アレックス・カー氏の『ニッポン景観論』の中に出てきたバリ島の棚田の話。
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バリ島で棚田を営む人たちは、
数年前に、世界各地から観光客が来て、自分たちの棚田の写真を撮っていることに気付きました。
しかし、観光客が使うお金はすべてホテルとバス会社に落ち、
棚田を所有する彼らには何のメリットもありませんでした。
そこで、一種の「スト」を起こし、
観光業者がお金を払わなければ、棚田にブルーシートを敷いて田んぼを醜くさせる、と
観光業者を「脅迫」したのです。
その結果、観光業者は棚田オーナーと協議して、
お金をわけあうことになりました。
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これど同じ論理でいけば、
周辺の手入れの行き届いた山林・里山、農地等の環境を享受できる住宅開発地区で、
それをセールスポイントとして販売する場合は、
デベロッパーは、山林・里山、農地の所有者に対し、それに見合うお金を支払わなければならないのでは。
もちろん、これは、この分が住宅価格に反映されるということになる。
ただ、この場合、この山林・里山、農地等の魅力ある環境が、一定の期間担保されなければならないとか、
このような住宅地については、不動産としてのきちんと評価されるとか、いろいろな条件がそろわないと実現するのは難しいが、
観光地だと、バリ島のような仕組みが、日本でも導入できるかもしれない。