「サンハトヤ」、そしてこの送迎車を見るだけなのが残念ですが「歌」はしっかり頭の中で繰り返されてしまいます。
 伊東駅は有名なお稲荷さんをはじめ駅弁がイイ感じなので物色し(それも伊東で降りた理由)後続の鈍行を待つと元東急8000系の伊豆急8000系がやって来ました。


 タネが通勤電車ながら海側にボックスシートが配置され観光路線らしい配慮は感じるのですが、山側がロングシートだとそこからの視線がちょっと気になります。もっともこちらがロングシートに腰掛けたらボックスの様子など気にしませんから自意識過剰なのかもしれませんが。考えてみればボックスシートではすぐ前からの視線があっても気にならないわけですし単に慣れの問題なのでしょう。


 幸い1ボックス占領でき駅弁を食べながら終点の伊豆急下田に着きました。改札口左手に見えるマンガのパネルは「夏色キセキ」というご当地が舞台のアニメのキャラクターなのだそうです。豪気なことにそのキャラクター絵はがきがタダでもらえるというので私ももらいました。リゾート21の「黒船電車」が入った絵柄だったのでちゃんと鉄道グッズしています。おかげでなんだか儲かった気分になりました。


 せっかく下田まで来たのですが肝心の100系が発車する時刻まであまり余裕がありません。のんびり観光というのは無理なので少しはバスにでも乗れないかと考えてみました。伊豆急下田駅を出る(南伊豆)東海バスの時刻表を見ると海側の爪木崎行きか山側の賀茂逆川行きのどちらかならうまい具合に往復できます。爪木崎は観光地だけど見物する時間はないから今度でいいや、ということで賀茂逆川行きにしてみました。(画像真ん中のバスが賀茂逆川行き。)


 賀茂逆川は下田の市街地から国道414号線を北上し下田市から河津町に入った辺りです。ただバスが走るのはずっと国道ではなく、下田駅から蓮台寺駅の北にある「お吉が渕」までは西側の旧道然としたところを走るのでなんとなくホッとする空気でした。また市・町境付近など末端にはそうギチギチではないものの狭隘区間が少しあります。今回眺めている分には交通量も少なくごくのんびりした雰囲気でしたが、運転士さんによると慣れない観光客が多い時期は行き違いに手間取り結構詰まってしまうこともあるそうです。そんなところはさすが一大観光地の伊豆ですね。


 乗る時間は30分くらい、狭隘区間が終わりまた道が広くなって終点の賀茂逆川に着きます。公民館前が転回所になってました。特にこれと言うようなものもない道端でもバスの終点だととりあえずイイなと思えてくるから不思議です。

 降りてみるとなんとなく去年韓国の全羅道で乗りバスしたときを思い出してしまいました。終点に公民館然とした敬老会館があったからですが、考えてみればここも「半島」の南部だし穏やかに田畑が広がってるし、とムリヤリこじつけてみます。
 バス停が見当たらないのでまさか韓国式(韓国のローカルバスはあまり停留所に標柱がありません。)かと辺りを見回すとシンプルな一本棒の停留所がこっそり立っていました。こういうのもなかなかいい味わいです。バスは数分停まって伊豆急下田駅に折り返すので私もまた乗ってとんぼ返りしたらとりあえず満足しました。

 
(後編・次回に続きます。)
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箱根へ衝動乗り鉄

2012-07-19 | 神奈川県
 小田急新宿駅の地上ホームにロマンスカーの展望室が頭を突っ込んでいるとなんだかワクワクしてきます。困ったことに「新しい白いやつ」すなわちVSEはどうもロマンスカーとは思えずワクワクしません。ということはもうLSE=7000形しか選択肢がないわけです。


 で、なんとなく券売機をチェックしたら発車間際の「はこね」後展望席に空席があります。しばらく箱根にも行ってないなあ、と衝動的に箱根湯本まで特急券を買ってしまいました。ちなみにかぶりつき好きとしては基本的に展望席は前がいい、とは思うのですが、新宿の行き止まり側から展望席を見ると「すぐ『そこに』乗り込みたい」欲がわくうえ、発車後新宿駅を見送るのはなんか気分がよいので新宿から乗るときは後展望席も気に入っています。
 発車し複々線化工事の進むわやわやした車窓を見ていると周りではお弁当だのが開き始め車販もやってきました。ロマンスカーに乗って「走る喫茶室」ではなく「車販」で弁当買って食うなんてなんか違うよなあ、といまさらながら思ったりもするのですが、他人が食べてるの見るとつられて食べたくなるのが人情というもので結局耐え切れなかった私の負けです。
 メニューを見ると白いVSEをかたどった容器に入った「ロマンスカーVSE弁当」、また白地に今のロマンスカーロゴや現役ロマンスカーの絵が入った「ロマンスカー海鮮どんぶり」なんてのがありますが、前述の通り私は白いのはロマンスカーじゃないという固定観念があるのでそんな容器の弁当食うわけにはいきません。そこでSEが掛紙に描かれた「ロマンスカーおむすび弁当」を買ってせめてもの抵抗(?)としました。そういえばこの細長い折りたたみテーブルもロマンスカーらしさを感じさせてくれるものだったりします。


 お腹もふくれだらだらとしているうちに気づけば小田原を発車し箱根登山鉄道に入っていました。以前はここから三線軌条区間に入るのでだらけた気持ちがやや引き締まったのですが、それもいつの間にか過去の話です。思い出したらなんだか残念な気分になってきます。


 入生田の車庫から箱根湯本まで残る三線軌条区間を見てちょっと機嫌をなおしました。


 箱根湯本に着いたら登山電車に乗るかバスにでも乗るか、と何も決めていなかったのですが、奥のホームを見ると唯一残る釣り掛けの旧型車編成が停まっていたのでこれ幸いと飛び乗ります。LSE→釣り掛けとは今乗り鉄するには最高の「車両運」だツイてる、とニヤニヤしていると「この車両は冷房がありません。冷房をご希望の方は次の列車をご利用ください。」とアナウンスがあってびっくりしました。逆に「最近多いニセレトロ風とは違うホンモノのアンティーク電車です。」くらいのことを言ってもいいような気がしますが、ともあれ親切なアナウンスではあります。冷房がないと窓が開けられると喜ぶ私でもさすがに暑いなと思う程度の暑さでしたから。


 こうなると降りる駅は終点強羅の一つ手前、彫刻の森と決定です。かぶりついて釣り掛けの響きを楽しみます。


 電制がついているので下りは「逆釣り掛け音(?)」を楽しみたいのですが、釣り掛けは1編成しかないので登り・下り確実に楽しもうと思ったらとんぼ返りせざるを得ません。ただ終点の強羅まで行くと折り返し時間が短く余裕がないので1駅手前の彫刻の森で折り返すことにしたというわけです。
 そういう理由ですから彫刻の森を見物するでもなく復路の切符を買って折り返しを待つだけです。

 というわけで「逆釣り掛け音(?)」を楽しみつつ箱根湯本に戻ります。


 箱根湯本に着くと地下鉄千代田線直通の「メトロはこね」が停まっていました。箱根から千代田線までロマンスカーが直通するなんて昔言ったらホラ吹き扱いだったはずですが、そういえば今はスペーシアが新宿に顔出したりとか以前は考えにくかったことがいろいろ現実になっていますね。古い車両がなくなってつまらんと文句言ってばっかですがこの点は面白く感じます。


 という具合に彫刻の森まで行って戻ってきた、というだけの話でした。

(おまけ)
 箱根登山鉄道はスイスのレーティッシュ鉄道と姉妹鉄道提携しています。


 こうやって広告を掲示してみたり「ベルニナ号」とか「サンモリッツ号」と車両に愛称をつけたり車体の色を似せてみたりいろいろです。(左の車両がレーティッシュ風塗色)


 箱根湯本まで来る小田急1000形もこの通りでした。


 そんなレーティッシュ風塗色を見ていて、なんか違和感があるような気が、と帰ってレーティッシュ鉄道の画像を見直したら理由がわかりました。

 窓の上の黄色い帯は1等室のしるしなので2等室部分には入ってません。箱根登山・小田急のレーティッシュ風塗色はモノクラスなのに全体に黄帯が入っているのでヘンに感じたというわけです。でもいったいなぜそうしたのでしょうね。
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ポッピ(トスカーナ州)

2012-07-18 | イタリア
 今回はイタリア、トスカーナ州にあるポッピ(Poppi)という町に行ったときの話です。昨年ローカル線でかぶりつきをしていてなんだかよさげな丘とお城が見え、それが件のポッピだったのですがそのときは時間がなく寄れませんでした。それが宿題みたいに頭に引っ掛かっていたので今年改めて足を運んだという次第です。

 ポッピに行くローカル線、トスカーナ鉄道はフィレンツェの東のアレッツオ(Arezzo)から出ています。ポッピ駅に着くまでは乗り鉄話になるのでサイトのこちらをご覧下さい。
 ポッピ駅を降りると正面には鉄道と併走する幹線道路が左右にはしり、その奥には(駅からは見えませんが)アルノ川が道路と並行する左右方向に流れています。この道路を左に歩いていくと右手にアルノ川にかかる橋がありこれを渡るとポッピの丘が目の前です。このアルノ川はフィレンツェの街中を流れている川で、ポッピはずっと上流にあたります。


 橋の上からお城が見えているのでとりあえずそこを目指して登ることにします。


 車道とは別に歩行者だけの道があり、なかなか気持ちのいい道のりです。


 無事お城に到着しました。ポッピ駅からのんびり歩いて30分くらいです。


 入場料を払ってお城の中に入ると近所で昔起こった合戦絵巻的な展示や図書館、売店がありキレイに整備されています。


 丘の上のお城と言ったらやっぱり景色がご馳走です。鐘楼に登って広い空と田園風景を満喫します。


 とのんびりしていたら突如ゴーン、とすさまじい音が頭上で鳴り響きたまげました。この鐘は毎時0分・30分になると自動で鳴ります。実はその旨注意書きが貼ってあったのですがなめてました。


 お城を出て町中に出ます。町の中心は画像のマドンナ・デル・モルボ教会(Chiesa della Madonna del Morbo)辺りです。見回すとバス停や売店が見えます。


 行きは鉄道だったので帰りはフィレンツェ行きのバスにしようとバス停を見るとフィレンツェ行きの時刻が書いてありません。売店でバスの切符を買いがてら聞いたところ、フィレンツェ行きのバス停はここではなく町を出たところとのことでした。バスの乗車券は車内で販売していないので乗るならここで買っておかねばなりません。


 言われたとおり、上の画像のマドンナ・デル・モルボ教会に向かって右の道を歩いていくと門に突き当たりました。


 その門をくぐると視界がひらけます。


 門を出た右手方向にバス停が見えました。フィレンツェ行きの時刻が書いてあったので一安心です。


 しばらく待っていると無事SITAのバスがやってきました。(SITAバス公式サイト)

 このバスはポッピの町を囲む城壁の外側をぐるりと回りながら丘を下ってアルノ川を渡りポッピ駅前を通ります。その後しばらくすると険しい山道が続くので乗り物に弱い方はつらいかもしれません。山の中のPonticelli(Stia方面のバスとの乗り継ぎ地点)を経由し、下るとまたアルノ川に出会ってPontassieve駅前を経由しフィレンツェまで約2時間と一般路線バスにしては結構な長丁場になるのでトイレなど済ませてから乗ったほうがいいかも、と月並みな老婆心で今回の話を終えることとします。
(ポッピ公式サイト)
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