社会空間研究所 建築・まちづくり通信

社会空間研究所の所員が建築・まちづくりに関する情報等を気ままに綴ったブログです。
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アレックス・カー『ニッポン景観論』

2014-11-17 19:56:34 | 書籍の紹介

アレックス・カー氏の『ニッポン景観論』の中に出てきたバリ島の棚田の話。

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バリ島で棚田を営む人たちは、

数年前に、世界各地から観光客が来て、自分たちの棚田の写真を撮っていることに気付きました。

しかし、観光客が使うお金はすべてホテルとバス会社に落ち、

棚田を所有する彼らには何のメリットもありませんでした。

そこで、一種の「スト」を起こし、

観光業者がお金を払わなければ、棚田にブルーシートを敷いて田んぼを醜くさせる、と

観光業者を「脅迫」したのです。

その結果、観光業者は棚田オーナーと協議して、

お金をわけあうことになりました。

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これど同じ論理でいけば、

周辺の手入れの行き届いた山林・里山、農地等の環境を享受できる住宅開発地区で、

それをセールスポイントとして販売する場合は、

デベロッパーは、山林・里山、農地の所有者に対し、それに見合うお金を支払わなければならないのでは。

もちろん、これは、この分が住宅価格に反映されるということになる。

ただ、この場合、この山林・里山、農地等の魅力ある環境が、一定の期間担保されなければならないとか、

このような住宅地については、不動産としてのきちんと評価されるとか、いろいろな条件がそろわないと実現するのは難しいが、

観光地だと、バリ島のような仕組みが、日本でも導入できるかもしれない。

コメント
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